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インスタ仕様の新「チェキ」 デジタル化で便利に

日経トレンディネット

2017/5/15

新しい1:1のスクエアフォーマットのチェキにプリントできる「instax SQUARE SQ10」。デジタル技術を採用することで使い勝手を高めたのも特徴だ。カメラ本体の実売価格は3万円前後でフィルムは別売となる
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 富士フイルムが「チェキ」の新製品「instax SQUARE SQ 10」(以下、SQ10)を発表した。チェキといえば、若年層を中心に人気のインスタントカメラだが、SQ10はチェキで初めてデジタル技術を採用。使い勝手が向上したほか、明るさや色合いを調整する機能を備えた。フィルムは従来の長方形ではなく、インスタグラムやかつてのポラロイドと同じ1:1比率のスクエア(正方形)フォーマットを採用する。手間はかかるが、デジカメやスマホで撮影した写真もプリントできる。日ごろSNSを活用している人や写真趣味層など、写真にこだわりを持つ人が魅力を感じる製品に仕上げた。

■デジタル化で確実なフレーミングができ、プリントしたい写真だけを出力できる

 SQ10の最大の特徴といえるのが、カメラ部分がデジカメであること。つまり、レンズからの光を直接フィルムに焼き付けるのではなく、デジタルで撮影した写真を内蔵プリンターで出力する形となる。このスタイルによって、従来のチェキになかった、さまざまなメリットが生まれた。

 まず、背面の液晶モニターでライブビューを確認しながら撮れるので、確実なフレーミングができる。従来のチェキは「のぞき穴」式の光学ファインダーでパララックス(視差)が大きく、ファインダーで見た像と実際に撮影できる写真にズレが生じることが多かった。SQ10はモニターで見た通りにフレーミングできるので、作品作りしやすい。

 撮影した写真の明るさや色合いを調整する機能を搭載したうえ、気に入った写真だけをプリントできるのも見逃せないメリットだ。従来のチェキは、シャッターを切ったら即プリントする仕様なので、失敗した写真でもフィルムを消費してしまった。また、同じ写真を2枚以上プリントできるのも、従来のチェキではできなかったことだ。なお、モードレバーをオートに切り替えれば、従来のチェキと同じく撮影即プリントする。

色合いやコントラストをワンタッチで変えるフィルター機能を搭載したほか、明るさや周辺光量を調整する機能も備える
側面のモードレバーを「AUTO」にすると、1枚撮影するたびに即プリントする。「MANUAL」ならば、自分でプリントを指示しない限りは出力されない

■あえてWi-FiやBluetoothは搭載しなかった

 SQ10の本体は、フィルムのフォーマットに合わせた正方形と円をモチーフにした左右対称の個性的なデザインだ。前面には左右に2つのシャッターボタンを用意し、どちらのボタンでも撮影できるので、左利きの人でもストレスなく扱える。ただ、背面の操作ボタン類が中央にあるため、本体を支えながらボタンやダイヤルを操作しようとすると親指を伸ばさなければならず、操作性はいまひとつ。左右対称のデザインも賛否が分かれそうだ。

正方形と円をモチーフにした個性的なデザインを採用する。中央部の銀色のパーツは回転式の電源スイッチで、左右上部にはシャッターボタンを2つ用意する
上部に3型液晶を搭載する。液晶の右側にある白いドットでフィルムの残り枚数を表示する仕組みだ。操作ボタン類は中央部にまとめて配置するが、慣れないと操作しづらい

 本体サイズは119(W)×127(H)×47(D)mmとかなり大柄で、従来のチェキと比べても幅・高さとも大きくなっている。フィルムカートリッジを収めるスペースを確保しなければならないため、ある程度のサイズになるのは理解できるが、直線基調のデザインにすればもうちょっとスリムにできそうだ。

フィルムカートリッジは背面パネルを開けて収納する。従来のチェキ用フィルムは使えない

 装備面では、意外にも近ごろのデジカメでは必須となったWi-FiやBluetooth機能は搭載していない。「Wi-FiやBluetoothがあれば、スマホdeチェキのようにスマホで撮影した写真をワイヤレスで手軽にプリントできるのに…」と思ったが、富士フイルムの担当者によるとあえて搭載しなかったのだそう。スマホの写真を簡単に印刷できてしまうと、SQ10にカメラ機能を持たせる意味がなくなってしまうからだ。SQ10は、これまでのチェキと同様にあくまでカメラとして使ってもらいたいという。

