ホラン千秋 キャスターへの転身、成功のきっかけとは
芸能人の転身、なかでもキャスター業にチャレンジする人が相次ぐなか、夕方の帯番組を任されたのが、女優・タレントのホラン千秋だ。10代から始めた女優活動を経て、大学卒業後の2012年に『NEWS ZERO』(日テレ系)のキャスターに抜てきされた。この転身以降、気取らない性格とはっきりとした発言で、バラエティーに引っ張りだこに。そしてこの春からは、報道番組『Nスタ』(TBS系)のキャスターを務めている。現在に至るまで、どのような歩みがあったのか。
「私は何かを『伝える』仕事がしたくて、それさえブレなければ、形にこだわる必要はないと思っています。とはいえ、やはり帯番組に携われるチャンスはとても貴重。驚きましたが、光栄な気持ちでいっぱいです。事前に裁判所や国会で取材する記者さんにお話を聞いたり、準備を重ねました。
今回、『NEWS ZERO』で一から教えていただいたキャスターの基本に加えて、全く違うジャンルに見えるバラエティーでの経験も生かせるのではと思っています。コメントを言うタイミングはもちろん、言いたいことを端的にまとめる能力も求められます。その作業が初めはとっても苦手でした。でも、トライアンドエラーを何度も繰り返しながら、少しずつできるようになって。例えば、ラーメンの味と世界情勢とでは、伝える内容は全然違うけれど、根本は同じだと思うんです。どんな番組でも、自分の言葉に責任を持って伝えることに変わりはありません」
トントン拍子にキャリアを重ねてきているように見えるが、実は苦労人。歌手になりたくて13歳で事務所に入り、その後は女優を目指すようになったが、新垣結衣や吉高由里子らと同じ88年組。なかなか芽が出なかった。
方向転換して結果が出た
「大学1年生ぐらいのときに、同世代の子がどんどんドラマや映画で活躍しているのを見て、悶々(もんもん)とした日々が続いていました。20歳を目前にした時、『このままでいても、私に彼女たちみたいなチャンスは来ない。自分でどうにかしなきゃ』と気づき、演劇を学ぶため留学を決意しました。これを機に、芝居に限らず何かを『伝える』こと自体に興味を持ったんです。
帰国後に、当時のマネジャーさんに、タレントやキャスターの仕事もしてみたいと伝えました。そこから、これまでに行ったことのないジャンルのオーディションを受けに行き始めて、TOKYO MXの『ULALAナナパチ』、そしてTBSの『ビジネス・クリック』などが同じタイミングで決まったんです(11年)。それまでは、オーディションに100本行っても1つも受からなかったのに。方向転換した途端に結果が出て、少し自信になりましたし、もしかしたらこっちなのかなって。
10代のときから10年近くうまくいかない時期を経て、『こうなりたい』と思うより、芯さえブレなければ何でもチャレンジするスタンスに変えてからいろいろなことが好転していきました。評価してもらえたうれしさと、その期待に応えなければという気持ちはいつも大切にしています」
(ライター 内藤悦子)
[日経エンタテインメント! 2017年5月号の記事を再構成]
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