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パナソニック、スポーツ選手の「ドキドキ」を見える化 カメラの映像から心拍数測定、観客に公開

2017/5/18 日経産業新聞

ゴルフ選手のリアルタイムの心拍数を測定し、モニター画面に表示した(4月末のパナソニックオープン)

 パナソニックがスポーツ業界向け新サービスの提供に乗り出す。同社が強みを持つカメラや映像処理といったIT(情報技術)を活用する。選手の心拍数を映像で表現したり、競技場内の様子を携帯端末に配信したりといったサービスを展開する。同社は2020年の東京五輪・パラリンピック関連で1500億円規模の事業創出を目指しており、スポーツ業界向けの販路開拓を進める。

パナソニックはスポーツ関連事業の強化を急ぐ
心拍数測定システム映像解析技術を活用、カメラで心拍数を測定
動画配信システム仏企業の開発したシステムを国内で独占販売
大型映像モニター競技場向けの大型映像ビジョンを国内外で拡販
カメラなど放送機器4K対応など高性能機を軸に品ぞろえを強化
スポーツ映像判定システム競技向けの精度の高い判定システムで豊富なノウハウ
プロジェクター開会式などの演出向け。高輝度で他社と差異化

 パナソニックは4月末、千葉県内で開かれたゴルフ大会「パナソニックオープン」に選手の心拍数を測定できるカメラを試験的に投入した。衛星放送局のBS―TBSと組み、中継映像に選手の心拍数を表示。会場内のモニターを含めた視聴者に選手の緊張度を伝え、より楽しんでもらう狙いだ。

 このシステムではパナソニックが開発した新技術「非接触バイタルセンシング」が使われている。撮影した映像から毛細血管の収縮で起きるわずかな顔色の変化を解析して心拍数を測定する。当初は医療・健康分野での使用を想定した。

 ただ心拍数の測定はスポーツ観戦や選手のメンタル強化などでもニーズがあると判断、今回の導入が決まった。「体に装着する必要がなく、センサー型に比べて選手への負担が少ない」(東京オリンピック・パラリンピック推進本部の藤島幸治氏)といい、プロスポーツチームや競技団体への売り込みを進める考えだ。

 また、パナソニックは仏ベンチャー企業が開発した動画配信システム「VOGO」の国内での独占販売権を獲得。今後スポーツイベントや競技場の運営企業などに本格的に売り込む。VOGOは中継映像を競技場内にいる観客のスマートフォン(スマホ)など携帯端末に配信できるシステム。必要な設備が少なく、費用や設置の負担が小さいのが特徴だ。

競技場にいる観客の携帯端末に中継映像を配信することも可能だ

 VOGOもパナソニックオープンで試験的に運用し、特定のホールの中継映像を配信して離れた場所からでも確認できるようにした。広いゴルフ場では「双眼鏡でグリーンの様子を確認する観客もいる」(ブランドコミュニケーション本部の黒岩仁美氏)。来場者の約1割が利用するなど好評だったという。パナソニックではラグビーなど他の競技でもシステムの効果検証を進めている。

 パナソニックは放送局向けの高性能カメラや、競技場向けの大型ディスプレーなどスポーツ業界向けの製品をすでに販売してきた実績がある。ただ、これまでは機器売りにとどまっており、今後は機器を組み合わせたシステムやサービスにまで広げて事業を伸ばしていく考えだ。

 パナソニックオープンといった実際のイベントでの導入事例を顧客に見せることでイメージをわきやすくし、販路の拡大につなげる。

 パナソニックは東京五輪・パラリンピックのスポンサーに選ばれている。ブランド力を高めるだけでなく、独自の技術をいかしてスポーツ関連事業自体も拡充する考えだ。「スポーツの新しい楽しみ方や競技力の向上につながればビジネスとして確立できるはず」(東京オリンピック・パラリンピック推進本部の鈴木一雄企画推進部長)としている。

(香月夏子)

[日経産業新聞2017年5月2日付]

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