 ただ、デジカメやスマホで撮影した写真もmicroSDのDCIMフォルダにコピーすればSQ10でプリントできる。2000万画素超のデジタル一眼で撮影した写真もプリントできたが、一部の機種で撮影した写真はデータを認識できなかった。手軽ではないが、一手間かければデジカメの写真もプリントできることは頭に入れておこう。

microSDカードスロットを搭載する。SQ10で撮影した写真を保存できるほか、microSDカードに記録した写真をSQ10でプリントすることも可能

■デジカメとしての性能はミニマム

 レンズは、35mm判換算で28.5mm相当/F2.4の単焦点レンズを搭載する。従来のチェキが35mm判で35mm相当なので、やや広角寄りだ。プリントできる写真は、解像感を控えめにしつつコントラストを高めにした仕上がりで、従来のチェキと同等。富士フイルムの担当者も「チェキの雰囲気を再現するようセッティングした」と語る。

SQ10で撮影してプリントした写真。インクジェットプリンターのように解像感のある描写が得られるわけではないが、いかにもチェキらしい味のある仕上がりだ

 メモリーに記録できるのは1920×1920ドットのJPEG画像だ。精細感はいまひとつで白飛びも多く、メインのデジカメとして使うのには適さない。明るさが足りない夜景や室内での撮影にも注意したい。感度は最高ISO1600までしか上がらないので、夜景はたいてい1/2秒のスローシャッターになり、容易に手ぶれしてしまう。ぶれを表現効果として生かした撮影を楽しみたいならばよいが、そうでないならばカメラをしっかり保持して撮影したい。

夜景はシャッター速度が1/2秒程度まで落ちてしまうので、うっかりしているとぶれた写真を量産することになりかねない。とはいえ、光源をうまくぶらすことで面白い撮影効果として使えそうだ
SQ10のレンズは、ゴーストが盛大に発生しやすいのも留意点といえる。表現効果としてうまく活用できればいいが、悩まされるシーンも多そうだ

■1:1のスクエアフォーマットを採用、印画紙の面積は従来の約25%増し

 SQ10が採用するインスタントフィルムは、印画紙のサイズが62×62mmと正方形になっている。これまでのチェキが46×62mm(比率はおおむね3:4)だったので、短辺が伸びて正方形になった形だ。印画紙の面積は25%ほど拡大し、これまでのチェキで感じた「印画紙が小さくて迫力に欠ける」という印象はだいぶ和らいだ。インスタグラムなどでスクエア写真に慣れ親しんだ人にとっては利用しがいのあるフォーマットといえる。

従来のチェキ(左)と比べると、スクエアフォーマットのチェキ(右)は印画紙のサイズがかなり大きくなった

 スクエアタイプのインスタントフィルムは10枚パックが用意され、実売価格は1250円前後となっている。印画紙の面積が大きくなっているとはいえ、10枚入りが700円前後で入手できる従来のチェキと比べればかなり割高な印象だ。

 従来のチェキは、印画紙の周辺にディズニーなどの絵柄を施した絵柄入りフレームやモノクロタイプを用意するが、スクエアタイプはいまのところオーソドックスな絵柄なしのタイプのみを用意する。モノクロタイプも用意しないが、プリント時にフィルター加工ができるので、モノクロのフィルターを選べばそちらで代替できる。

■製品の魅力は高いが、価格とデザインが気になる

 デジタル技術を生かして使い勝手を高めた点や、窮屈さが薄れた1:1の新フォーマットの採用など、SQ10は従来のチェキで感じた不満点をうまく解消した魅力的な製品だと感じる。特に、スクエア写真に惚れ込んだインスタグラム世代には魅力的に映るはずだ。

 気になったのは、価格が高めなことと、本体のデザインや質感がいまひとつなことだ。実売価格は3万円前後で、7500円前後で購入できる従来タイプの「チェキ instax mini 8+」と比べればかなり高価だ。とはいえ、Wi-Fi経由でプリントできる「スマホdeチェキ instax SHARE SP-2」は1万8000円前後するので、印画紙サイズの拡大やデジカメ機能の追加などのプラスアルファを考慮すれば何とか納得できる。

 デザインはぜひとも改善してほしいと感じる。外装はプラスチックの素材感がありありで高級感が感じられず、3万円の価格に見合った質感とはいいがたい。富士フイルムによると、いまのところ異なるデザインを投入する予定はないとしている。だが、本家チェキはクラシックカメラ風のデザインを採用する「instax mini 90 ネオクラシック」(実売価格は1万6000円前後)が人気を呼んだだけに、多少価格が高くなってもいいので質感に優れるクラシックテイストのSQ10の登場に期待したい。

デジカメの黎明期の1999年に富士フイルムが発売したチェキ一体型デジカメ「FinePix PR21 Princam」(左)の再来といえるSQ10(右)。デザインを工夫した派生モデルの登場に期待したい

(日経トレンディネット 磯修)

[日経トレンディネット 2017年4月20日付の記事を再構成]

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