フード・レストラン

フード・フラッシュ

100種超すサケ料理、城下町に育つ 新潟・村上を歩く

2017/5/3

村上では一年を通してサケがつるされている(「味匠 喜っ川」の酒浸し用のサケ)

 サケといえば、北海道や東北を思い浮かべる人が多いと思う。だが、サケ文化の歴史と100種類を超える料理の多様性という点では新潟県村上市が日本一だろう。山形県に接する県最北の町に流れる豊かな川と寒風が育む独自の味覚。この町でサケがどう暮らしに息づいているのか。代表格の塩引き鮭の体験やサケ文化の歴史をたどりながら人々の知恵を探ってみた。

「人形さま巡り」開催中は、つるされたサケとひな人形が観光客を出迎える(味匠 喜っ川)

 雪国に春を告げる風物詩「人形さま巡り」(3月1日~4月3日)に合わせて村上を訪ねた。80軒近い商店などにひな人形や武者人形が飾られ、観光客は城下町の風情を感じながら自由に見学できる。町家づくりの商店の軒先にサケがつるされている。サケ料理を楽しめる飲食店も多い。

 「奥の細道」の道中で松尾芭蕉が泊まったとされる「井筒屋」。宿を改装して3月に開店したばかりのサケ専門店だ。塩引き鮭のお茶漬け御膳(サケ料理7品で2500円=税別)が味わえる。まずは塩引き鮭を七輪で皮目から焼く。3分ほどで香ばしい香りが漂う。裏返して焼き目が付けば食べごろ。

 最初は塩引き鮭本来の味を楽しむため、コメどころ新潟でも名高い岩船米でそのままいただく。隣接する関川村の農家から特別に取り寄せているコシヒカリだ。粗塩を引き3週間ほど寒風にさらして発酵させているため塩味は強いものの塩辛くない。サケとご飯。何度も食べたことがあるが、何という相性の良さだろう。これだけで一杯平らげてしまいそうだ。

井筒屋の「お茶漬け御膳」は、塩引き鮭を七輪で焼くところから始まる。2~3分で食欲をそそる香りが漂う

 焼きたてを秘伝のだししょうゆに付けた焼き漬けや昆布巻き、頭部を甘辛く煮たかぶと煮に白子煮、1年間乾燥発酵させて熟成した身を薄く切り日本酒に浸して食べる酒びたし、そして極上のはらこの味噌漬け。ご飯を挟みながらつまんでいるうちに、本当に最初の一杯を食べてしまった。ちなみに「はらこ」とは「腹子」。つまりイクラのことだが、村上ではロシア語のイクラは日常的に使わない。

 粒が大きい張りのあるはらこだけでも一杯食べてしまいそうだが、ご飯は3杯までおかわりできる。土鍋で炊いているので2杯目のご飯にはお焦げがある。ちょっとうれしい。塩引き鮭をほぐし、三つ葉と刻みのりとワサビを乗せてお茶漬けでいただく。だし汁は地元の村上茶にカツオだしがブレンドされた自家製。ぜいたくな鮭茶漬けだ。さほどおなかがすいていたわけではないが、当たり前のように3杯食べてしまった。

フード・レストラン