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刷新したThinkPad X1 Carbon さすがの完成度 戸田覚のPC進化論

日経トレンディネット

2017/5/12

ThinkPadらしい外観はパソコンマニアの心をくすぐる
日経トレンディネット

 「ThinkPad X1 Carbon」は、ThinkPadを代表するモデルと言っていいだろう。14型液晶を搭載しながらコンパクトかつ薄型で、最近増えている大画面でもボディーを小さく薄く設計するモデルの先駆けとなっている。今シーズンはフルモデルチェンジを遂げ、さらにコンパクトになった。2017年2月上旬の発売からずいぶん時間がたってしまったが、ようやく実機を借りられたのでレビューしていこう。

 フルモデルチェンジとはいっても、デザインは当然ながら変わらない。新モデルのボディーカラーにはブラックとシルバーがあるが、今のところ購入できるのはブラックだけのようだ。旧モデルには少し茶色がかった色合いのものもあったが、新モデルのボディーは真っ黒に近く、しかも例によってつや消し。手触りはかつてのピーチスキンに近く、しっとりとした感触には感激した。シルバーはかなり抑えめのくすんだ色合いで、ピーチスキン的な手触りもなく個人的には黒の一択だ。

塗装はつや消しの黒で手触りもしっとりとしている

■狭額縁化で本体がさらにコンパクトに

 僕の手元にある2世代前のThinkPad X1 Carbonと比較すると、新モデルのほうが少し小さく軽くなっている。ぱっと見ではほとんど分からないが、液晶の額縁が細くなった分、少しスリムになった。上部が狭額縁化されていないのは、ウェブカメラを内蔵したかったからだろう。確かに、カメラが液晶の下にあるモデルは使い勝手がよろしくない。

旧モデル(右)と比べると少し小さくなった。パネルを開くとサイズの差がよく分かる

 本体がかなり薄いので持ったときは特別軽く感じないのだが、重量1.14kgは14型モデルと考えると相当に軽い。14型は、一昔前までは「セミモバイル」と呼ばれ、1.5kg程度の重量が普通だった。それに比べると300g以上も軽いのだから驚きだ。

 液晶の解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)にとどまるが、実用上は十分だろう。ThinkPadとしては当然とはいえ、アンチグレアの液晶は映り込みがなく非常に見やすい。またボディーの剛性も素晴らしく、どこを持ってもしっかりとしていて、たわみを感じない。

■専用ドックがあればメインマシンにも

 仕事で使うメインのパソコンとして考えても、拡張性に不満はない。通常サイズのUSB端子は2つしかないが、ほかにUSB Type-C端子が2つあるのだ。僕としては理想的な構成だと思っている。最近はUSB端子を利用する機会も減っており、スマートフォンやデジタルカメラを接続するときは、USB Type-C端子が便利だ。USB Type-Cケーブルもずいぶん値下がりして入手しやすくなってきた。また、USB Type-C端子は「Thunderbolt 3」に対応している。

 とはいえ、USBメモリーやらワイヤレスマウスのドングル用には2つある通常サイズのUSB端子が役立つ。ディスプレーとの接続用にHDMI端子も用意されている。

 さらに、ThinkPad X1 Carbonには、無線通信規格のWiGigに対応した専用の周辺機器「ThinkPad WiGig ドック」があり、これを使うとワイヤレスでUSB端子を5つ、HDMI、DisplayPort、有線LANなどを増設できる。このドックを机の上に置いておけば、拡張端子も十分でメーンマシンとして使える。価格は直販で3万2400円と安くはないし、WiGigに対応している構成でなければ使えないが、大画面ディスプレーを接続してデュアルディスプレーなどにして使いたい人にもお薦めだ。ワイヤレスなので、外付けディスプレーの環境を構築しても、いちいちケーブルをつながなくていい。

専用のドックは、ワイヤレスでディスプレーとつながる

 このモデルから充電用端子がUSB Type-Cになったので、モバイルバッテリーからの充電を試してみたところ、スタンバイ状態なら給電できた。もちろん、メーカーが保証する使い方ではないので、ご参考まで。

■価格は妥当だが買い時が悩ましい

 ThinkPad X1 Carbonのキーボードは、まさにThinkPadのそれだ。キーは独特のかまぼこ形で、若干くぼんだ中心部分が指先にフィットする。本体サイズがそれなりに大きいのでキーピッチも文句なし、ストロークも十分に確保されている。最近の薄型ノートは、キーボードが打ちづらいものが目立つのだが、ThinkPadの面目躍如といったところだ。本体が手前に下がっているのも打ちやすさにつながっている。

 トラックポイントに加え、タッチパッドを備えるのも従来と同様のつくり。どちらも使いやすいが、個人的にはトラックポイントが好みだ。また、タッチパッドの横には指紋センサーも備える。スマートフォンと同様に指を当てるだけで認識される。

 CPUにCore iシリーズを採用しているので、性能に不満はない。そこで、見るべきはコストパフォーマンスだろう。記事執筆時点では、税込み15万5520円のパッケージがCore i5のCPU、8GBのメモリー、128GBのSSDという構成。18万403円のモデルなら、CPUがCore i7、SSDも256GBになる。価格としては妥当なところといえるだろう。ただ、例によって割引が実施されており、買い時が難しい。また、SIMスロットはオプションで1万8360円とかなり高い。プラス1万円程度に抑えてほしいところだ。

 実は、僕は「ThinkPad X1 Yoga」の新モデルを買おうかと考えていたのだが、ThinkPad X1 Carbonも非常に魅力的で、どちらを買おうか迷ってしまった。Yogaを見てから判断したいと思う

キートップは中心部分がくぼんでいて指にフィットする
トラックポイントとタッチパッドの両方を備える
戸田覚
 1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。

[日経トレンディネット 2017年4月11日付の記事を再構成]

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