声で照明操作、通販直結の冷蔵庫 驚く進化のIoT家電
あらゆるモノがインターネットにつながるIoT。その波は白物家電にも押し寄せている。今や珍しくなくなった外出先からの遠隔操作機能に加え、ここ数年は、スマホの位置情報やウェブ上の情報を活用する機能が登場。「2016年は白物家電のIoT元年」といわれている。
なかでも注目は、デロンギの「マルチダイナミックヒーター Wi-Fiモデル」。そのカギとなっているのが、アップルの「ホームキット」への対応だ。ホームキットはiPhoneから家電を一括管理できるアプリケーションで、スマホの位置情報と連係できるのが特徴。これにより「ヒーターから100m離れたらスイッチオフ、自分が駅に着いたらスイッチオン」といった設定が可能になった。「毎回ボタンを押さなくても自分の行動に合わせて家電が動いてくれるのは、新しい魅力」(家電コーディネーター・戸井田園子氏)。また、音声アシスタント機能Siriにも対応しており、オン・オフや温度調節が声で操作できるのも便利だ。
同じくホームキットに対応しているのが、フィリップスの照明器具「Philips Hue」。スマホと照明のリモコンをWi-Fiでつなぎ、光の色や時間帯によるオン・オフをコントロールする。こちらもSiriでの音声操作が可能だ。昨年12月にはIoT製品やウェブサービスを連係させるヤフーの「myThings」にも対応。これによりヤフーの天気情報に応じて照明の色を変えたり、最寄り駅への到着時に色を変えて家族に知らせるといったことが可能になった。
17年1月に米ラスベガスで開催された家電見本市「CES 2017」で話題を集めたのが、LGエレクトロニクスの冷蔵庫「Smart InstaView」だ。扉に設置された29型の大画面ディスプレイをノックすると中身が映し出され、さらにノックすると情報画面に切り替わる。アマゾンの音声アシスタント「Alexa」と連係しており、音声で食材を注文したり、買い物リストを作ったりと使い方は幅広い。発売時期は未定だが、「今後の市場の状況を鑑み、検討していきたい」(LGエレクトロニクス・ジャパン)という。
IoT家電の利便性をさらに高めるには、複数製品同士の連係が必要。ただ「国内メーカーはそれぞれが独自の仕様で開発を行う傾向があり、IoT化を阻んでいる一面もある」(戸井田氏)。まもなくAlexaという黒船がやってくる。「国内でも健康分野で複数メーカーが連携してサービスを開発する動きもあるように、ここ数年で状況は変わっていくだろう」(同氏)
国内メーカーでは、独自路線を生かしたユニークな製品が生まれている。AI(人工知能)の活用に力を入れるのがシャープだ。"IoTオーブンレンジ"「ヘルシオ AX-XW300」は、ユーザーの好みを学習してメニューを提案してくれる優れもの。「週末、何食べよう?」といった曖昧な質問にも、履歴や天気情報から候補を導き出す。シャープではAIの技術を生かし、こうした家電のハブとなる小型ロボット「ホームアシスタント」を今年前半にも発売する計画だ。
iPhoneなどアップル製品で制御、位置情報で動く機能を搭載
デロンギ・ジャパン 実勢価格9万6984円(Apple TV 第4世代 32GBセット・税込み)
革新度★★★★★
使い勝手★★★★
アップルの「HomeKit」に対応したヒーター。Apple TV(付属)やiPadをハブとして使った遠隔操作ができるだけでなく、iPhoneのGPSと連動した自動制御も可能。Siriでの音声操作にも対応している。「最寄り駅に着いたら部屋を暖めるといった使い方は画期的」(戸井田氏)
部屋の空気の汚れを可視化、アプリで空気清浄効果を実感
ダイソン 実勢価格7万8624円(税込み)
革新度★★★
使い勝手★★★★
空気の状態がスマホアプリでわかる空気清浄機能付きファンヒーター。室内のガスや粒子を解析し、「きれい」「汚れている」など4段階で判定する。事前に「空気質の目標値」を設定しておけば、汚染度に応じて自動で清浄。大気の分析を行う企業と提携しており、屋外の空気の状態もリアルタイムで表示される。使用してみると、目では見えない空気の汚れが可視化されることで、効果を実感できた。
カーテンを自動開閉、目覚めもすっきり
ロビット 実勢価格3985円(税込み)
革新度★★★★
使い勝手★★★
本体をカーテンレールに取り付け、アプリで時間を設定すれば、朝になるとカーテンが開く。ボタン一つでスマホと連動し、同じボタンを押してローラーをレールに引っ掛けるだけ。設定も簡単だ。ただ、取り付け後はカーテンが手動では開閉できなくなる。また、購入前に自宅のカーテンレールが対応しているかを確認する必要がある。
スマホで照明を自在に調節、Siriを使った音声操作も
フィリップス 実勢価格2万6280円(スターターセット v2・税込み)
革新度★★★★★
使い勝手★★★
Wi-Fiで接続するLED電球。スマホからスイッチのオン・オフだけでなく、時間によって好みの光を設定したり、不在時も夜間だけ電気をつけるといったことができる。アップルのプラットフォーム「HomeKit」に対応しており、Siriでの音声操作が可能。
家中の照明を一括管理、シーン別の調光が可能
17年2月に発売されたBluetooth搭載照明。15台までの照明をスマホで一括管理できる。「くつろぎ」「勉強」など、シーンに合わせて部屋の雰囲気をつくり出すことも可能。1日の流れをタイマー設定しておけば、光色が自動で切り替わる。
AIがメニューを提案、ユーザーの好みまで学習
シャープ 実勢価格14万9040円(税込み)
革新度★★★★
使い勝手★★★★
音声操作機能に優れたオーブン。食材やジャンルなどからメニューを相談すると、AIがクラウド上のデータから選択。履歴から好みや分量を学習していく。スマホアプリでレシピが一覧でき、本体に送信すると自動調理が始まる。
ノックすると扉が透明に、アマゾン「Alexa」連動冷蔵庫
LGエレクトロニクス 未発売
革新度★★★★★
使い勝手―
「CES 2017」で展示された冷蔵庫。扉の29型ディスプレイをノックすると中身が映し出され、さらにノックすると情報画面に替わる。アマゾン「Alexa」に対応し、商品の注文などができる。
照明兼見守りカメラ、動きを検知して録画
フォーカルポイント 実勢価格3万9800円(税込み)
革新度★★★
使い勝手★★★★
玄関や車庫に設置すれば、スマホからリアルタイムで映像が見える照明兼監視カメラ。20m以内の指定の範囲に動く物を検知すると録画を開始する。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2017年4月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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