MONO TRENDY

デジタル・フラッシュ

格安SIMで人気復活 中古モバイルルーターが好調

日経トレンディネット

2017/6/14

アキバの中古ショップに足を運ぶと、モバイルWi-Fiルーターの中古品や未使用品が豊富に並べられているのが分かる
日経トレンディネット

 アキバの中古ショップの売れ筋といえばスマートフォン(スマホ)だが、中古スマホやケータイを扱うイオシス アキバ中央通店の太田文浩氏は、「ここ1年ほどで中古のモバイルWi-Fiルーターの販売が急拡大している」と語る。人気の背景には、低コストで通信できる格安SIMの普及と、使い勝手のよいSIMフリーのモバイルWi-Fiルーターの中古品が安く入手できるようになったことがある。

■テザリングはバッテリーに負担

 Wi-Fi接続のみに対応するパソコンやタブレット、携帯ゲーム機を外出先でインターネットに接続する際は、別途通信回線を用意しなければならない。もっとも手っ取り早いのが、手持ちのスマホのテザリング機能を利用することだ。大手キャリアで契約しているスマホならば、テザリング機能が実質無料で利用できるので、スマホ上で機能を有効にするだけで通信が可能になる。

 テザリングでの接続はとても手軽で便利だが、落とし穴も潜んでいる。通信時は、スマホ側で契約しているパケット通信量を消費してしまうので、うっかり使いすぎると通信量の上限を超えてしまい、高速通信を維持するために追加料金を支払わなければならなくなる。テザリングを有効にするとスマホのバッテリー消費が通常よりも激しくなる傾向があり、いざスマホを使おうと思ったらバッテリー残量が残り数%しかない……ということにもなりかねない。テザリングはスマホのパケットやバッテリーに負担をかけてしまうのだ。

スマホのテザリング機能を使えば、さまざまなデバイスをインターネットに接続できる。iPhoneでは「インターネット共有」の項目で有効にできる
テザリングを利用するとスマホ側のパケットを消費してしまう。通信量をマメにチェックしておきたい(画面はウイルスバスターモバイルの通信量チェック機能の画面)

 そこで注目されているのがモバイルWi-Fiルーターだ。スマホ本体とは異なる契約のSIMカードを利用すればスマホの通信量に影響はないし、スマホのバッテリーも食わずに済む。デメリットは、カバンに入れて持ち運ぶ機器が増えることや、スマホとは別にモバイルWi-Fiルーターも充電する手間がかかるぐらいだ。

 モバイルWi-Fiルーターの人気を後押しするのが、格安SIMの充実ぶり。もともと料金の安い格安SIMだが、音声通話をサポートせずデータ通信に特化した無制限プランを選べば、通信量を気にせず一定料金で利用できる。UQ mobileの「データ無制限プラン」は、通信速度こそ最大500kbpsと速くはないが、月額1980円の固定料金で通信量の上限なく使えるのが魅力だ。

UQ mobileの「データ無制限プラン」ならば、通信速度は最大500kbpsと遅いものの、月額1980円の固定料金で通信できる

■設定の手間を省ける「Aterm MR04LN」が人気

 イオシスでの中古モバイルWi-Fiルーターの売れ筋は、NECプラットフォームズの「Aterm MR04LN」(8980円、税込み)だという。国内の大手3キャリアや主要な格安SIMに対応するSIMフリーであることに加え、SIMスロットが2つあり2枚のSIMカードを切り替えて使えるのがポイント。それでいながら、中古品が1万円以下で入手できるリーズナブルな価格が評価されている。

モバイルWi-Fiルーターの中古品で売れ筋なのが、NECプラットフォームズの「Aterm MR04LN」だ。SIMフリーであることに加え、SIMカードの2枚挿しに対応するのがポイント。イオシスでは、リース上がりの中古品を8980円(税込み)で販売していた

 ひと世代古い「Aterm MR03LN」ならばもっと安く購入できるが、太田氏は「MR04LN以降のモデルが断然お薦め」と語る。「旧モデルのMR03LNでは、接続に必要なAPN(Access Point Name)情報などをユーザーが手入力しなければならないが、MR04LN以降の機種は主要な格安SIMのAPN情報がプリセットされており、設定の手間が大幅に省ける。多少高いが、新しいMR04LNがベター」という。

ひと世代古い「Aterm MR03LN」は中古品が6980円とさらに手ごろだが、APN設定は手作業で入力しなければならないのが面倒だ。SIMカードの2枚挿しには対応しないのも欠点といえる

 LTE通信の対応バンドが充実していることも、MR04LNを薦める理由として挙げる。「au系の格安SIMで安定した通信速度が期待できるモバイルWi-Fiルーターとしては、現状唯一無二の存在といえる」(太田氏)と評価する。UQ Mobileやmineoといったau系の格安SIMを利用したいユーザーにとって、MR04LN以降の機種はモバイルWi-Fiルーターではベストな選択肢となるのだ。

Aterm MR04LNよりもひと世代新しい「Aterm MR05LN」の中古品は1万3800円前後だが、じゃんぱらでは期間限定特価で1万800円(税込み)で販売していたこともあった

■リースアップ品が狙い目

イオシスの太田文浩氏は「モバイルWi-Fiルーターはキズや汚れがあっても使用に影響がないので、リース上がりの中古品が安くてお薦め」と解説する

 アキバの中古ショップでは、MR04LNの中古品は1万円を超える価格で販売されているが、イオシスでは9000円を切る税込み8980円で販売している。これほど安く販売できた理由として、太田氏は「リースアップの中古品を800台近くまとめて仕入れたので、一般から買い取った中古品よりも安く販売することにした」と語る。

 リースアップ品は、もともと企業など法人向けにリース形式で提供された端末が、1年や2年など一定の契約期間を満了して返却されたあと、中古品として再商品化されたものだ。パソコンやスマホではよく見かけるが、モバイルWi-Fiルーターでもリースアップの中古品が増えているのは興味深い。

 リースアップの中古品は手荒に使われたものも少なくないが、リーズナブルな価格で入手できるので、「とにかく使えればいい」と考える人は注目といえる。使う際は必ず手にするスマホの場合、傷や汚れが目立つリースアップ品は多少気が引けるものの、モバイルWi-Fiルーターはカバンにしまいっぱなしで使えるので、正常に動作すればボロボロでも問題ない。

リースアップ品はキズや汚れが目立つものも少なくないが、モバイルWi-Fiルーターならば実用上の問題はない

 逆に、程度良好な中古品も増えているという。一部ショップでは、格安SIMの契約との同時購入を条件に、モバイルWi-Fiルーターを低価格で販売するケースが増えており、そのようにして販売されたものがほとんど使われないまま買い取りに持ち込まれる例が目立ち始めたからだ。程度を気にする人も中古品に注目する価値はある。

リースアップ品とは対照的に、一般ユーザーから買い取った中古品はきれいな状態のものが多い。程度を気にするならば、箱や説明書が付属している中古品を探すのがポイントといえる

(ライター 白石ひろあき)

[日経トレンディネット 2017年5月26日付の記事を再構成]

MONO TRENDY新着記事

ALL CHANNEL