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保育士ママ いつか理想の子育て拠点を作りたい

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日経DUAL

子どもが生まれるまでは、仕事に目いっぱい没頭できた。産休・育休中は、育児に専念することができた。それが……いざ仕事復帰をすると、仕事と育児の両方が日々降り掛かってくる。時間は同じ、一日24時間。どちらも大事、どちらも最優先。そんなとき、皆さんは何を選び、何を諦めているのでしょうか。バリバリでもゆるゆるでもない働き方のワーママに、リアルな体験、心の内を語ってもらいます。

今回、お話を聞いたのは大阪府在住の元保育園職員M・Sさん。「保育士の資格を持っているから、子育てのプロだよね」という印象を持たれるそうですが、「自分の子育てと保育と教育は全然別のもの」だとM・Sさんは言います。一般の会社で働いている女性が、保育園に自分の子どもを預けているのと何ら変わりないそうです。そんな保育の現場で十数年働いたのちに出産で退職をし、その後の自分の未来像を思い描きながら準備中というM・Sさんが感じてきた「もやもや」と「夢」を紹介します。

【今回のワーママ】M・Sさん 年齢:36歳 業種(職種):保育園の保育士(正職員)→専業主婦→理想の保育拠点を作るため準備中 住まい:大阪府堺市 子どもの年齢:10歳、8歳、6歳 
●仕事と育児をしていくために、私が選んだもの、諦めたもの 
選んだもの…理想の「保育」を追求すること、わが子と過ごす時間 
諦めたもの…一つの職場でキャリアアップしていくこと、「担任」として働くこと

3人目の出産時、職場を退職

正職員の保育士として、独身時代から1つの園で10年以上働き続けていました。しかし、現在6歳になる3人目の出産時に「育休復帰は無理だ」と判断し、退職を選びました。

本当は同じ園で働き続けたいという気持ちもありました。同じ園なら育休もブランク扱いにはならず、将来キャリアアップもできるからです。でもタイミングが合わなかったりするとなかなか、復帰できないことがあります。保育園は4月始まりなので、その時点でピタッと保育士の数をそろえてスタートさせたいんですね。タイミングが合わない時期に復帰しようとすると、自分の居場所がない……ということもあります。

一方、育休明けに違う園で働くことになると、キャリアを一からスタートさせることになります。これは先輩方を見ていて気づいたことなのですが、自分が理想とする保育を園に取り入れたい、と思っても、その権限を持つ主任のポストに、中途採用者が就くことは難しかったりします。なので、新卒採用で入った保育園でキャリアを積みたいという思いはずっとありました。

でも、現実的に子どもが3人いる状況で、決められた時期に育休から復帰することは厳しいと感じました。理由は以下です。

保育園での仕事は、朝が早く、夜は遅くまで拘束されます。一方、自分の子どもたちの預け先は、早朝から夜遅くまでは預かってくれませんでした。そして私の保育士としての賃金は安く、時給換算で1000円以下。時間外の預け先としてファミサポも検討しましたが、子ども3人×800円になるため、1時間当たり2400円が必要になり、私のお給料とは全く見合いません。これでは、子どもたちを我慢させたうえにお金が出ていく一方で、何のために仕事しているのか分かりません。

また、3人の子どもの当時の年齢は0歳、2歳、4歳。寝る時間がそれぞれ違うし、寝かしつけにも手がかかります。0歳児は3時間ごとに起きますから、ハードな仕事との両立で、私の身体ももたなくなることは容易に想像がつきました。

子どもの生活リズムを崩す夫は頼りづらい

夫は仕事が忙しく、家事・育児は私1人でこなしていました。日曜日のみ夫が担当してくれることもありましたが、1カ月単位で計画している食費が日曜日だけ大幅に跳ね上がるんです。当然、家の食品の在庫は把握していないし、「家計・子どもの栄養」をトータルで考えてくれないことに、手助けになるうれしさよりもストレスがたまりました。家事や育児って、日々を知らないと、できないものなんですよね。

それに、私の職業病かもしれないですけれど、寝る時間・食べる時間などの生活リズムが崩されるのもイヤでした。テレビをあまりつけない生活を守らせていたのに、夫はダラダラと見せちゃう。私はおもちゃや絵本にこだわって、子どもと一緒に過ごす時間を大切にしてきました。夫も共感はしてくれるのですが、実行に移せるかというと…難しいものですね。

子どもが時期をずらしてインフルエンザを発症し、私が2週間仕事を休んだこともありました。さすがにこのときは「このままクビになるかも」と怖かったです。正職員だから戻れましたが、パート勤務に移っていたらこんな甘えは許されず、クビになっていたかもしれないですね。

私が共働きをやめて、世帯収入が減ってしまうことを、夫はそこまで気にしませんでした。家で子どもたちの面倒を見られるなら、3倍も値段の高い保育園に預けずに公立の幼稚園代だけで済むし、ファミサポ代も不要になります。幼稚園に行っている5時間の間に、洗濯を済ませて、家を片付けられる、そんな感じですね。収入が減る分は、支出を減らして対応しました。遊びに行くお金や食費の節約などを頑張りました。

「お母さんはカッコイイ」に勇気づけられる

専業ママの生活は充実していたのですが、退職後、数年が経つと、また保育の仕事に関わりたくなりました。

そこで、ママたちが子ども連れで集まれる場所としての「ぷち保育園」を月に数回、地域の公共施設の一室を借りてスタートしました。勤める保育園では実現できなかった「こういう保育があればいいな・こういうお話を聞かせてくれる先生がいたらうれしいな」ということを、まずは小さな一歩ですが、ママたちに提供していこうと思ったのです。

