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『女性活躍』1位の第一生命 リーダー育成に軸足

2017/5/16 日本経済新聞 朝刊

女性管理職育成研修を担当した南部雅実さん(左)にアドバイスをもらう芝原尊子さん

 日本経済新聞と女性誌「日経ウーマン」による2017年の「女性が活躍する会社ベスト100」で、初の1位となった第一生命保険。女性社員が9割を占め早くから両立支援に取り組んできたが、近年は女性リーダーの育成を加速させる。経営陣が主導して全社の意識改革を進めている。

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■トップ自ら「社長塾」・管理職比率24%

 「女性社員全員の働き方を高度化する」。第一生命保険が仕事と育児の両立支援から能力発揮へと女性活躍推進のかじを切ったのは09年。株式会社化を翌年に控え、ダイバーシティ(人材の多様性)を推進するとの方針の下、総合職と一般職に分かれていた内勤職を統合。グローバル職とエリア職という勤務地の分類は設けたが、業務内容の壁を取り払い、すべての女性が活躍できる環境を整えた。

 各職場にダイバーシティ推進の責任者と担当者を配置。職場ごとの実情を踏まえた取り組みを促した。社長以下全役員が参加するダイバーシティ推進大会を毎年開催。好事例の共有を図ってきた。

昨年度の社長塾の様子(同社提供)

 14年度からは、女性リーダーの計画的育成に乗り出す。管理職一歩手前から役員候補まで、リーダー候補者を選び研修を重ねた。マネジメントに必要なスキルを身につけさせる一方、内勤職の研修に役員がかかわり、助言やメンタリングをする仕組みをつくった。15年度からは「社長塾」を開始。経営幹部候補の女性の育成をトップ自らが担う。

 3月まで本社の法人業務部でアシスタントマネジャーを務めていた芝原尊子さん(47)は、15~16年度に管理職候補向けの選抜研修を受けた。92年に一般職として入社。職掌統合後はエリア職としてキャリアを積み管理職を目指したが、「マネジメント力と判断力が課題」と感じていた。

 研修で同じグループになった人に後輩を強く指導できない、判断を上司に委ねてしまうといった悩みを話すと、「強く言わなくても、しっかり意図が伝わればいい」「方向性が間違っていないなら判断力に自信を持っていい」と助言された。「違う視点の意見は参考になったし、悩んでいるのは自分だけではないと勇気づけられた」

 役員とのラウンドテーブルでも多くを学んた。「正しい考えを持ち、正しい方向に部下を導くのがリーダーの役割だと聞き、自分もそうなりたいと思った」。重責を担い多忙であるにもかかわらず、余裕があり会話の引き出しが多いことが驚きだった。「日常業務だけに追われることなく、自己啓発を続けること、全体を眺めて物事を考えることの大切さを学んだ」。4月に管理職に昇進。現在はさいたま総合支社の営業推進グループ次長として活躍する。

 研修を担当した取締役常務執行役員の南部雅実さん(54)は「エリア職の女性は能力があるにもかかわらず、経験が少ない、自信がないと悩むケースが多いと感じた」と話す。研修では「考え方を前向きに変え、挑戦を続ければ道は開ける」とくり返し伝えた。保険引受業務と商品開発を統括する立場として多忙を極めるが、「組織は人材がすべて。役員は皆それなりに忙しいけれど、人材育成に一番時間を割き、力を入れるべきだと思う」。昨年度は役員の約半数にあたる20人が女性リーダー育成のための研修やメンタリングに参画した。

 計画的な育成が実を結び、5年前には20%に満たなかった女性管理職比率はこの春24.2%に上昇。営業職に比べ登用が遅れていた内勤職でも12%に迫る。職掌統合から8年。トップダウンとボトムアップの両輪でつくり上げてきた女性活躍の仕組みは、組織にしっかりと根ざす。

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