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「壁」のあるジムが急増 新種目ボルダリングに熱視線 タンクトップ、ヘアバンドも売れ行き伸びる

2017/5/11 日本経済新聞 朝刊

専用施設でボルダリングを楽しむ人たち(東京都昭島市の「モリパーク アウトドアヴィレッジ」)

 2020年東京五輪に新たな色彩を加えるのが、今大会で採用される追加種目だ。復活する野球・ソフトボールだけじゃない。五輪パワーを注入された新興スポーツの選手はもちろん、企業や消費者も熱を帯びている。

 日本のスポーツクライミング界は今、10代の女子選手の台頭が著しい。1月に開催されたボルダリング種目のジャパンカップで、14歳の伊藤ふたばさんが野口啓代さんらをおさえて史上最年少で優勝。決勝に残った6人のうち、10代が5人を占めた。その伊藤さんが4月に行われたリード種目の日本ユース選手権では4位にとどまるなど、選手層は厚い。

登る速さを競う「スピード」の実演をする世界のトップ選手(4月15日、東京都昭島市の「モリパーク アウトドアヴィレッジ」)

 東京五輪ではボルダリング、リード、スピードの3種目の複合競技として実施される。ユース世代は3月末、東京都昭島市に完成したばかりのスピード壁で合宿した。国内に施設がほとんどなく、日本選手が苦手にするスピードの強化に早くから取り組む。男子も20代前半から10代後半に有力選手が多い。五輪の日本代表は男女2人ずつの見込みで、代表を巡る争いはここから激しさを増す。

 このチャンスを逃したくないのは競技団体も同じだ。長く日本山岳協会と名乗ってきた国内統括団体は4月、日本山岳・スポーツクライミング協会と名称を変更した。五輪競技となったことで、日本オリンピック委員会(JOC)からの強化費の分配も大幅に増加。ボルダリングのワールドカップ(W杯)シリーズ開幕戦では、選手とスタッフ計17人分のスイスへの渡航費や滞在費を初めて協会側で負担することができた。この先も合宿や海外遠征を継続的に計画している。

 スタイリッシュで都会的なイメージがあるスポーツクライミングに、企業も熱視線を送る。昨春、日本協会とスポンサー契約を結んだ三井不動産。18~21日に東京都江東区の商業施設「ららぽーと豊洲」にクライミングの壁を設置し、来場者に無料開放する。野口らによる講習会も開く予定だ(申し込みは終了)。同社広報部は「幼児から若年層に人気のスポーツで、家族で楽しめることが特徴。ファミリー世代が訪れる『ららぽーと』とは親和性が高い」と狙いを説明する。

 日本協会によると、スポーツクライミングの愛好者は推計60万人。タウンスポーツとして気軽に始められることから、08年には全国に約100カ所だった施設は15年には435カ所と急増した。大半は壁の高さが5メートル以下と3種目で一番低いボルダリングジムだ。

 4月に昭島のボルダリングジムを訪れた会社員の日下優さん(29)は「流行していると聞き、一度やってみたかった。(ホールド=突起物に)手が届きそうで届かない難しさと、ゴールしたときの達成感が楽しい」と魅力を語る。

 フィットネス大手のコナミスポーツクラブも3月、東京・池袋のスポーツクラブ内にボルダリングジムを新設した。「筋力向上や運動不足解消のために始めたい」との声が寄せられたためといい、今後全国に広げていく方針だ。

 関連グッズも売れている。日本代表チームにユニホームを提供するゴールドウインによると、選手たちの活躍に伴い、「ザ・ノース・フェイス」ブランドのタンクトップやヘアバンドなどの売れ行きが伸びているという。広報担当の永山貴博さんは「アイコンとなる選手が活躍すれば、もっと人気が高まるはず」と期待している。

(鱸正人)

[日本経済新聞朝刊2017年5月11日付]

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