母の日の贈り物、OKとNG 義理の母へは何を贈る?

新緑まぶしい5月になると、「母の日」の贈り物についての相談を公私ともに受けることが多くなります。
今年の母の日は5月14日。もともとは1907年、米国のアンナ・ジャービスという女性が亡き母をしのび、お母さんの命日に母の好きだった白いカーネーションを教会の墓前に飾ったことがきっかけといわれます。米国で5月の第2日曜日が「母の日」に制定され、日本でもそれにならって第2次大戦後に母の日を制定したといわれます。こうしたエピソードから、他界した母をしのぶ場合は、白いカーネーションを墓前や仏壇に贈り(飾り)ます。
一般的に母の日の贈り物といえば、赤いカーネーションが定番です。小中学生のころ、お花屋さんに行って一輪のカーネーションを買い、母にプレゼントをしたことを懐かしく思い出します。大人になると日々の仕事や雑務に追われ、気がつくと「明日が母の日」なんてことも。現代はインターネットから夜中でも注文ができるなど便利にはなりましたが、何を贈ったらいいのか悩むこともありますね。特に、義理のお母さまへの贈り物には気をつかうという方も多いようです。
そこで今回は、マナー講師の金森たかこ先生のご意見を交えながら、喜ばれる母の日の贈り物マナーのポイントをお伝えします。金森先生はOLからフリーアナウンサーに転身、結婚後は主婦として子育てや義母との同居、介護などを経て、現在は京都を拠点にマナー講師として活躍されています。
贈り物のお薦め、アクセサリーの似合う色味の見分け方は?
(1) お花を贈るなら
生花ももちろん良いのですが、「贈られたお花を花瓶に生けるのが面倒と思う方も。そこで、生花のアレンジメントや、プリザーブドフラワーもお薦めです」(金森さん)。お花はカーネーションにこだわることなく、お(義)母さまのお好きなお花でもちろん喜んでいただけます。
例えば、園芸がお好きな方であれば、珍しい品種の種や、おしゃれなガーデニング用のグローブや帽子、スモック(エプロン)などもよいでしょう。
(2) アクセサリーを贈るなら
お(義)母さまに似合う色味を選ぶことが最も大切です。似合う色味は大きく分けて、ゴールド系かシルバー系になります。簡単な見分け方は、お母さまが普段使用しているファンデーションがオークル(イエローベース)系であればゴールド系、ピンク(ピンク・ブルーベース)系であればシルバー系が似合うとされています。
ネックレスを贈る際には「留め金がマグネット式になっているものであれば、簡単に付けられますので特に高齢の方に喜ばれます」(金森さん)。
女性の場合、帽子やサングラスも、アクセサリーの一部として楽しむことができますので、紫外線から髪や目をいたわる意味も含めて、この時期の贈り物として特にお薦めです。
美容に敏感なお(義)母さまであれば「この時期に欠かせない日焼け止めクリーム、紫外線(UV)カットのカーディガン、日傘、美白クリームやパックなども喜ばれるでしょう」(金森さん)。
(3) 食べ物を贈るなら
健康に配慮された贈り物は、お(義)母さまを思うあなたの気持ちが伝わることでしょう。例えば、自分では買わないけれどいただくとうれしい高級な果物(この時期ならサクランボなど)、有機栽培の野菜などは、箱を開けると自然からのエネルギーを感じ、気持ちまで新鮮になります。ほかにも、お茶や和菓子のセットなどもお薦めです。
一緒に食事や旅行に出かけたり、食事券や旅行券をプレゼントするのも良いですね。「一緒に食事や旅行に行った場合は、そのときの写真を写真立てに入れて後日お贈りすると、あなたの思いがいっそう伝わることでしょう」(金森さん)
食事に行かなくても、家でみんなと一緒に食べられるものを喜ぶお(義)母さまは多いようです。親は、子どもの顔を見られる、一緒にいる時間をもてることをうれしいと思うのですね。
NGな贈り物、注意が必要な贈り物は?
一方、母の日に贈るのはNGなもの、注意が必要なものもあります。
(1) 靴、靴下、スリッパ、玄関マットなど
一般的に「踏む」「踏みつける」という意味にも通じるため、目上の方に差し上げるのはNGとされています。
(2) 現金
「『助けてあげる』という意味にもとられるため、「上から目線」の印象を与えかねません。母の日に現金は、避けたほうが無難です」(金森さん)。私の場合、過去に実母には現金を贈った経験がありますが、さすがに主人の母(義母)に贈ったことはありません。
(3) 食べ物
高齢になると、食事内容に制限のある方もいらっしゃるでしょう。別居しているお(義)母さまに食べ物を贈るときは、食べられない物はないか、事前にチェックすることが大切です。
(4) 洗剤などの日用品
実用的なものはプレゼントされて便利ではありますが、洗剤系は「関係を洗い流す」という意味にもとることができるため、母の日には不向きといえます。お中元やお歳暮として贈る品としては、問題ありません。
(5) 白い花
母の日といえばカーネーションですが、前述のとおり、白いカーネーションは亡くなったお母さまへ手向けるものとされています。白いお花はそれを連想させる可能性があるため、母の日に贈る場合は、明るい色のお花をお選びになるとよいでしょう。
◇ ◇ ◇
これまでも、マナーとは「相手の立場にたつこと」とお伝えしてまいりました。今回お薦めとNGのポイントをお伝えしましたが、究極のマナー論からいうと、お(義)母さまの好むもの、欲しいと思っていらっしゃるものを贈ることが最も大切なことといえます。そのためにも、日ごろからのコミュニケーションによって情報を得ることも大切です。
特にお義母さまに対しては、実母よりも気をつかうと存じます。お義母さまへの贈り物は、夫から事前に情報を収集したり、相談をしておくことが必要かもしれませんね。
実母への贈り物の場合、ご兄弟がいらっしゃる方は、兄弟で足並みをそろえるという意味において事前のコミュニケーションも大切なことといえましょう。母への感謝の日に、兄弟間で互いに嫌な思いをすることのないようにしたいものです。
また「母の日の贈り物はいらないから」とおっしゃる方もいらっしゃいます。その場合は、日ごろの感謝の気持ちをお手紙やサンキューカードで送るとよいでしょう。便せんやカード、切手にカーネーションなど季節のお花が描かれてあるものを使用するとあなたの思いをより深く受け取っていただけるでしょう。
品物をお贈りする際は、こちらの気持ちがきちんと伝わるように、自筆のメッセージカードを添えるとよいでしょう。メッセージカードにはひと言、日ごろの感謝の気持ちと、お(義)母さまのご健康を願う気持ちなどを書きます。
品物にメッセージカードを添えられない場合は、お手紙にて別送します。その際は「別便にて、気持ちばかりの品をお送りしました。お気に召していただけるとうれしく存じます」などと記します。
せっかく贈り物をするのであれば、喜んでいただける品を贈り、贈ったあなたもハッピーな気持ちになる、互いにハッピーになれる母の日にしたいですね。

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。