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血管の老化予防に良いとされる食べ物、科学的根拠は?

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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

体に良いといわれるさまざまな食品や食事法の中には、「健康に良い」ことを示す確かなデータ(エビデンス)が存在しないものも少なくありません。利益ばかりが誇張されていることを心配した米国の医師たちは、人気の高い食品・食事法を対象に、アテローム性動脈硬化[注1]によって生じる循環器疾患(ASCVD;Atherosclerotic Cardiovascular Disease)の発症と、その危険因子(コレステロールや血圧など)に及ぼす影響を示した確かなエビデンスがあるかどうかを調べました。その結果をご紹介しましょう。

[注1]アテローム性動脈硬化:大動脈や脳動脈、冠動脈などの比較的太い動脈に起こる硬化で、動脈の内膜にコレステロールなどの脂肪からなる粥腫(じゅくしゅ=アテローム)ができ、次第に厚くなることで動脈の内腔が狭くなる。これが破れると血栓が作られ、動脈が完全に塞がって心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす。一般に動脈硬化といえばアテローム性動脈硬化を指すことが多い。

野菜、果物、全粒穀物、豆類を多く食べ、ナッツは適度に食べる

今回、研究を行った米National Jewish HealthのAndrew M. Freeman氏らによると、「2015~2020年版米国人のための食生活ガイドライン」では、2歳以上の国民のASCVDの危険因子を改善する強力なエビデンスがある3通りの食事法、すなわち「Healthy U.S.-style Eating Pattern(健康な米国式食事法)」「Healthy Mediterranean-style Eating Pattern(健康な地中海式食事法)」「Healthy Vegetarian Eating Pattern(健康なベジタリアン式食事法)」を推奨しています。

それらの基本は、「野菜、果物、全粒穀物、豆類を多く食べ、ナッツは適度に食べること」です。3通りの食事法の中には、赤身肉、魚、低脂肪または無脂肪の乳製品、液状植物油の少量摂取を勧めるものもありますが、いずれも、飽和脂肪酸、固形脂肪、ナトリウム、砂糖、精製穀物の摂取は抑えるよう指示しています。

では、個々の食品に関するエビデンスを著者らが評価した内容を見ていきましょう。

【植物油】

植物油のうち、常温で固形の油(ココナツ油やパーム油)は、悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロール(LDL-c)を上昇させます。反対に、液状の植物油は、LDL-cを下げ、特にオリーブ油についてはASCVDリスクを下げることを示す明瞭なエビデンスがあります。

バージンココナツ油は、精製過程で失われる生理活性の高いポリフェノールを含んでいるため、循環器に良いといわれています。しかし、バージンココナツ油の摂取がASCVDリスクを低下させることを示したエビデンスはほぼありません。既存のエビデンスは質の高い研究に由来するものではなく、多くが動物実験の結果です。こうしたことから、Freeman氏らは「現在信じられているココナツ油の健康利益には十分な根拠はなく、バージンココナツ油であっても飽和脂肪酸含有率は非常に高いため、もし摂取するなら、1日に食べても良い飽和脂肪酸の総量の一部をココナツ油からとるに留めるべき」との見解を示しています。

パーム油も飽和脂肪酸含有率が高く、他の植物油に比べLDL-cを大きく上昇させるため、摂取はASCVDリスクを高めると考えられています。

一方、バージンオリーブ油は、LDL-cを低下させ、善玉コレステロールとも呼ばれるHDL-cを上昇させます。オリーブ油を多く摂取する人では、死亡率、脳卒中を含む循環器疾患のリスクが低いことも示されています。

【鶏卵などのコレステロールを多く含む食品】

2015年に、米国農務省などが設置した「2015~2020年版米国人のための食生活ガイドライン」作成委員会が、「食事から摂取したコレステロールと血中のコレステロールには、現時点では明らかな関係は認められない」との見解を示し、大きな関心を呼びました。ところが、その後、正式に発表されたガイドラインにおいて、摂取上限値は撤廃しつつも「食事からのコレステロール摂取は可能な限り控えるべき」との結論が示されたことは、ほとんど報道されていません。その結果、「コレステロールはいくら摂取してもいい」という誤った認識が広がっている、とFreeman氏らは懸念を示します。

