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運用業界 女性活躍なくして未来なし(藤野英人) レオス・キャピタルワークス社長兼最高投資責任者

2017/5/2

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「海外に行くといつも感じるのは、女性がバリバリ活躍していることだ」

 先日、シンガポールに出張があり、資産運用会社を何社か訪問してきました。シンガポールの資産運用業界は日本よりはるかに進歩的で、国家も絡んだ大きな資産運用会社がいくつもあります。

 海外に行くといつも感じるのは、女性がバリバリ活躍していることです。今回も実際に数社訪問しましたが、女性のファンドマネジャーやアナリストの数が男性を上回っていて、日本との違いを感じました。

 私が資産運用業界に入ったのが1990年です。当時も極端に女性のアナリストやファンドマネジャーは少ないと感じていましたが、今もそれが改善しているとは思いません。男女問わず若いアナリストやファンドマネジャーが少ないという現実もあります。

 資産運用会社はこの10年以上、運用残高はほとんど変わっていないのに、営業収益だけは上がっています。ファンドが手数料を稼ぐため、「回転売買」が増えていること、そして「信託報酬率」が上がっていることが背景にあります。

■運用業界になぜ女性が少ないのか

 業界全体で見ると、営業の人員は増えています。運用残高はほぼ横ばいなので、ファンドマネジャーの新陳代謝が起こらずに高齢化が進み、結果的に女性の進出も妨げられたといえるのではないでしょうか。

 これはいわば「鶏が先か卵が先か」という話です。たとえば、資産運用にかかわる勉強会を大学生向けに行ってみると参加者はほとんど男子学生で、女子学生はあまり来ないという事実があります。それが中学生や高校生であっても状況は同じです。そもそも、女性が運用に興味がないのであれば、運用業界に就職しようという人が少ないのは仕方がありません。

 この議論をすると「女性は数学が苦手で、感情的なので合理的な判断には向かない」ということを強く主張する方がいるのですが、納得のいく答えではないでしょう。欧米でもシンガポールでも投資や運用についての講座を行うと、中学生であれ大学生であれ、ほぼ男女同数来るそうです。そもそも、世界的には女性のアナリストやファンドマネジャーが広く活躍していることを考えれば、女性だからといって企業調査や資産運用に向かないという指摘はまったくあたらないといえます。

 女性がそうした業界を目指すことに門戸は開かれているのに、実際に働く人が少ないのはどうしたことでしょう。これは私の推論ですが、(親も含めた)キャリア教育に問題があるのではないでしょうか。つまりジェンダーバイアス(性差)の問題です。

■日本社会に残る固定観念が壁に

 男性と女性は本来同じ仕事をしてしかるべきですが、日本社会の伝統的な考え方はそうではありませんでした。だからこそ政府は「女性活躍社会」という看板を掲げ、各種の問題に取り組んでいるわけですが、いまだに社会には「女性はこうあるべきだ」という固定観念が根強いのも事実です。こうした固定観念は一朝一夕になくなるものではありません。親の世代や教育、社会の現場には古い意識が残っているのではないでしょうか。

 こうしたジェンダーバイアスの問題をフェイスブックで書いたら、資産運用業界以外でも多くのプロフェッショナルの分野で似た状況だという声が寄せられました。

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