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投資道場

ETFの未来像 東証は「20年に投資家を300万人に」 ETFの基本から使いこなしまで(4)

2017/4/20

東京証券取引所 取締役専務執行役員 土本清幸さん

 日本経済新聞出版社のムック「ETFまるわかり! 徹底活用術2017」の記事をもとにETFの魅力や使い方を解説する連載の最終回。今回は日本におけるETF(上場投資信託)の発展に寄与してきた東京証券取引所の、取締役専務執行役員の土本清幸さんにETFの未来像やさらなる市場拡大への取り組みについてお聞きしました(肩書きは2016年12月14日時点)。特に東証は取引所としては異例ともいえる「ETFの投資家を2020年には300万人に」という方針を発表しており、その背景にある思いも読みどころです。

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──1995年に日本初のETFとして日経300型上場投資信託が登場してから、20年がたちました。

 当時、私は役員からの特命事項として「取引所に投資信託を上場できないか考えてくれ」と依頼され、どうすべきかと悩んだことを思い出します。投資信託といえば、証券会社の店頭で販売される金融商品で、1日一度値段が決まり、購入したお客様も売却する際は証券会社に買い取ってもらうか償還まで持っていることが当時の一般的なイメージです。上場するには関連法令から変更する必要があり、苦労しました。アジアでナンバーワンの市場にまで成長した現在とは隔世の感があるとともに、うれしく思います。

──ETF市場が拡大していったプロセスを、どのように見ていますか。

 最初のETFは、日経300連動型上場投信で、長く1銘柄の時代が続きました。本格的に上場が進んだのは、法改正により現物設定・現物交換型のETF組成が可能になった2001年以降です。TOPIX(東証株価指数)や日経225株価指数に連動するETFなど、東証には03年までに16銘柄上場しました。こうした黎明(れいめい)期・導入期を含め、大きく3つのプロセスを経て市場が拡大しているととらえています。

(注)2016年12月31日現在 ※2013年以前のETF・ETN銘柄数は東証と大証の合計値 (出所)東京証券取引所

 2番目のプロセスが、外国株式や金といった新たなアセットクラスのETFが続々と登場した07年からの発展期です。契機となったのは、07年12月に金融庁の「金融・資本市場競争力強化プラン」においてETFの商品多様化の方針が出されたことです。東証としても、その一環として、08年から3年で上場するETFを100銘柄に増やす方針を打ち出し、上場制度の整備や国内外のETF組成業者への誘致活動を強化しました。09年には、金銭設定・金銭償還型ETF制度が導入されて、新たなETFが組成しやすい環境が整い、多様化が加速しました。

 その後、10年12月からは、日銀によるETFの買い入れが開始されたこともあり、市場規模は順調に拡大しました。11年にはさらなる制度改定で国内初のETNが上場、12年にはレバレッジ・インバース型、14年にはJPX日経インデックス400連動型、15年には高配当型ETFと新たな上場銘柄が誕生しました。

 17年以降は爆発的な普及期に入ると私は考えています。これが3つめのプロセスです。

■特設サイト『東証マネ部!』も登場

──ETFが普及していくうえでの課題点はありますか。

 超低金利環境下で、すでに地殻変化は起きています。日銀がマイナス金利政策を導入するような時代になって、国民の中にも「預貯金だけでの資産運用はだめだよね」といった危機意識を持つ方が増えていると実感しています。

 米国では、ETFが個別企業の株式市場を凌駕する規模になっています。金融の分野では、米国で起こったことが10年後に日本で起こるといったケースが過去にいくつもあり、さらなる普及においては米国の事例が参考になるでしょう。

 例えば、その1つがFA(ファイナンシャル・アドバイザー)の存在です。日本では、独立系のFAはまだまだ多いわけではありませんが、投資家目線での販売チャネルや販売手法の多様化といった議論が金融庁でも盛んに行われている現在、FAの充実や働きによって、ETF市場はまだまだ拡大する余地があると思います。また、FP(ファイナンシャル・プランナー)への相談内容も、以前は住宅購入や保険の加入、介護といったライフプランニングに関連したことが多かったものが、このところは資産運用への相談件数が増えていると聞いています。

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