くるぶし丈と相性抜群 今が旬のレザースリッポン3選
特集 足元から涼しく! 今から買いたい「夏靴」たち 中編
ウエアと同様に、シューズも季節に合わせて買い替えたいところ。ビジネスシューズは1年を通して履けるものが多いが、休日のカジュアルシューズはそうはいかない。とはいえ、大人の着こなしにスニーカーも合わせづらい……。そんな人に今季お薦めしたいのが、人気沸騰中のレザースリッポンだ。
人気のくるぶし丈パンツと相性抜群
スリッポンとは、靴ひもがなく、着脱が容易なシューズのこと。正式には「slip-on」で、文字通り滑り込ませるように簡単に履けるのが特徴だ。ひもや留め具のない靴全般を指すため、ローファーやドライビングシューズなどもスリッポンに含まれる。
ひもがないのでカジュアルな印象が強く、軽快に見えるスリッポンは、春夏のシューズとして人気が高い。しかしスニーカータイプだとラフすぎるため、レザーモデルを選ぶ人が増えているという。シューズセレクトショップ「ワールド フットウェア ギャラリー」の取締役を務める、ドレスシューズ界の御意見番の日高竜介氏に話を聞いた。
「今季は仕事にも使えるような比較的ドレッシーなレザースリッポンを増やしていますが、そのカテゴリーの売り上げが2月末からの累計で昨年比4倍と好調です」(日高氏)
この人気を受けて、ワールド フットウェア ギャラリーでは追加でレザースリッポンを発注し、カラーバリエーションも拡充。「ひも靴の仕入れ予算の30%をスリッポンにまわした」(日高氏)とも話す。
なぜ今季はこれほどまでにレザースリッポンが人気なのか。そこにはウエアのトレンドが関係していると日高氏は分析する。
「まずはローファーソックスの一般化が挙げられます。特に東京ではその傾向が顕著で、足首を露出させることで着こなしがこなれて見えるためスリッポンの需要が高まっています。そしてオフでの短パンや、くるぶし丈パンツの浸透。これらパンツにスニーカーではカジュアルすぎるので革靴を合わせたいところですが、スリッポン以外の革靴はなかなか合いません」(日高氏)
革靴なので大人っぽく履けて、ひもなしで軽快に見えるレザースリッポン。何より着脱が楽なことからリラックス感も高い。両手がふさがっていてもOKなので、脱ぎ履きの多い日本の生活にぴったり。今回はそんなレザースリッポンの注目作を3つ紹介する。いずれもほどよくカジュアルで品があり、休日靴として大活躍するはずだ。
ロブス/内張りなしの1枚革でぴったりフィット
イタリア・ナポリの靴デザイナー、ヴィンチェンツォ・セネカが1974年に立ち上げた紳士靴ブランド。ハンドメードを多用した高品質シューズをリーズナブルな価格で展開しており、日本でも人気が高い。
今回紹介するモデルは、1枚革で仕立てたホールカットシューズと呼ばれるタイプのローファーだ。見ての通り、装飾や継ぎ目などが一切なく、熟練の職人技によるフォルムの美しさや革の表情が際立つ。非常にシンプルなデザインのため、足元に軽やかな印象を与えてくれる。
また、ライニング(内張り)を施していないことも特徴。これにより足当たりの良さが向上し、ローファーのデメリットであるフィッティングの難しさを克服した。
「ロブスのスリッポンは昨年対比250%と好調です。2月から売れていて、"こんな靴を待っていた"との声が多数寄せられています。フィッティングが抜群なので、ローファーは履きたかったけど足のカタチが合わなくて断念していた、という方に大変好評です」(日高氏)
ジャランスリウァヤ/コスパ最強のタッセルローファー
1919年にインドネシアで創業し、外国人向けのミリタリーブーツなどを製造していた靴工房が2003年に立ち上げたシューズブランドがジャランスリウァヤだ。靴の聖地として知られるイギリスのノーサンプトンで修行を積んだ職人が手がける。品質の高さとコストパフォーマンスの高さが注目され、現在は多くのセレクトショップが取り扱うほどの人気ぶり。
今回紹介するのは、ローファーのなかでもコインローファー(甲部分に切れ込みが入ったデザインのローファー)に次ぐ定番モデル、タッセルローファー。タッセル(甲部分の房飾り)の上品さと、ローファーのリラックス感が同居し、ほどよくカジュアルな雰囲気に仕上がっている。
アッパーには、カーフレザー(仔牛の革)のエキスパートとして知られるフランスの有名タンナー、デュプイ社のカーフレザーを使用。タッセルも同素材を使い、それをつなぐ革ひもを履き口の周囲に配置。すっきりとしたシルエットながら足入れの良さが好評のラスト(木型)を採用。短めのノーズと、自然な丸みのトゥが特徴だ。
何よりビスポーク(オーダー靴)でも用いられる手縫いのハンドソーンウェルテッド製法で、デュプイ社のカーフを使っているのに3万円台というコストパフォーマンスの高さは見逃せない。
「オフィシャルECサイトでは、発売後即完売で現在入荷待ちの状態です。昨今増えてきたビジカジやジャケパンスタイルのビジネスパーソンの方々には、細みのスーツに合う靴としても好評をいただいています」(GMT プレス 三浦由貴氏)
ヒロシツボウチ×エディフィス/シボ&クレープソールが軽やか
著名シューズデザイナー、坪内浩氏が2008年に創立したシューズブランドと、人気セレクトショップのエディフィスによるコラボレーション。エディフィスが"日本の職人に靴を作ってもらいたい"というとこから始まった企画で、毎シーズン好評を得ている。
今季は定番のコインローファーをシボレザーで仕立てたモデルを発売。シボによる独特のニュアンスが足元に個性をプラスする。
また、ヒロシツボウチのコインローファーは、通常はグッドイヤーウェルテッド製法だが、オン・オフ兼用できるようにクレープソールを特別にオーダー。クッション性に優れるクレープソールが、ほどよくカジュアルな表情と、リラックスした履き心地を創出。大人の休日靴に最適な一足に仕上がっている。
「ビジネス、カジュアルとシーンを選ばず合わせられる上品な見た目でありながら、クレープソールで履き心地が非常にいいため支持されています。購入される方の年齢層は幅広く、エディフィスのお客様全体に受け入れられています」(ベイクルーズ エディフィス プレス 高津戸真吾氏)
本作はジャパンメードによるクオリティーの高さもポイントだ。カラーバリエーションは、ビジネスにも使えるブラックのほか、ホワイト、ブラウン、ネイビーの4色展開。シーンや着こなし、気分に合わせてカラーを選べるのもうれしい。
前編 歩くたびに熱気や湿気を放出 通気性で買う本革靴3選
中編 くるぶし丈と相性抜群 今が旬のレザースリッポン3選
後編 見た目スニーカー、通気性はサンダル 街履き新潮流
(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT)
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