「ぷち保育園」は、特定の「ママ友」がいなくても一人で参加できる場所があるといいな、という思いからスタートしました。1年かけて親子に寄り添い、本やネットには書いていない、その人、その子へのアドバイスができる存在になることを目指しました。ちまたにはたくさんの育児法があります。「ベビーマッサージ」「ベビーサイン」「早期教育」「英会話」など、「するといい」とされることもたくさんあり、お母さんたちは、何をするのが正解なのか、いつも悩んでいました。それらの方法は子育ての引き出しの一つであり、親子が楽しく過ごすための道具の一つであること、一番大切なのは、お母さんが自分のこと、わが子のことを愛して、受け入れられることだよ、と伝えていきました。

例えば5月は手形・足形を使ったこいのぼりの制作、調理室を使ってのお弁当作り、6月は雨が多いのでお部屋遊びの紹介やベビーマッサージ体験……など、毎月、色々な取り組みをしました。

長女は5歳だったので、「ぷち保育園」に一緒に連れていき、手伝ってもらいました。ぷち保育園は好評で、いつも十数組の母子が集ってくれて、数年間も続きました。施設のクローズに伴い、泣く泣く終了させることになったのですが……。

この小さな取り組みをしている間、私たち親子にとってもうれしい変化があったんです。長女が8歳になったころ、「働いているママのほうが好き。みんなにありがとう、ありがとうって言われる仕事してるの、カッコイイなぁ。お母さんみたいになりたいから、マネしてるんだ」と、私の仕事を応援してくれるようになったのです。自ら家の手伝いをしてくれたり、家に帰ったら「おつかれさま」の手紙が置かれていたり……。一生懸命やっていることを、ちゃんと見てくれている人が家族にいるんだなって、うれしかったですね。

この応援をきっかけに、自分の仕事にさらに思いを込めてやるようになりました。ちなみに、2歳下の次女はキャラの違いかそんな反応は何もなかったです(笑)。

たどり着いた「理想の保育スタイル」

私は「教育」と「保育」と「子育て」は全くの別物だと思っています。ややこしいのですが。私は保育の仕事をしていても、家での子育てとは全然違うことをやっている感覚がありました。

・子育ては、「一緒に育ち合うこと」「共に歩く」こと。

・保育は、「生活の基盤を作る」こと。プロじゃないとなかなか大変です。

・教育は、「教える」「知識を与える」こと。子育てや保育のベースがあるところに、さらに与えるイメージ。

子育てしていて難しいことの一つに、「わが子を、別の人生を歩いている人と思えない」ということがあります。自分が産んだ子なので、どうしても他人事に思えないんですよね。それをハッキリと「別人格なんですよ」と明確に教えてくれるのが保育や教育の存在なのではないかな、と思います。でもね、この3つは、どれもいつからだってやり直しがきくものなんですよ。

私が保育という仕事にハマったのは、子どもが1人の人として尊敬できる存在だと思ったから。道に落ちている石でも宝物にしてしまったり、日々ワクワクできる天才なんですよね。こちらが一生懸命やっていることも必ず伝わるんです(手抜きもバレています!)。この小さな人たちのそばに居たい。ものすごく学べるから。その思いが、今も続いています。

いま私は「ぷち保育園」の経験などから、「本当の保育を届ける拠点を作りたい」ということを目標としています。例えば、保育をする人の都合でクラスを年齢別にするのではなく、子ども同士、育ち合いができるような縦割り保育をもっと取り入れる。下の子が上の子を見て憧れ、上の子は憧れられることで成長の糧になったりもします。また、たくさんの友達と関わりたい子がいれば、少人数が落ち着く子もいる。それを理解して、子ども一人一人に合った、個別のカリキュラムを提供したいです。

遠足も既存施設ではなく、森の中など自発的に遊ぶことができる所に出かける。家庭ではできない「保育」ができる場所を提供できるといいですね。一つの保育園に居続けなかったからこそ得られた人脈や知識を生かし、総合的に子育て支援できる拠点を作りたい!と思っています。

たびたび感じるのは、「母親が担うべき」とされることが、あまりにも多過ぎるということです。色々な価値観があり、色々な子育ての方法がある。「こうあるべき」というものがあった時代から、自由に選択できる時代になった。いい面もありますが、あまりにも多過ぎる情報のなかから、母親が選択して、その責任を負うのは本当に大変なことです。

保育のことは、保育のプロに任せてください! と言える拠点が必要だと思っています。例えばトイレトレーニング。子どものトイレトレーニングのために、家中のカーテンを外して、お母さんも身なりを気にせず、1日中、子どもの排せつに付き合う。そういう、お母さんが担っていることを、もっと保育のプロが「任せてください」と言えるような、拠点を作りたいと思うのです。

私自身が「安心して仕事に没頭できるように、質の良い保育園を選んできた」という経験があるので、多少保育料は高くても、必要としている方は多いのではないかと感じています。物は増えているけれど、愛情が行き届いていない時代。お金で買えない、心の豊かさを求めている人が、最近徐々に増えてきたように思うのです。すべての子どもたちが自分に自信を持ち、自分を認める気持ちを持てるように、後押しをしていきたいと思っています。

(ライター 槙本千里)

[日経DUAL 2017年4月11日付記事を再構成]

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