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からあげは国民食 和風に洋風に アレンジ力で進化

2017/5/19

 「少しお待ちいただければ揚げたてができあがります」。17年に日本唐揚協会からあげグランプリの東日本しょうゆダレ部門で最高金賞を受賞した「からあげ家 奥州いわい 秋葉原本店」は出来たてにこだわる。

「からあげ家 奥州いわい」ではエサからこだわって自社で育てた鶏を使う 

 注文してから5分ほどで揚げたてのからあげができる。衣はさくっとしているが硬すぎない。鶏肉も臭みがなく中から肉汁があふれ出てくる。大豆やハーブなど、植物性のエサを食べさせて特有のにおいを抑えた自社生産の銘柄鶏、いわい鶏を使っている。衣にも「出来たてが一番うまいバレイショデンプンを100%使っている」と同店のほか岩手県内で3店舗を運営するオヤマ(岩手県一関市)の小山達也常務取締役はおいしさへのこだわりを話す。

 価格は5個420円とスーパーなどで売られるからあげの2倍ほどするが、土日には地方から買いに訪れる人もいる。塩味やゆず味など10種類の味があり、売り上げは12年のオープン当初の3倍になった。

 小山常務取締役はからあげが日本人に広く愛されている理由について「外がカリっとしていて中がジューシーな食べ物はおいしい。からあげはその典型で、ようじ1本があればすぐに食べられる手軽さが受けている」と話す。

■むね肉、ささみ 食感楽しむ

 からあげといえばもも肉。もも肉が好まれるのは脂が乗り、ジューシーさが他の部位と比較して際立つからだ。日本はもも肉の価格はむね肉の2倍近い。1羽の鶏から取れる肉の量はほぼ同じだが、卸価格(東京、5月中旬)はもも肉が1キロ646円、むね肉は同336円だ。欧米は脂の少ないむね肉の人気が高く、価格ももも肉より高い。

 からあげ需要は相場も動かす。例年、行楽需要の盛り上がるゴールデンウイークや秋の連休の前後、卸価格は上昇する傾向にある。大手食肉卸の担当者は「行楽弁当といえば、からあげ。消費者の鶏肉の購入量が増えるため」という。

 ファミリーレストラン最大手のすかいらーくが運営する中華レストランのバーミヤンは「からあげ革命」と題して4月からからあげのメニューを増やした。これまではもも肉を使った1種類だけだったが、新たにむね肉とささみのからあげを追加した。健康志向の高まりで脂身の少ない肉を好む消費者が増えていることが背景にある。

 通常の味付けに加えてタルタル、ネギ塩、おろしポン酢味を作った。3つの部位とあわせて合計12通りのからあげを楽しめる。同社のマーケティング本部の奥井浩司デピューティーディレクターは「からあげはソースを変えるだけで印象ががらりと変わる。部位によって食感なども異なるため、アレンジもしやすい」と明かす。定期的に味を入れ替えたり、現在は1個30グラムほどの肉を50グラムに増やしたりすることも検討している。

 からあげ革命でからあげの売り上げは前年同期比5倍以上のペースで推移している。奥井氏は「鶏肉は牛肉や豚肉と比べて割安なタンパク源。昔も今も日本人にとって親しみやすい料理」と話す。

 食べ物や工業品など様々なものにアレンジを加えて進化させるのは日本人が得意とするところだ。からあげは和風、洋風、エスニック風とどんな味付けも受け入れる。日本人のアレンジ力を存分に受け入れる懐の深さが最大の人気の秘密かもしれない。

(伊地知将史)

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