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「就業不能」保険の新商品続々 支給基準の確認を 公的保障や家計の貯蓄額を考慮

2017/5/16

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 病気やケガなどで働けなくなると保険金が出る「就業不能保険」に関心があります。新商品が相次いでいるようですが、どんな仕組みなのでしょうか。

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 一家の大黒柱が働けなくなって収入が途絶えると、家計が傾きかねない。生命保険文化センターの調査では、世帯主が就業不能となった場合の生活資金について「非常に不安」という答えが42%、「少し不安」が37%に達した。

 就業不能保険はがん保険最大手のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)が昨年7月、「給与サポート保険」を発売して積極的に広告宣伝したことで関心が高まった。このほか、ライフネット生命保険「働く人への保険2」、住友生命保険「未来デザイン1UP」といった商品がある。

 就業不能とは、それまでの職場に復帰できないだけでなく、ほかの仕事にも就けない状態のことだ。ただし、その定義は商品によってばらつきがある。アフラック、ライフネットの商品は入院や、医師の指示による在宅療養が含まれる。

 一方、住友生命は原則として公的保障の認定と連動させる仕組みだ。具体的には病院や自宅での長期安静が必要だったり、日常生活に著しい制限があったりする障害年金1、2級か、自力歩行が困難な要介護2以上になると保険金が出る。

 朝日生命保険が4月に発売した「収入サポート保険」は身体障害者手帳と介護保険に完全に連動する。「分かりやすさを重視した」(商品開発部)という。

 保険金の支給方式も商品によって異なる。アフラック、ライフネットなどは60日、180日といった「免責期間」を過ぎると支給を開始。契約満了の年齢までに回復したり、死亡したりすると支給が止まる。これに対して住友生命などはいったん就業不能になると、生存している限り契約年齢までずっと保険金が支給される。

 保険会社からは「死亡よりも就業不能のリスクに備えたい単身者などのニーズが大きい」(住友生命)といった声が聞かれる。

 ただし、就業不能リスクはすでに公的保障で一部カバーされている。会社員が働けなくなると、健康保険から最長1年6カ月間、給与の3分の2に相当する傷病手当金が支給される。医療費の自己負担分も過大にならないよう1カ月ごとの上限が決まっている。

 公的年金からも障害基礎年金が1級では年97万4125円、2級は年77万9300円が支給され、子どもがいれば加算される。会社員には報酬比例の障害厚生年金もある。これらの公的保障や家計の貯蓄額を考慮した上で、さらに不安を感じるようなら民間の就業不能保険が選択肢に入ってくるだろう。

[日本経済新聞朝刊2017年5月13日付]

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