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働く場所も時間も自由 ユニリーバの先進働き方改革 ユニリーバ・ジャパン「WAA」(前編)

2017/5/18

 こんにちは、ジャーナリストの白河桃子です。食品・日用品の世界大手ユニリーバの日本法人、ユニリーバ・ジャパンは、2016年7月から新しい働き方をスタートさせました。働く場所と時間を自由に選択できる制度「WAA(Work from Anywhere & Anytime)」の導入と、残業時間を月45時間以内にするという目標設定です。この2つの取り組みによって、社員たちはワークライフバランスを充実させながら、生産性の向上に成功したといいます。

 「人事で世界を変える」というビジョンを掲げ、WAAの実現に尽力した、ユニリーバ・ジャパンの取締役人事総務本部長の島田由香さんに、働き方改革成功までの道筋をお聞きしました。

■社員の能力を最大限に発揮できる環境づくり

──もはや有名なWAAですが、具体的にどのような改革を行ったのでしょうか。

取締役人事総務本部長の島田由香さん(写真:吉村永)

 私たちが2016年7月から始めた改革の柱は二つあります。一つは、「WAA」という制度を導入し、働く場所や時間を社員が自由に選べるようにしたことです。従来通りオフィスで仕事をしてもいいですし、自宅やカフェ、図書館など自分の好きな場所で働くこともできます。

 働く時間も、平日午前6時~午後9時の間で、いつ働き、いつ休憩を取るのかを自由に決められます。1カ月単位で見た時に所定労働時間が守られていればいいというルールになっています。

 もう一つは、残業時間を月45時間以下にするという目標を設定したことです。それまでも残業時間は全社平均で30時間を超えることはありませんでしたが、中には、マーケティングやサプライチェーン担当の部署などで、月80時間を超える人が何人かいました。恒常的にというよりは一時的なものでしたが。

 それでもあえて「45時間以下」と定めたのは、目標値を設けることで自分の働き方を意識し、どうすればより効率的に、時間内で働けるのかを考えてもらいたいと思ったからです。

──柔軟に働けるようにしても、目標値を設けることは大事なのですね。

 大切です。私が強調したいのは、この改革は問題解決のためにスタートしたわけではないということです。そもそもは、「すべての社員がよりいきいきと働き、健康で、それぞれのライフスタイルを継続して楽しみながら豊かな人生を送る」というビジョンから始まっているんです。

 社員たちは皆、年齢、家族構成、目標、ビジョン、バックグラウンドも全部違います。それぞれが、結婚や出産、介護などといったライフステージの中で、どの段階でも継続して楽しく働くためにはどうしたらいいのでしょうか。

 ポイントは、豊かに生きるということです。私はいつも社員に、「仕事をするために生きているのではない」と伝えています。仕事を含めた時間をどのように過ごすのか。ここに意識を向けてほしいのです。

 私たちのビジョンをより正確に伝えるために、視覚的なイメージを作りました。「インスピレーションの自転車」と呼んでいるものです。

 自転車には、車輪が二つあります。一つは、ワークスタイルの輪。育児休業制度や介護休業制度、WAAといった会社の制度が含まれます。もう一つは、ワークマインドセットの輪。制度をどのように使うのか、何のためにこれをやるのかという考え方ですね。実は、制度よりもこのマインドセットの方がはるかに重要です。

インスピレーションの自転車(画像提供:ユニリーバ・ジャパン)

──例えば、時間をどう使いたいのか、ということですね。

 そうです。いくら改革をしようとして制度だけ導入しても、活用されなければ意味がありません。その背景に何があるのかを理解し、制度を活用していくマインドセットがなければ、無用の長物なのです。

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