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シャワーヘッドが1台4役 水圧の難題をどう解決?

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シャワーはカラダを洗い流すだけの道具――。そんな常識を根本から覆すのが、2017年6月中旬に発売するシャワーヘッド「ビブラテルム マルチプルシャワー」だ。家庭の浴室で使っている一般的なシャワーヘッドをビブラテルムに付け替えるだけで、通常のシャワーに加え、振動マッサージや回転ボディーブラシ、回転角質リムーバーと、1台4役の多機能シャワーヘッドに"変身"する。しかも、電気は一切不要で、水の力で動くというから驚きだ。この多機能シャワーヘッドは、どのようにして生まれたのか。開発元である長野県茅野市の中小企業、CSI社長の宮澤勝氏に聞いた。

――「ビブラテルム」は、通常のシャワー以外はどんな用途に使えますか?

宮澤勝氏(以下、宮澤): 片側は大きな散水盤を装備した通常のシャワーになっていますが、反対側はアタッチメントを付け替えることによって、それぞれ自動で動く振動マッサージ器、回転ボディーブラシ、回転角質リムーバーと、1台4役のマルチな機能を発揮します。家庭の浴室にある既存のシャワーヘッドを外し、簡単に取り付けることができ、接続部の取り付けネジ「G1/2」は世界共通規格のため、ほとんどのメーカーのシャワーホース部と接続可能です[注]。従来のシャワーヘッドは単にカラダを湯水で流すだけの道具でしたが、ビブラテルムに替えることで、回転するボディーブラシでカラダを洗ったり、リムーバーで角質を除去したりでき、さらに、浴槽にゆったりと浸かりながら振動マッサージ器で肩や背中をほぐせるようになります。

[注]ただ給湯器から供給される水のシャワーヘッドへの流入圧力が0.3Mpa以下の場合、ビブラテルムは機能しない。エコ給湯を利用する家庭は説明書で圧力を確認する必要がある

―― 画期的なのは、シャワーの流水の力だけを利用して、ブラシやリムーバーを回転させたり、マッサージ器を振動させている点です。どのような仕組みで動いていますか?

宮澤: ヘッド部に内蔵しているスクリューを、小さな穴から勢いよく噴射させる水の力を使って毎分3500回転で回し、その駆動力を利用して動かしています。マッサージ器は重りの付いた回転軸が高速で回ることによって振動させる仕組み。一方で、ブラシやリムーバーには複数のギアを組み込み、回転を300回転程度に落とす代わりにトルクを上げて、肌に押し付けても止まらずに動くように工夫しています。駆動に使われた流水は、散水盤の外側の排水口から勢いを抑えて流れ出る仕組みで、流水量はシャワー使用時に比べて60%程度に節水していることも特徴です。

―― 散水盤から水を出すシャワー使用時は反対側のアタッチメント部は駆動せず、逆にアタッチメント側に水が流れて駆動している時は、散水盤から水は出ません。水の流れをどのように切り替えているのですか?

宮澤: これもある日私がひらめいた工夫の一つなのですが、ヘッド部は脱着して前後をひっくり返して付け替えることができ、前面にした方だけに水が流れる機構になっています。なぜそのとき、反対側に水が流れないのかと言えば、ヘッド内に散水盤につながるノズルと、アタッチメント部につながるノズルの2系統を組み込み、そのノズルを差し込む接続部の2つの穴は、片方だけ通水し、もう一方はふさがっている構造だからです。この構造によって前面にしたほうにだけ水を流す水路の切り替えが可能になります。つまり、散水盤を前面にすれば、通水側と散水盤側のノズルがつながってシャワーに、アタッチメント部を前面にすると、通水側とアタッチメント側のノズルがつながってマッサージ器やブラシが駆動するというわけです。

―― ヘッド部を取り外して付け替えることで、水路を切り替える点がとてもユニークです。

宮澤: 利便性に着目すれば、ボタンやスイッチで水路を切り替える方法も考えられます。私も開発に着手した当初はボタン式を考案し、複数のモデルを試作してみました。しかし、シャワーの水圧が高いために、ボタン部と本体の僅かな隙間から水が漏れてしまったり、隙間をゴムパッキンなどで埋めると今度はボタンが固すぎて押せなかったりするなど問題が発生し、何度やってもうまくいかなかった。ボタン式は机上論であり、実用化は不可能だと思いました。そこで、ヘッド部を脱着する今の方式を思い付き、シャワーヘッドの水路の切り替えという、誰も成功したことがない難題をクリアしたのです。

故郷の田んぼにあった"水車"がヒントに

―― そもそも、なぜ多機能シャワーヘッドを開発しようと思い立ったのですか?

