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賀来賢人、古着アロハにハマって40枚 お国柄に感心

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NIKKEI STYLE

『花子とアン』や『花燃ゆ』などのドラマや映画で人気を博し、2017年はドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』でのコミカルな演技に注目が集まった賀来賢人さん。27歳の賀来さんが「集めている好きなもの」として持ってきたのは、古着のアロハシャツだった。

ルーツやストーリーが感じられる古着アロハが好き

「アロハシャツって、ちょっとチンピラっぽいというか、おじさんくさいというか(笑)。日本人が普通に着るイメージがあまりなかったんですけど、ハワイに行った時、現地の人がさりげなく着ているのを見て、カッコよく見えたんです。それで着てみたら、すごくラクだし、『夏だな!』という気分になれて(笑)。そこから好きになって、この3~4年で40枚くらい集めました。

アロハは、国によって柄が全然違うところも面白いんです。だから『これはハワイで買った』『こっちはニューカレドニア』というふうに、旅とともに思い出せる。ご当地Tシャツじゃないですけど、そういう魅力もあります。

あと、僕が買うのは基本的に古着なので、雑に扱ってもいいっていうのも魅力です。なぜ古着かというと……僕、新品の洋服だと『汚しちゃいけない』と思っちゃうんですよ。でも古着だと最初から汚れてるんで、『べつにどうなってもいいや』って思える(笑)。アロハ以外も、ほとんどの服が古いものです。

古着は、ルーツが感じられるところもいいですね。例えば僕は『サーマル』という軍のアンダーウエアを集めるのも好きなんですけど、それは国によって生地や形が違うんですよ。軍の年代によっても厚みが全然違う。同じように、アロハシャツにもいろいろ種類があって、ハワイでは正装としても着られている。そういうことを調べて、ルーツに興味を持ったのも、好きになるきっかけでした。」

 

アロハシャツのルーツは、日本のキモノだという説がある。19世紀末、ハワイへ移住した日本人たちが、現地の気候に合わせて着物をシャツに仕立てたのが元になっているそうだ。

「そうなんですか?(笑)。そういうストーリーが面白いですよね、古着は。しかも、今の既製品にはないデザインのものがあったりして、個性が出せるところもいい。まあ、古いので、たまにすごい臭いのヤツがあったりもしますけど(笑)。

服以外のモノも、やっぱり古いものが好きですね。今年初めに部屋を模様替えしたんですけど、その時に買った机も、やっぱり古いビンテージものでした。クルマも昔のクルマがカッコいいと思う。

古着が好きなのは、友達の影響もあります。友達が古着屋をやってて、そこに行くようになってから好きになりました。あとは、便利じゃない形っていうのかな。機能性を追求するとどんどんシェイプアップされちゃうけど、不便な形の方が、なんかステキに見える。そういう無駄なデザインに引かれるんです。」

舞台の必需品は、ハチミツと炭酸抜きコーラ

17年8月11日から幕が上がる次の舞台は『ヤングフランケンシュタイン』。コメディーの天才・メル・ブルックスのミュージカルを、日本の笑いの鬼才・福田雄一さんが演出する日本版だ。賀来さんは、小栗旬さん演じる主人公フレデリックの助手、アイゴールを演じる。

「お話をいただいた時は、とにかく面白そうな座組みだなと思いました。福田さんのふざけた世界観に小栗さんが主演で出るっていうのは、挑戦的で、あまり見たことのない絵面になるなと。ぜひやりたいと思いました。

僕の初舞台(2011年の『スマートモテリーマン講座』)も、福田さんの演出だったんですよ。よく『初舞台を楽しめるか楽しめないかで、その先、役者として舞台をやっていくかが決まる』といわれるんですけど、僕はすごく楽しく、のびのびやらせていただけました。それで、今も舞台を続けられていると思います。

舞台の魅力は、お客さんの反応が、じかに返ってくるところですね。特にコメディだと、笑いで反応がわかりやすく、自分の実力も露骨にわかります。だから勉強になるし、鍛えられる。福田さんは自由にやらせてくれるけど、その分、自分の力を試されるところがあるので、怖さもあります。

