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塾に行く暇はない 浦高生徒は「14時間制」 埼玉県立浦和高校の杉山剛士校長に聞く

2017/5/13

 確かに浦高出身者には挫折を乗り越えてきたタフな人材が少なくない。杉山校長はその代表的な3人の名前を挙げた。順天堂大学医学部付属順天堂医院院長の天野篤氏。心臓外科医で、12年に天皇陛下の心臓バイパス手術を執刀したことで知られる。実は3浪後に日本大学医学部に合格し、国内トップクラスの心臓外科医に登り詰めた。宇宙飛行士の若田光一氏は、国際宇宙ステーションで日本人初の船長を務めた。元外交官の佐藤優氏は失職したが、人気作家になった。いずれも浦高に度々来校し、「エクスプローラー(探検家)になれ」(若田氏)などと後輩たちにメッセージを送ったり、体験談を語っているが、杉山校長は「特に天野さんには3年前から医療現場を実際に生徒に体験させてもらっている」という。

■「神の手」の先輩から指導

浦和高校の正門

 浦高は医学部志望の3人の生徒を天野氏のもとに送り、3日間にわたってみっちりと指導を受けさせるという。患者の了承を得て、なんとオペ中の手術室にも入る。手術前、当日、その翌日、患者の気持ちをどういやすのか、そんな重い課題に対峙し、生徒たちは真剣に考え始めるという。

 天野氏は「勉強ができるから医学部に行くという発想はおかしいでしょ。まず医師になる『覚悟』をもってもらいたいと思い、お手伝いした」と話す。高い学力で医学部に入ったものの、医師としての心がけが足りない学生が少なくないからだ。現在、天野氏は他の高校の生徒も受け入れている。これまで浦高では9人が天野氏の指導を受けたが、全員が医学部に進学したという。

 経済界にも浦高出身者は少なくない。三菱地所で会長を務めた木村恵司氏、双日会長の加瀬豊氏は、現在の浦高同窓会の会長と副会長で、浦高時代の同級生だ。「活躍している卒業生はいずれも部活に加え、古河マラや臨海学校を乗り越えてきた方々ばかり。ほかの進学校は部活や行事を制限したりするでしょうが、うちはあえて無理難題に挑んでもらう。それが10年後、20年後の人生に必ず役立ちます」と杉山校長。男女共学校が増えているが、あくまでも「タフでやさしい男」を育て続ける考えだ。

(代慶達也)

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