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なやみのとびら、著名人が解決!

年齢を聞かれるのがイヤです 脚本家、大石静

NIKKEIプラス1

2017/5/18

脚本家。TVドラマ「ふたりっ子」「四つの嘘」「セカンドバージン」、アニメ「神撃のバハムートVIRGIN SOUL」の脚本を担当。最新作は5月26日放送の「帰ってきた 家売るオンナ」。

 他人に年齢を聞かれるのが嫌です。年相応の中身がないと思うからです。なぜ人の年が気になったり気安く年を聞いたりするのでしょうか。特にご老人に対してひどいと思います。聞かれる方は嫌じゃないんでしょうか。(大阪府・女性・50代)

 雑誌の取材で東欧に行った時、若者が大人を尊敬し大切にしている世相に驚きました。日本とのあまりの違いに衝撃を受け、実にうらやましかったです。

 なぜなら、私は年とともに若者に遠慮しながら生きていると感じるからです。65年の人生の中で様々なことを乗り越えた、たくさんのドラマを世に送り出した、そのことに誇りを持ちたいと思うのですが、持ちにくいのが、日本の世の中です。

 一方、日本の若者は、「若い」というだけで漠然とした自信があって、年を重ねた者を見下している気がします。

 なぜそうなのでしょうか。

 それは伊勢神宮の式年遷宮に由来すると思うのです。

 伊勢神宮は20年に1度遷宮を行います。まばゆいばかりの白木は、新しいものの美しさの象徴です。朽ちることのない石ではなく、腐りやすい木と萱(かや)で神殿を造り、しばしば造り変えて永遠の若さをめでる考え方が、日本人の若いもの好き、初々しいもの好きの根源であると、私は思っています。

 相談者のDNAの中にも、私にも、その考え方が組み込まれていて辛いのです、きっと。

 私の父は三重県の生まれでしたので、伊勢神宮には幾度も連れて行ってもらいましたし、その神気に満ちた雰囲気は圧巻です。否定する気持ちは全くありません。日本固有の尊い文化ではありますが、多くの日本人が「年輪を重ねたもの」より「若いもの」が尊いと受け取ってしまった側面は見逃せません。

 相談者のお気持ち、よくわかります。

 老人に年齢を聞くのはひどいと書いておられますが、本当はあなた自身が聞かれたくないのでしょう。責めているのではありません。私もそうなので、わかり過ぎるほどわかるのです。

 「年相応の中身がない」なんて本当は思っていないのに、そういう謙遜を、世の中から強いられているような気がします。

 もっと堂々と生きましょう。恐れることなく気難しい老人になって、言いたいことを言いましょう。私たちが生きている間に世の中は変わりません。こちらが世の中にあらがう勇気を持って、若さ以外の価値を体現していくしかありません。

 私も年齢に胸を張るよう努力しますので、あなたも頑張ってください。

 あなたの悩みをサイトにお寄せください。サイト「なやみのとびら」(https://www2.entryform.jp/tobira/)から投稿できます。

[NIKKEIプラス1 2017年5月13日付]

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