星野源 沸騰する女性人気に加え、10代男子も熱視線
2017年の「タレントパワーランキング」で最もスコアを伸ばしたのが36歳の星野源だ。16年の総合466位から17年は17位へジャンプアップ。「急上昇TOP30」の1位となった。音楽や芝居など様々なジャンルで活躍する多才なアーティストで、16年10月期に放送されたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』をきっかけに躍進。全世代で女性人気が高まったのに加え、コントやラジオでの活躍が受け、男性若年層でスコアが高いのが特徴だ。
日経エンタテインメント!が年1回発表している「タレントパワーランキング」は、アーキテクトが3カ月に1度実施している、タレントの「認知度(顔と名前を知っている)」と「関心度(見たい・聴きたい・知りたい)」の調査を基に、2つのデータを掛け合わせて「タレントパワースコア」を算出、ランキング化したものだ。(調査の詳細は総合編の「タレントパワー、マツコが連覇 新垣、星野が急浮上」をご覧ください)
職のないみくり(新垣結衣)が、35年間彼女のいない平匡(星野)と契約結婚。その顛末を描いたラブコメディ『逃げるは恥だが役に立つ』は最終回の視聴率が20.8%を記録。大ブームとなり、星野源の認知度を一気に高めた。仕事や結婚がテーマだけに、20代~30代女性の支持が中心と思えるが、世代別のパワースコアを見ると、それ以上に10代人気が高いことが分かる。
星野のパワースコアが初めて2桁を超えたのは15年。同年2月の調査時点では、世代別に見ると20代女性が中心(下グラフ)。まだ、知る人ぞ知る存在だった。
だが、幅広いジャンルでの活躍で、徐々に支持を拡大していく。15年は産婦人科医を演じた10月期のドラマ『コウノドリ』などで20代~40代女性の関心度がアップ。アーティストとしては同年5月のシングル『SUN』のヒットに続き、12月のアルバム『YELLOW DANCER』で初のオリコン週間1位を記録した。年末の大型歌番組や初の『NHK紅白歌合戦』出演も果たすと、16年2月の調査では、音楽への関心も高い10代女性のスコアが一気に伸びた。
10代男女でトップ10入り
そして、16年10月期のドラマ『逃げ恥』に出演。この作品では星野が手掛けた主題歌『恋』のミュージックビデオやドラマのエンディングで出演者が踊る"恋ダンス"が注目を集めた。YouTubeでの公式動画の再生回数は1億回、ドラマのエンディング映像フルバージョンの累計再生回数も7500万回を突破。16年末の『紅白歌合戦』でもこの曲を歌い、振りをマネして楽しむ若い世代にさらに浸透することとなった。
今回の調査でも女性では10代が最も高く、62.7ポイントで同世代の4位。これは、嵐やHey!Say!JUMPらと並んでのトップ10入りで、今やアイドル的な人気も獲得しつつあると見れる。
一方、10代男性でも9位。48.3ポイントは、30代、40代女性を上回るスコアだ。10代男性は1位斎藤司(トレンディエンジェル)、2位出川哲朗など、お笑いへの関心が高いのが特徴。星野はNHKのコント番組『LIFE!~人生に捧げるコント~』に12年から出演、ラジオ『オールナイトニッポン』ではパーソナリティーを務めており、その個性的なキャラクターも支持されているといえる。
ラブコメドラマに音楽活動、コントにラジオ……。この間口の広さが様々な世代を魅了する星野の強みだ。
2016年は『逃げ恥』のほか、役者としてNHK大河ドラマ『真田丸』にも徳川秀忠役で出演。強大な権勢を誇った家康を父に持つ、頼りない二代目が少しずつ成長していく様を演じきった。
2017年に入ると、3月にエッセー集『いのちの車窓から』を上梓。4月にはアニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』で主演声優を務めた。そして5月21日からは初のアリーナツアーがスタート。夏には犯罪を犯した人の再生を描く社会派ドラマ『プラージュ』(WOWOW)で主演を務める。ジャンルや枠にとらわれないエンタテイナーだからこそ、その支持層を広げる余地はまだまだありそうだ。
(ライター 関亜沙美)
[日経エンタテインメント! 2017年6月号の記事を再構成]
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