食事を介して摂取したコレステロールは、ASCVDの危険因子である血中コレステロール値を上昇させる可能性があります。「既存のエビデンスは、鶏卵やその他のコレステロール含有量が高い食品の摂取を、できるだけ控えるべきであることを示している」との見解をFreeman氏らは示しています。

【抗酸化物質を含む野菜・果物】

ブルーベリー、イチゴ、ラズベリーなどは、抗酸化作用を持つアントシアニンを多く含みます。週に3皿の摂取が推奨されています。アントシアニンは、赤キャベツ、赤ラディッシュ、ナスなどの野菜にも含まれています。アントシアニンを多く含む野菜や果物の摂取は、降圧効果をもたらし、心筋梗塞、糖尿病のリスクを下げます。ASCVDリスク低下のための抗酸化物質源として、野菜と果物が有用であることを示す確かなエビデンスが存在します。

【抗酸化サプリメント

野菜や果物の代わりに抗酸化サプリメントを摂取しても健康利益が得られると報告した研究が一部にありますが、多くは、抗酸化サプリメントは高用量でも効果がない、または有害になりうることを示しています。サプリメントの健康への影響を明らかにするためにはさらなる研究が必要です。

【ナッツ(ピーナッツも含む)】

健康な食事法にナッツを組み込めばASCVDの危険因子が改善すること、循環器疾患の発症が抑制されること、2型糖尿病のリスクも下がることが示されています。ただしカロリーが高いため1日30gを目安とすることが望ましいです。

【緑の葉物野菜】

ルコラ、スイスチャード、セロリ、ケール、サヤインゲン、ホウレンソウ、アスパラガス、ブロッコリー、パセリ、ズッキーニなどの日常的な摂取が、ASCVDの危険因子を改善し、ASCVDリスクを低減し、2型糖尿病の発症率を低下させることが示されています。

【ジューシング】

ジューサーを使って作った果物と野菜のジュースをベースとし、プロテインやサプリメントを追加する場合もあるジューシングは、米国では非常にポピュラーです。しかしその利益を、原材料となる野菜や果物をそのまま、または加熱して摂取した場合と比較した研究はほとんどありません。

「ジューシングは、ビタミン、ミネラルなど一部の栄養素の吸収率と利用率を向上させますが、絞りかすに含まれる繊維質や栄養素は除去されます。また、野菜や果物をそのまま食べるより簡単に熱量を摂取できるため、総摂取熱量が増えないよう、蜂蜜などの糖分の添加は避けましょう」とFreeman氏らは述べ、きちんとした比較研究が行われるまでは、野菜や果物をそのまま食べる方が好ましいとの考えを示しています。

【グルテン】

グルテンの摂取により症状が現れる病気(セリアック病など)の患者は、グルテン除去食をとる必要があります。ところが近年、減量や健康利益を得るためにグルテンを食べない人が増えています。実際には、グルテン摂取と体重の関係を示したエビデンスはなく、循環器疾患への影響も不明です。

まとめ

TVや雑誌で取り上げられる「〇〇ダイエット」や「健康に良い食べ物」を試す前に、その効果が科学的に証明されているのかどうかを確認することが大切です。上記のような、循環器疾患の予防と治療において有益であることが示されている食品・食事法は、世界的な健康増進に役立つと著者らは考えています。

論文は、Journal of the American College of Cardiology誌電子版に2017年2月27日に掲載されています[注2]

[注2] Freeman AM, et al. J Am Coll Cardiol. 2017 Mar;69(9):1172-1187. doi: 10.1016/j.jacc.2016.10.086.
大西淳子
 医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday 2017年4月13日付記事を再構成]

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