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定年楽園への扉

会社員の老後資金 企業年金知らぬはもったいない 経済コラムニスト 大江英樹

2017/6/1

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 会社員にとって、老後の生活を支える3つの柱は公的年金、企業年金・退職金、そして自分の蓄えです。米国でも同じ構造で、この3つの柱は「Three Legged Stool」(3本脚の椅子)と表現されています。

 このように企業年金・退職金は会社員にとって、老後の生活を支える重要な手段の一つとなっています。ところが多くの人は、自分がどんなタイプの企業年金に加入しているのかをあまりよく把握していません。

■FPでも企業年金に詳しくない人

 実は、老後生活設計を相談すべきファイナンシャルプランナー(FP)でも公的年金のことはよく知っていても、企業年金にはあまり詳しくない人がいます。

 そういう人がつくった老後の資金計画を見たことがありますが、どこにも企業年金や退職金のことが載っていませんでした。それでいて「これでは老後の資金が不足しますから」といって保険や投資を勧めることがあるのです。故意か否かは不明ですが、非常に不適切なアドバイスだと感じました。

 老後を支える企業年金・退職金について何も知らないのでは老後のライフプランを立てることは不可能です。従って、会社員の皆さんは自分の会社の企業年金の仕組みやいくらぐらい受け取れるのかはちゃんと理解しておく必要があります。

 サラリーマンの中には、退職金は知っているけど企業年金はどういうものかわからないという人が多いようです。結論からいうと、退職金は企業年金のことです。退職するときに一度にまとめてお金を受け取ればそれが退職金、何年にも分けて受け取れば企業年金です。

 ただし、一定期間勤務していないと年金方式で受け取れないとか、制度的に必ず一部は退職金でしか受け取れない場合もあります。それに、すべての企業に企業年金があるわけではありません。主に大企業が中心ですが、中小企業の場合は、複数の企業がまとまって企業年金をつくっているケースもあります。

 企業年金にはいくつかの種類がありますが、最も加入者が多いのが会社が運用する確定給付企業年金(DB)といわれているものです。加入者は最近横ばいになっていますが、それでも約800万人います(2016年3月末時点、企業年金連合会調べ)。その次が自分で運用先を決める確定拠出年金(DC)です。加入者は600万人近くいます。最近はiDeCoという愛称で個人型DCに人気が集まっていますが、企業型DCが圧倒的に多いのです。

 DBは決められた年金の給付額をまかなうために、必要な掛け金を企業が拠出します。運用難で不足が生じたら会社が追加負担するため、経営が悪化します。そこで従業員が運用に責任を負う企業型DCへの移行が進みました。DBとDCを組み合わせて企業年金を提供している企業もあります。現在ではサラリーマンの半分以上の人は何らかの企業年金に加入しているのではないでしょうか。

■人事や総務に聞けば説明してくれる

 では、どうすれば企業年金において自分の金額を知ることができるのでしょう。DCは簡単です。自分の会社が委託している運営管理機関のウェブサイトやコールセンターでいつでも残高確認ができます。ところが、DBはそういうわけにはいきません。会社の人事部や企業年金基金といった部署に聞く必要があります。

 かつては、自社の企業年金の制度やそれによって将来どれくらいの年金が受け取れるのかを積極的に社員に開示していない企業が多く、なかなか知ることができませんでした。ところが、最近は情報開示の徹底が求められていますので、人事や総務に年金や退職金の制度を聞けば、ちゃんと説明してくれる企業が増えています。

 遠慮することなく、自分の将来のためぜひ会社に積極的に尋ねてみることが大切です。企業年金と退職金の金額をはっきり把握してから、足りない分を自分でカバーするというのが正しい老後資金の準備の仕方です。

「定年楽園への扉」は隔週木曜更新です。次回は6月15日付の予定です。
大江英樹
 野村証券で確定拠出年金加入者40万人以上の投資教育に携わる。退職後の2012年にオフィス・リベルタスを設立。著書に「定年男子 定年女子 45歳から始める「金持ち老後」入門!」(共著、日経BP)など。http://www.officelibertas.co.jp/

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