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緊張ワキ汗にはボトックス 外科手術も有効

日経ヘルス

2017/6/18

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 本格的な夏を前に、汗をかく機会が増える時期。思わず、自分の体がにおっていないかと、くんくんしてしまう人もいるかもしれない。体臭や口臭、頭皮やデリケートゾーンなど、部位別に、気になるニオイの対策を3回に分けて紹介する。3回目はワキガやワキ汗の対策について見ていこう。

◇  ◇  ◇

 ワキガの場合、病院での治療法として、外科処置がある。わきに多汗を伴わず、軽度~中等度の場合は、電気を流して毛根を固める電気凝固法が有効だ。重度の場合は、わきを切開し、アポクリン腺を摘出する方法もある。形成外科などに相談するといい。五味クリニックでは、「直視下手術を行い、アポクリン腺を目視で確認しながら100%摘出する処置を行っている」(五味クリニックの五味常明院長)。

五味院長は遺伝傾向や下着の黄ばみなどほかの要因も含め、ワキガの治療法を決める。耳垢が軟らかい人はアポクリン腺が多い可能性が。ワキガ体質ではないが、どうしても気になる場合は、わきの試験切開でアポクリン腺の有無を確かめることもある(チャート図提供:五味院長)

 緊張やストレスによる大量のわき汗には、「神経伝達の伝わりを弱めるボトックス注射が有効。1回の注射で半年ほど効果が持続する」(五味院長)。

 エクリン腺による汗のニオイや加齢臭、疲労臭が原因の場合、病院にかかっても特に処置の必要はなく、食生活や入浴法の指導、十分な睡眠や休息などを取るよう指導が行われる。

 部位別では、「デリケートゾーンの場合、腐った魚のような不快なニオイが続くときは細菌性膣炎の可能性もあるので、婦人科で相談を」(成城松村クリニックの松村圭子院長)。

 セルフケアで口臭が続く場合は、歯周病の可能性もある。また、胃腸や肝臓などの病気でも口臭が出てくるため、気になるときはかかりつけ医に相談を。

 近年は、「さほどにおっていないのに、自分がにおっていると思い込んでいる自己臭恐怖症の人が増えている。たまたま電車で隣の席の人が立ち上がると、自分がにおっているせいだと思い込み、人と会うのが怖くなったり、外出できなくなることも。その場合には心療内科の受診が必要になることもある」(五味院長)。

■ワキガは20~30人に1人、耳垢で判断

 ワキのニオイで気になるのはワキガだろう。「ワキガは、アポクリン腺から出る汗が原因。たんぱく質、脂質、アンモニアなどが含まれ、この汗が皮膚表面の常在菌で発酵するとワキガ臭が発生する。しかし、アポクリン腺が多い人は日本人の場合20~30人に1人。実際はそれほど気にしなくていい」(五味院長)

 ワキガ体質は耳垢のタイプで判別する。「アポクリン腺が多いのは耳垢が湿って軟らかい人で、耳垢が乾いてカサカサの人にはない。遺伝形質で決まり、遺伝子検査でも判別可能」(五味院長)だそうだ。

五味常明さん
 五味クリニック(東京都新宿区)院長。昭和大学形成外科で形成外科学、多摩病院精神科で精神医学を学ぶ。体臭の悩みを外科的手法と心の治療の両面から解決している。体臭研究の第一人者。
松村圭子さん
 成城松村クリニック(東京都世田谷区)院長。月経トラブルや更年期障害など、幅広い年齢層の不調、疾患の治療にあたる。著書に『女性ホルモンで、ふわっと香る美人になる』(KKベストセラーズ)など。
森昭さん
 竹屋町森歯科クリニック(京都府舞鶴市)院長。MDE(メディカル&デンタルエステ)協会を設立し、唾液分泌を促進させる予防歯科を啓発している。著書に『歯はみがいてはいけない』(講談社+α新書)ほか。

(ライター 海老根祐子、構成:日経ヘルス 羽田光)

[日経ヘルス2017年6月号の記事を再構成]

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