食物繊維は生活習慣病の予防に役立つ ウソ・ホント?
この記事では、今知っておきたい健康や医療のネタをQ&A形式で紹介します。ぜひ、今日からのセルフケアにお役立てください。
(1)ホント
(2)ウソ
正解は、(1)ホントです。
食物繊維が便秘にいいことはよく知られていますが、それ以外にもさまざまな生理作用・機能があります。食物繊維は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に分けられますが、便秘にいいのは主に不溶性食物繊維で、生活習慣病の予防に役立つのは主に水溶性食物繊維です。
女子栄養大学栄養生理学研究室教授の上西一弘さんは、「水溶性食物繊維は体内で水分を吸収して膨張し、摂取した食品の胃での滞留時間を長くします。また、小腸で糖が吸収される際、膨張した水溶性食物繊維により糖が消化酵素と接しにくくなるため、吸収に伴う血糖値の上昇を穏やかにします。また、コレステロールの吸収も妨げ、体外に排出されやすくします」と説明します。
このように、食物繊維は、血糖値やコレステロール値が気になる人は積極的にとってほしい成分です。大抵の食品は、不溶性、水溶性、両方の食物繊維を併せ持っているため、食物繊維が豊富な食品を意識してとれば、自然に水溶性食物繊維も多くとれます。
日本人は食物繊維が不足している
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2015年版』では、食物繊維の摂取目標量を男性20g以上、女性18g以上と設定しています(いずれも18~69歳)。しかし、食物繊維の1日当たり実際の摂取量は、男性15.2g、女性が14.3gと大きく下回っています(20歳以上平均)。
「良好な排便のためには1日20g以上、心筋梗塞による死亡率の低下のためには1日24g以上食物繊維が必要という報告があります。ということは、積極的に健康を目指すには、今よりもかなり意識して食物繊維をとらなければいけない人が多い、といえます」(上西さん)
[日経Gooday 2017年4月24日付記事を再構成]
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