ノックなしで書き続けられる 驚き進化のシャーペン
一つの"到達点"ともいえるシャープペンシルが発売された。ぺんてるの「オレンズネロ」は、途中でノックを全くしなくても、芯をほぼ1本使い切るまで書き続けられるという驚きの商品だ。これは同社が2014年に発売した、元祖"折れないシャーペン"である「オレンズ」に、芯を自動的に繰り出す機能を追加したもの。
●実勢価格/3240円(税込み)
●サイズ・重さ/軸径10×奥行き11×長さ143mm・18g
●芯径/0.2mm、0.3mm
●内蔵芯/HB
先端のパイプから、ほとんど芯を露出させないことで折れにくくなるのがオレンズの仕組み。オレンズ自体、通常よりは長く書けるシャーペンだったが、書き続けるうちに芯と一緒にパイプが短くなり、書き心地も変わる。そのため、最終的にはノックが必要だった。
ノックなしで芯を送り出せるのはなぜ?
オレンズネロが新搭載した「自動芯出し」機能は、芯が紙から離れるたびに、バネがパイプと芯を自然に押し出す仕組み。ノックなしで書き続けても、パイプの長さが全く変わらない。しかも、折れにくいメリットはそのまま。集中を途切れさせるストレスをさらに1つ取り除き、執筆に没頭できる。
実際に試してみたが、1000文字以上書いても芯の様子は変わらなかった。ぺんてるが行った実験では、「原稿用紙で約23枚分の『走れメロス』を丸ごと書き切れた」という。
自動芯出し機能自体は以前から存在する技術で、個人向けにも0.5mmの芯では商品が発売されたことがある。ただ「0.5mmの芯はそもそも減りが遅いため、自動芯出しのニーズも大きくなかった」(ぺんてる)という。オレンズネロは、0.2mmと0.3mmの2種類の芯をラインアップ。減りが早い0.2mmの極細芯では特に、自動芯出しのメリットが大きそうだ。
高機能なぶん、価格は税込み3240円と高め。「通常と比べて、部品点数が2倍近くになる」(同社)ため、これより安く商品化するのは難しかったという。とはいえ、今までにない体験ができる筆記具であることは間違いない。
新規性 ⇒ 「0.2mm」「折れない」「ノック不要」の3つの組み合わせは史上初
実用性 ⇒ 全く中断せずに書き続けることができ、ストレスが極めて少ない
価格 ⇒ 筆記具としては決して安いとはいえないが、相応の価値はある
この技術を製品化する時点で3000円以上になることが避けられず、誰が買ってくれるのかと考えても、特定の客層は思い付かなかった。そこで、当社が今まで積み上げた技術やデザインの蓄積を体現する「フラッグシップモデル」としての開発を決めた。十二角形の黒いボディも、当社にとって歴史の長いデザインだ。結果、中高生も含めて想像以上に多くの人に評価されている。ほぼ手作りのため、月に数千本程度しか生産できず、品薄になってしまっている点は改善していきたい。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディネット 2017年4月25日付の記事を再構成]
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