ゼロハリ 全製品をメイド・インUSAに回帰
1938年創業の米国発プレミアムラゲージブランド「ゼロハリバートン」が、全商品の生産拠点を米国に集約すると宣言した。今後は商品を順次入れ替え、2017年内に全ての商品をMADE IN USAに移行するという。
ブランドの姿勢、本物志向を表現
ゼロハリバートンといえば、アルミニウム合金製のアタッシェケースが有名。1969年、アポロ11号が月から石と砂を持ち帰った「月面採取標本格納器」を製造したことで、タフなケースの代名詞として一躍世界に知られる存在となった。このときに使用されたモデルは、実は通常の製品の内側を改造しただけという事実も、ケースのタフさを物語る。
このようにアルミ製ケースのイメージが強いゼロハリだが、2008年からは現代のニーズに応えるべく、軽量なポリカーボネート製キャリーケースや、ナイロン製のビジネスバッグなども数多く展開。そして2017年、これら全商品を米国生産へと切り替え、「ゼロハリバートンの真の姿へと原点回帰する」とゼロハリバートン社のトム・ネルソンCEOは話す。
「ゼロハリバートンはアメリカンブランドの象徴として、世界中にファンがいます。現在グローバルに展開しているアメリカンブランドで、全商品を米国で製造しているところはほとんどありません。自国生産には大きな意味があり、どこで生産されているかということがブランドの信用性や本物志向を表すと考えました」(トム・ネルソンCEO)
さらに、看板のアルミ製品だけでなく全商品を米国生産にすることで、「MADE IN USA」を大きくうたうことができ、本当の意味でアメリカンブランドと名乗ることができるという。
MADE IN USAになって何が変わる?
ゼロハリの全商品が米国生産になることで、何が変わるのかも気になるところ。これについて、広報担当の山田絢音氏は、「米国製になることでブランドとしての価値向上を図ります。商品に関しては、ゼロハリバートンが元々持っている歴史や伝統を守りつつ、ブランドのオリジンに新しいものを吹き込んでいく予定です」と話す。価格についても大きな変動はないそうだ。
2006年以降は商品バリエーションの拡充に伴い、安定供給を図るために各国で製造してはいたものの、一部は2016年から"MADE IN USAモデル"として米国内で生産していた。今後はMADE IN USAをいかに効果的にアピールできるかがポイントになるだろう。この試みが成功すれば、米国発ブランドの米国生産回帰が進むこともありえそうだ。
(ライター 津田昌宏)
[日経トレンディネット 2017年4月12日付の記事を再構成]
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