宮澤: 実は、以前経営していた会社がゲーム機に付くコントローラーのケーブル製造を本業とする傍ら、23年前に国内初の脱塩素・浄水シャワーヘッドの開発に成功し、10年間で累計約50万台を売り上げるヒット商品になりました。しかし、その会社はゲーム業界の不況のあおりを受けて、4年前に倒産。私自身もリタイアする選択肢もありましたが、ものづくりで何とかもうひと花咲かせたいと願い、思い立ったのが成功体験を持つシャワーヘッド開発への再挑戦でした。周囲は「今さらシャワーヘッドなんて……」と大反対。けれども、私が作ろうとしているのは、マッサージ器やボディーブラシになる世界初のシャワーヘッドだと説明すると、手のひらを返したように「応援するからやれ」と(笑)。私自身は全くお金がないなか、以前の取引先が資金や部品、生産設備の提供などを買って出てくれ、約2年前に開発がスタートしました。

―― シャワーの流水を駆動力として使うアイデアは最初からあった?

宮澤: はい、ありましたね。子供の頃の記憶で、自分の故郷の田んぼのあぜ道に水車があったことを思い出し、それがヒントになりました。当時は水の力で車輪を回し、脱穀などに使われていましたが、応用例は、今では水力発電の他は見当たらない。水が通っているシャワーなら、その原理を応用するのに適した道具ではないかと考えたわけです。また、ホースで庭に水を撒くとき、先を指でつぶして細めると勢いよく水が出る現象から、シャワーヘッド内の水が通る穴を小さくすれば、水の噴射に勢いがつき、内蔵するスクリューを高速で回せることもイメージできていました。試作機で実証してみたところ、スクリューがすごい勢いで回り、マッサージ器も電動式の製品とそん色ないほど、高速で振動しました。

―― 今までも、シャワーの流水を利用した浴室器具を作ろうと考えたメーカーはあったと思いますが、なぜ実現できなかったのでしょうか。

宮澤: アイデアはあっても、形にするのが難しかったのだと思います。水路の切り替えがいい例です。ボタン式にこだわるとどうしても水漏れを防げず、断念したのかもしれません。しかし、私は、内部のノズルを2系統にして、ヘッドの付け替えで水路を切り替えるアイデアによって、壁を乗り越えました。マッサージ器やブラシ、リムーバーをアタッチメント式で取り換えられたり、排水口を設けたり、ギアを組み込んで回転速度を調節することなど、他にも様々なアイデアが詰まっています。問題や課題を、ひらめきによって一つずつ根気よくクリアしていったことが、実現化につながったのだと自負しています。

―― ビブラテルムを世に問う意義をどんなところに感じていますか?

宮澤: 従来も電動ボディーブラシや電動リムーバー、マッサージ器は単品で売られていました。しかし、電気を使うため、浴室で使うことを気にされる方はいらしたと思います。マッサージ器にいたっては、そもそも浴室で使う発想はなかったでしょう。それらを電気不要で浴室内で使うことを可能にし、さらに、アタッチメント式で1台4役を果たせるシャワーヘッドに進化させたのがビブラテルム。カラダをブラシやリムーバーで"磨く"、マッサージ器で"癒やす"など、バスタイムに今までなし得なかった様々なことができるようにして、「お風呂を楽しくしたい」「浴室文化を変えたい」と言うのが私の信念です。

―― アタッチメント部を活用してさらなる機能追加もできそうですね。

宮澤: 毛の硬い大きなブラシを付ければ、浴槽を掃除するのに便利なバスポリッシャーとして使うことができます。硬くなった筋肉を伸ばすバイブストレッチャーのアタッチメントも模索しており、これらは今試作して実験している段階です。今後もニーズがあると想定される機能を開発していく予定です。

―― クラウドファンディングの「Makuake」で支援を募るプロジェクトを5月31日まで実施しました。集まった支援金は何に使いますか?

宮澤: 複数の企業が、生産する資金や設備、部品の提供を通じて支援してくれているため、「作る方」の資金面での心配はありません。それに対し、私が担当する「売る方」は、販売促進のための資料を作成したり、プロのカメラマンにお願いして魅力が伝わる写真や動画を撮ったりする資金が不足しています。ですから、支援金は販促費に当てられればと考えています。

―― 最後に意気込みを聞かせてください。

宮澤: 家電量販店のネットショップで販売することが決まっているので、まずはそこで実績を作っていければと思っています。加えて、シャワー文化が根付く米国に進出することが目標。米国は、ある電動ボディーブラシが200万台売れた前例もあり、有望な市場です。直近では国内でマッサージ機能をアピールして「父の日」需要を狙い、将来的には米国や欧州など海外展開も実現できればと考えています。

(ライター 高橋学)

[日経トレンディネット 2017年5月17日付の記事を再構成]

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