タフな作業に耐える 火起こしに必須なアウトドア手袋
アウトドア初心者がグッズをそろえる際に、見逃しがちなのが小物類だ。なかでも昨今のアウトドアブームによって、トレッキングやキャンプといった活動シーンを想定したグローブ(手袋)がさまざまなメーカーから出ている。
そこで今回は、過酷な自然環境にも耐えられる丈夫な作りと、着脱しなくても作業ができる素材を採用するなど特定のシーンで使いやすいグローブを紹介する。
野鳥の会のグローブ グリップ力の高さが特徴
野鳥の保護と、普及活動を目的とした日本野鳥の会。同会では主に、絶滅危惧種を保護するために、その生息地を買い上げ「野鳥保護区」として維持管理する活動や、バードウォッチングの会などを開いて、より多くの人に野鳥に親しんでもらう活動を行っている。さらに、初心者でも使いやすく持ち運びに便利なハンディー図鑑の発行なども行っているが、その専門性を活かした商品はひそかに人気を得てきている。
有名なのは2004年に発売したオリジナルの長靴「バードウォッチング長靴」だろう。折り畳むと約36×26cmの収納袋に収まる携帯性や、薄くて軽い機能性に加え、そのデザインがバードウォッチング愛好者だけでなく音楽フェスティバルなどに参加する若者にも支持され、ヒットしている。
この長靴同様にじわじわ浸透してきたのが、バードウォッチャー向けの「アウトドアグローブ(2色セット)」だ。一見軍手のように見えるこのグローブが、DIYなどの力仕事にも便利と評判なのだ。
特徴は装着したまま図鑑のページをめくったり、双眼鏡やカメラなどをスムーズに操作できること。この製品の手のひら部分には波型ゴム加工を施した天然ゴムを圧着してあり、物を持つとゴムが倒れ、接触面が大きくなってぴったりとグリップする仕組みになっている。この滑り止め効果により、野鳥を観察するときはもちろん、靴ひもの結び直しやビニール袋の口の開け閉めなど、日常の細かな動作も難なくできる。
2013年からカラフルな「サンコウチョウ」「シマアオジ」カラーの「アウトドアグローブ 野鳥」も販売されている。
米軍特殊部隊採用の技術をアウトドアで
アウトドアやサバイバルゲームなどで目にすることが多くミリタリーのイメージが強い「メカニックスウェア(MechanixWear)」。もともとはその名が示すように、レーシングメカニック専用のグローブを提供するために誕生したブランドだ。それが着けたまま精密な作業もできることからメカニックだけでなくさまざまなシーンで使われるようになり、ハンドプロテクション(手の保護)の役割を超える製品が続々登場。多種多彩なラインアップと多くの機能性で、米軍特殊部隊・SWAT、日本国内では自衛隊や、レスキュー隊等にも採用されるなど、過酷な現場で活動するプロたちからの信頼も厚い。
なかでもここで紹介するリアルレザーと比べて強い摩擦耐性と優れた着用感を持ち合わせた「Material 4X(マテリアル 4X)」素材を採用したシリーズは、合成皮革でありながら洗濯可能で、清潔に保ちながらハードな仕事にも使えると評判が高い。
「マテリアル 4X オリジナルグローブ(Material 4X Original Glove)」は、メカニックスウェア定番の「オリシナルグローブ」がベース。手のひら部分全体をシームレスタイプ(縫い目なし)にし、手のひらの感覚と動きやすさをキープ。手の甲(トップ)部分 は通気性が高く体にフィットするTrekDry素材を使い、長時間装着していても 快適なのだ。手のひらにMaterial 4Xを採用しているため、擦れに強くハードな作業にも向いている。
「マテリアル 4X ファストフィットグローブ(Material 4X FastFit Glove)」は手首部分にベルクロストラップがないタイプ。着脱が多い作業時のグローブとして人気だ。
また特に堅牢性が高いのが、「マテリアル 4X エムパクトグローブ (Material 4X M-pact Glove)」だ。手の甲部分にはサーマル・プラスチック・ラバーを使用し、ナックル部の保護と振動を吸収。手のひら部分にはパッドを挿入し、インパクトレンチなどのハンドツールの振動や衝撃を緩和してくれる。衝撃や振動からの保護力が高く、メカニック、建築業、製造業などのプロたちから人気が高い。
たき火おこしの必須アイテム
1848年、西部開拓時代の米国で誕生したというワークグローブブランド「グリップスワニー」。創立当時から現在に至るまで、頑丈なグローブを生産し続け、洗練されたデザインと高い機能性でキャンプや登山、乗馬、バイクなどさまざまなアウトドアで活用されている。
同ブランドの代名詞といえば革を使用したアイテムで、過酷な状況下でも衰えることない耐久性と、長く使い込むことで肌になじんで経年変化も楽しめるのが最大の魅力だ。
同ブランドの革を使用したアイテムのなかでも圧倒的に人気があり、多くのヘビーユーザーがいる定番モデルが「G-1」だ。もともとは金の採掘者向けに開発されたモデルで、手を保護する目的だけでなく、風、火、雨という過酷な気象条件にも耐えられる作りになっている。縫い糸には、鉄の5倍の強度もあるとされているデュポン社のケブラー糸を採用。革はクロムなめしを施したステアハイド(牛革)を採用し、使い込むほどに手の形状になじんでいくのも特徴だ。ハードタイプながら、糸の縫い目を外側にすることで快適な装着感を実現している。その耐久性ゆえに、たき火をおこす際の必須アイテムともされている。
航空自衛隊でも採用されている「GAF-01」は、開発に約2年をかけて実用化したミルスペックグローブだ。手にしっとりとなじむオールレザーの柔らかな質感で、ヘリコプターや崖からロープを地上まで下ろし、垂直降下するラペリングからシューティングまで一連の動作を行うことが可能。
「GSワークグローブ/G-5」は手のひらに合成皮革を使いつつ、手の甲には「オペロンニット」を使用して蒸れを逃がす設計になっている。アウトドアワークや園芸など細かい作業に対応するだけでなく、メカニックや自転車など幅広く対応。親指、人差し指、中指の爪先部分にはほつれを防止するためのアテが施されている。左右を判別しやすい「L」と「R」の刺しゅうもポイントだ。
(ライター 中條彰俊、中澤範龍)
[日経トレンディネット 2017年5月16日付の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。