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『君の名は。』の上白石萌音 軸は「真っ白な自分」

日経エンタテインメント!

2017/6/19

1998年生まれ。11年デビュー、16年に歌手デビュー。7月放送のNHK『ガタの国から』に主演。ナレーションを務める『風景の足跡』(テレ東)がオンエア中。秦 基博プロデュースの新曲「告白」が配信中。(写真:中村嘉昭)

 2017年の「タレントパワーランキング」女優部門の急上昇ランキングで8位に入り、若手トップクラスの成長を見せたのが19歳の上白石萌音だ。

 日経エンタテインメント!が年1回発表している「タレントパワーランキング」は、アーキテクトが3カ月に1度実施している、タレントの「認知度(顔と名前を知っている)」と「関心度(見たい・聴きたい・知りたい)」の調査を基に、2つのデータを掛け合わせて「タレントパワースコア」を算出、ランキング化したものだ。(調査の詳細は総合編の「タレントパワー、マツコが連覇 新垣、星野が急浮上」をご覧ください)

 上白石萌音は11年の「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞し、14年の『舞妓はレディ』で映画初主演。タレントパワーのスコアが急上昇したのは16年8月以降。アニメ映画『君の名は。』でヒロイン・宮水三葉の声を担当したのがきっかけだ。

 「『君の名は。』は、オーディションで台本を読んだ時から、『すごいものができるな』という胸騒ぎがしていたんです。でも受かる自信なんてなかったので、『絶対、劇場に見に行かなきゃ!』と楽しみにしていて(笑)。そんな作品でヒロインをやらせていただき、作品の人気が広がっていく様子を見た時は、夢見心地を通り越して、他人事みたいな感じでした。

 三葉を演じて学んだのは、声のお仕事は繊細だということです。例えば、息を鋭く吸うのか、柔らかく吸うのか、それだけでもセリフの意味や伝わり方が違ってきます。だから一瞬たりとも気が抜けないし、役に入っていないと筒抜けの世界。ひたすら三葉に寄り添って、『あなたに入り込みたい』という一心で演じました」

 上白石の武器といえるのが、透明感のある声と表現力。それは歌手としても生かされることとなった。16年10月にCDデビューすると、『君の名は。』の主題歌の1つ『なんでもないや(movie ver.)』のカバーなどがチャート上位を席巻。歌番組にも多く出演し、認知をさらに高めた。

 また11月公開の出演映画『溺れるナイフ』がスマッシュヒット。『君の名は。』のイメージを覆すような役柄で、女優として新境地を見せた。

■親近感を担える女優へ

 「歌手デビューは、まさかまさかの夢のようでした。『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に初出演した時は、寿命が縮まりそうなくらい緊張しましたね(笑)。でも、もともと歌は大好きな趣味でしたし、『声が好き』と言ってくださる方も多いので、歌手活動も大切にしていきたいです。

 『溺れるナイフ』は、今までにない表情を求められました。私は方言を話すどんくさい女の子の役が多くて(笑)、この映画でも前半はそうなんです。でも後半になると、性格が変わって狂気を見せる。その静かに燃えるものをどう表すか葛藤して、最終的には『目に込める』をテーマに演じました。『見る人を気持ち悪がらせたい』と演じたので、『君の名は。』を見た方は『三葉がっ…!』とショックを受けたかもしれません(笑)」

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