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使わなきゃ損! 個人型DC iDeCo

貯蓄から投資へ 積立なら無理なく続けられる 貯金をマネーハックする(4)

2017/4/24

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 今月は貯蓄をマネーハックしていますが、自動的に積み立てを行う資産形成のスタイルは投資にも応用することができます。積立投資です。

 投資といえば「とりあえず100万円くらいためてからやるもの」といった固定観念を持つ人もいるかもしれませんが、ゼロ円からスタートしてはいけないというルールはどこにもありません。

■ゼロからスタートできる積立投資

 むしろ、毎月1万円程度から投資をスタートした方が早く投資経験を得るチャンスになりますし、無理なく投資を続けられるでしょう。100カ月積立貯蓄して100万円で8年後に投資デビューするくらいなら、今月から1万円ずつ、8年間積立投資した方がいいのです。

 ゼロから投資をスタートして、100カ月の投資経験を得た人は相場の短期的な値動きに踊らされず、その後も落ち着いた投資を続けられることでしょう。一方、投資経験ゼロで一生懸命ためた100万円で投資デビューをしてしまうと、相場がちょっと値下がりしただけで投資を諦めてしまうことがあります。積立定期預金をスタートするとき、ぜひ積立投資も検討してください。

 それでは積立投資にはどのような方法があるでしょうか。

■制度があるなら持ち株会も選択肢の一つ

 社内で「社員持ち株会」のようなものがあれば、これは代表的な積立投資です。持ち株会とは、社員が給与や賞与の一定額を拠出し、自分の働いている会社の株主になる仕組みです。社員持ち株会が株券を買い付けるので、実際の単位株取得に50万円かかる場合でも、個々の社員は最初から50万円を出す必要はありません。毎月1万円積み立てるなら、50カ月後に晴れて株主になれます(期間中の株価変動により実際の取得口数は異なる)。

 社員持ち株会について奨励金を設定している場合もあり、この場合、奨励金に相当する額が個人にとっての利回りともいえます。有利な資産形成になる可能性を秘めています。

 仕事で頑張って、自分が働いている会社が成長すれば株価も上昇するわけですから、株主になる魅力はあります。単位株を取得して証券口座に移せば、配当や株主優待ももらえてしまいます。

 ただし、注意点もあります。会社の業績が悪くなった場合は株価も下がります。ボーナスも減るでしょう。不幸にも倒産に至れば、持ち株会の財産は数百円にしかならず、仕事も失うことになります。自分の働く会社を愛することはいいことですが、入れ込みすぎないようにしたいものです。

■株式を組み入れている投信にチャレンジ

 それ以外の積立投資といえば、銀行や証券会社を通じた「積立投資」ということになります。投資信託などの金融商品を選び、積立金額と積立日を指定します。金額と積立日の指定は積立定期預金と同じです。手取りの10%を目標に金額を設定、給与振り込み日の後に期日を選択してください(金融機関によっては積立日が決まっていることもある)。

 積立投資については、一定の積立金額を設定している場合が多いのですが、メガバンク3行では1000円からスタートできます(銀行によって条件が異なる)。思ったより手軽にスタートすることができます。「積立定期5000円、積立投信5000円」というような感じで始めてみるといいでしょう。

 証券会社で積立投資をする場合は、銀行口座からの引き落としを指定します。基本的に手数料はかかりません。初めての積立投資においては、どのような商品を選べばいいか考えてみます。

 まず、株式を組み入れている投信にチャレンジしてください。債券で運用する投信の方が安全に見えると思いますが、100%国債での運用だと預貯金との差があまり出ません。安全資産にばかり投資しても経験が積めません。

 投資方針はインデックス運用(パッシブ運用)で、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)に連動する投信がわかりやすいでしょう。運用にかかる手数料(信託報酬や運用管理手数料という)については、極力低いものを選びます。手数料が高いことは運用成績が良いことや、元本割れが避けられることを保証するものではありません。年0.2%~0.3%の手数料で済む株式投信もたくさんあります。年1%を超えたら払いすぎと考えましょう。

 ちなみに、NISA(少額投資非課税制度)を通じて積立投資を行うこともできます。2018年から積立NISAという制度も創設されますが、現行のNISAでも積立投資は可能です。それぞれの制度の利点など、詳しくは取引金融機関で相談してください。

■iDeCoは原則60歳まで解約できないので要注意

 ところで、定期的に積み立てが行われ、税制優遇も大きい制度としてiDeCo(個人型確定拠出年金)があります。本連載でも17年1月のテーマとして取り上げました。それでは、初めて積み立てを始める人の選択肢としてiDeCoはどうなのでしょうか。

 私は確定拠出年金の専門家でもあり、いろんなところで活用のメリットを説いていますが、新入社員や20歳代の人を対象とする「初めての資産形成」にはiDeCoはお勧めしていません。

 確かにiDeCoの税制上のメリットは強力で、積み立てた掛け金のかなりの部分が戻ってくる(所得税などがかからなかった分)ほか、運用収益も非課税になるのは事実です。しかし、「原則60歳まで解約できない」という制限も強力で、これは初めて積み立てを行う若い世代にとっては要注意です。

 どうしてもやりくりがうまくいかず、積立資産を解約したいとき、定期預金や積立投資ならすぐ現金を手元に戻すことができます。しかし、iDeCoではそうはいきません。貯蓄をスタートしたい人はiDeCoは30歳代の課題と考え、まずは積立定期預金や積立投資をしましょう。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
 AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)など。http://financialwisdom.jp

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