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「アジア人お断り?」 海外で理不尽な差別を受けたら

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日経ウーマンオンライン

こんにちは。著述・翻訳家の上野陽子です。最近、アジア人であることを理由に理不尽な扱いを受けた人たちの記事を目にします。今回は、差別とも見える海外のニュースをもとに、私たちの身に起きたとき、どのような対処をしたらいいかを考えてみましょう

断られた理由は「アジア人だから」

以前、台湾人の友人から、こんなお話を聞いたことがあります。

神様がクッキーを焼いていました。1枚目は焼き時間が少なくて白っぽく仕上がってしまいました。そこで、2枚目を作ると今度は黒く焦げてしまいました。今度こそと3度目に挑戦したら、ちょうどいい焼き色に仕上がりました。それが、アジア人でした。

「アジア人が一番いい具合」という都合のいいお話に、どこか違和感を持った記憶がありました――。

さて先日、ハフィントンポストで「アジア人だから」という理由で、米国で宿泊を拒否された女性の記事を読みました。それは、一般の人たちの自宅や別荘などの貸し出しを取り次ぐAirbnbというサイトを介しての出来事です。

その女性は、一般家庭に宿泊を申し込み、その場所へ向かう道中、突然宿泊を拒否されるショートメールを受け取り、路頭に迷ってしまいます。ホストは、女性のプロフィール写真を見てアジア人だと判断して拒否したのです。

この件では、ホストが「アジア人だから断る」と、人種が理由であることをショートメールに明記していました。そのため、公に「差別」だと認められて反響が起こり、Airbnb社はそのホストの登録を解除し、永久追放しました。

「なぜこんな仕打ちを受けるのだろう?」と疑問を持たざるを得ない出来事は、まだまだたくさんあります。

イチローのバットはチョップスティック

先日、米ユナイテッド航空の国内線でダブルブッキング騒動がありました。乗員数オーバーのために乗客を降ろさなければなりません。その際、一人のベトナム系米国人医師が、強引に引きずり降ろされそうになり、大きなけがを負うという出来事がありました。

この件も差別ではないかとの声も聞かれました。航空会社の機械による無作為抽出や対応に差別はなかったことと思います。さらには、医師が過去に保護観察処分を受けたことがあるといった報道も出ています。

ただ、今回引きずり降ろされそうになった原因は「ダブルブッキング」。医師が歯を折り、鼻を骨折し、血を流すほどの行き過ぎた行為を見ると、治安当局職員個人の意識に何があったかは計り知れません。相手が白人の男性だったとしたら、治安当局職員が同様の行為をしたかは、疑問が残るところです。

こうしてつい「差別では?」と騒ぎたくなってしまう場面は多々あります。しかし、するほうもされるほうも、個人の意識や感覚によるところが大きく、実際に差別なのかどうかの判断も難しいところです。

海外で活躍するスポーツ選手にも、公にそうした発言がぶつけられるのを目にすることがあります。何年か前にテレビで「イチロー選手のバットはチョップスティック(箸)」などと発言をした野球解説者がいました。その言い方から「食文化に対する侮辱では」など、むしろFOXをはじめとするアメリカのメディアが取り上げるようなこともありました。

サッカーの中村俊輔選手には「オレの犬を食った」などとヤジが飛んだこともあるなど、他にも解説者やサポーターからの発言も多く見られます。理由は、アジア人だから、肌の色が黄色いから、日本人だから、とにかく外国人に腹が立つ……とさまざま。ですが、自分は何もしていないのにと理不尽に思える理由ばかりです。

トランプの「異質物排除」の発想のもと

日本では、日本人が民族や肌の色で特別な扱いを受ける経験はほとんどありません。でも、旅行でも一歩海外に出ると、日常的な出来事になり得ます。

私が海外の学校に自転車で通う途中、トラックを運転する男性が「ジャーップ」と大声で怒鳴り、缶を投げつけてきたことがあります。私自身が何かをしたわけではなく、あまりに理不尽。私は何もできないままに、トラックは走り去っていきました。

こうした意識の背景には、貿易のトラブル、戦争時代からの怨恨、民族や宗教の違いの他、長い時間で積み重なってきた、さまざまな理由があります。私が缶を投げられた街では自動車の貿易摩擦で反日感情があり、その時期には反日デモもありました。

立場を変えて、差別する側の視点で見てみると……例えば国によっては移民の犯罪率が高く治安が乱れたり、地元住民の仕事がなくなったりと、外国人が入ってきたがために不都合があるのも事実。もちろん、闇雲に差別していることもありますが、自分たちの暮らしを守るために、といった考えから派生している場合もあります。

ここからトランプ大統領のような「外国人や異質な人種を排除しよう」「そのために壁を造ろう」という発想につながっていくわけです。むやみに差別されたというだけでなく、そこにある背景を知ることが、互いの理解につながりそうです。

では、海外で理不尽な出来事に出くわしたとき、どのように対処したらいいか、具体的に見てみましょう。

理不尽さを感じたとき、海外での対処法

海外で差別的なことに出くわしたときの対処法は、無作為、個人的な攻撃などどんな場面によるのかで、何段階かあると思います。一例として、次のようなものが挙げられます。

<無作為の場合> 例:デモや街中でいきなり攻撃を受ける

危険を伴うため、できるだけ関わらない。デモや危ない地域には近寄らない。

<公の場で受けたら> 例:飛行機内や宿泊先など

しっかりと声を上げて交渉・抗議する。

<日常的な場面で個人としての付き合いの中で> 例:近所の人、旅先のガイドさんなど

気持ちを伝え、お互いを理解し、歩み寄る。

今回のAirbnbで被害に遭った女性は、SNSを通じて、理不尽な理由で宿泊をいきなり拒否されたとしっかりと声を上げました。ただ、泣き顔だったことがとても残念です。弱い立場でも毅然とした態度のほうが、人は話を聞いてくれるように思います。

こうして自分たちばかりが被害を受けていると思うと、実は私たちも気付かないうちに差別をしていることもあります。欧米では「アジア人」とひとくくりなのに、そのアジア人同士ですら、互いにけん制し合っています。

そういえば、あのよく焼けたクッキーのお話では、色を3種類に分けて、2種類を「失敗」かのような表現をしていました。

でも、神様はきっと失敗したのではなくて、いろんな種類のクッキーを用意したんです。それぞれ違った味わいもいいものだと感じて、みんなで楽しんでほしかったのかもしれません。

上野陽子
 著述家、翻訳家、コミュニケーション・アナリスト。カナダ、オーストラリアに留学後、ボストン大学コミュニケーション学部修士課程でジャーナリズム専攻、東北大学博士前期課程人間社会情報科学専攻修了。通信社、出版社をへて、コラム連載や媒体プロデュースを手がける。仕事と趣味で世界50カ国以上を周る旅好き。『スティーブ・ジョブズに学ぶ英語プレゼン』(日経BP社)『1週間で英語がどんどん話せるようになる26のルール』(アスコム)ほか著書多数。

[nikkei WOMAN Online 2017年5月9日付記事を再構成]

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