最近は『スーパーサラリーマン左江内氏』や『勇者ヨシヒコと魔王の城』など映像作品に呼んでいただいていたんですが、舞台は久々。ぜひ自分が成長したところを、福田さんに見せられたらいいなと思います。」

約1カ月の稽古期間を経て、1~2カ月にわたって連日公演が続く、舞台の仕事。ハードな日々を乗りきるために必要なモノは、「甚兵衛」「ハチミツ」「コーラ」という。

「稽古のときは基本的に、甚兵衛を着ています。なぜ甚兵衛かというと、動きやすくて、ラクだから(笑)。夏は特に、暑いので甚兵衛に裸足です。やっぱりラフな格好が好きなんですよね。なるべくラクして生きていきたい(笑)。

公演期間中に意識するのは、喉のケア。ハチミツは、舞台に上がる前に舐めておくと、全然違うんですよ。声があまりしゃがれなくなる。

先輩に『飲むといいよ』と教えてもらったのが、炭酸抜きコーラです。糖分がすごくあるから、飲むと元気になります。本番中も裏で飲んでますね。炭酸を抜くのは、そのままだと舞台上でゲップが出てしまうからです(笑)。

今回の舞台で不安なのは、体力。夏の舞台って、ほんとキツいんですよ。芝居やってると、汗でベチョベチョになる。だからなるべく水分を取りながら、コーラを飲みつつ乗り越えたいと思います。」

大人になるために、初めてスーツを作った

福田雄一さんをはじめ、松尾スズキさん(大人計画)、ケラリーノ・サンドロヴィッチさん(ナイロン100℃)、いのうえひでのりさん(劇団☆新感線)ら名だたる演出家のもとで腕を磨き、映画やドラマで主演も重ねてきた賀来さん。今年はデビュー10周年を迎える。

「10年で、それなりに度胸みたいなものも身につきましたけど、やっぱり毎回緊張しますし、怖いです。慣れないですね。人前に出る、この仕事に。

これまで大きな失敗はしてないと思うんですけど、小失敗はいっぱいありました。舞台で2分間、セリフが出て来ないとか(笑)。それはもう、体感で40分くらいに感じました。

そういう経験をすると度胸もつくし、トラウマにもなります(笑)。そうしてまた、怖くなる。でもなんか、その怖さがあるから、緊張感を持ってやっていけてるっていう感じがします。

買い物は、がんばった時とかに、自分へのご褒美的にすることが多いです。

最近買ったのはスーツ。僕、スーツを一着も持ってなかったんですよ。でももう27歳だし、大人として一着は持っていたいなと思って、オーダーメイドで初めて作りました。大人の買い物をしました。着た時は、大人の感じがしました(笑)。

今後の目標ですか。いろんな役ができる人になりたいです。これから歳をとっていくなかで、人生経験を積み重ねて、芝居に生かせたらいいなと思います。やっぱり表現には人間力が出ると思うので……。普段もちゃんと生きて、それが仕事に生きたらと思います。

え? 仕事以外にやりたいことですか。うーん……貯金(笑)。それは将来、ラクするために(笑)。」

賀来賢人
 1989年生まれ、東京都出身。2007年に俳優デビューし、映画『銀色の雨』(09年)で初主演。主な出演ドラマに『クローバー』(12年/テレビ東京)、『Nのために』(14年/TBS)、『スーパーサラリーマン左江内氏』(17年/NTV)など。映画には『ごくせん THE MOVIE』(09年)、『森山中教習所』(16年)などがある。福田雄一脚本・監督映画『斉木楠雄のΨ難(さいなん)』が17年10月21日公開。

ミュージカル「ヤングフランケンシュタイン」

 かつて怪物を生み出したフランケンシュタイン博士の死後、孫で脳外科医のフレデリックが城を相続。祖父の実験記録を読むうちに「自分も実験をしたい」と思うようになる。 演出+上演台本・福田雄一 作詞+作曲メル・ブルックス 脚本メル・ブルックス、トーマス・ミーハン 出演・小栗旬、瀧本美織、ムロツヨシ、賀来賢人、保坂和寿、吉田メタル、宮川浩、瀬奈じゅん 17年8月11日~9月3日@東京国際フォーラムホールC、9月7日~10日@オリックス劇場(大阪)

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