「100均」の実力侮りがたし 格安iPhone防水ケース
iPhoneを一日中そばに置いておきたい人には、水のそばでも安心して使える防水ケースが便利だ。100円均一ショップ(100均ショップ)でも、スマートフォン用の「簡易防水」「防滴」ケースやポーチが販売されている。
今回は100均ショップで手に入れた防水ケースが、どれぐらい使えるのかを試してみた。使った機種はiPhone 7と6s。サイズの確認にiPhone 6 PlusとiPhone SEも使用している。購入した100均ショップはダイソー、セリア、キャンドゥの3店舗だ。
ストラップ付きなどの種類がある
水にしずめても中に入っているiPhoneに影響がない「完全防水」に対して、水しぶきや濡れた手で操作しても大丈夫という程度の安心感が「簡易防水」だ。「日常生活防水」「防滴」と表示されている場合もある。台所などの水回りでの使用や、浴室で浴槽に落とさずに使うという範囲でiPhoneをガードできる。
実際にケースを使ってみると、ちょっとした水濡れでも大丈夫なことはもちろん、口をしっかり閉じていればiPhoneが一瞬水に浸かるぐらいでも問題はなさそうに思える。ただし今回確認した製品には、防水規格であるIPX4などのJIS規格表示のある製品はなかったので、性能が保証されていない。あくまでも自己責任での使用のため、注意してほしい。
今回、100均ショップで見つけた簡易防水ケースには、単なる袋状のケースから、ストラップ付き、スタンド付きなどいくつかのタイプがあった。画面の大きなiPhone 7 Plusなどが入るケースは選択数が少ない。
まずは購入前にケースに入れるスマートフォンのサイズを確認しよう。PlusサイズのiPhoneを使っている場合は、7~8インチサイズのタブレット用簡易防水ケースも検討すると選択肢が広がるだろう。
またケースの素材や厚さによるが、iPhone 7のセンサー式ホームボタンを操作できない製品が多くあった。そういう場合はiPhoneの「AssistiveTouch」機能を使って、画面に仮想的なホームボタンを表示させて使うとよいだろう。設定方法は最後に紹介する。
それでは簡易防水ケースを「ストラップ付き」「スタンド付き」「薄手」とタイプ別にチェックしていこう。
アウトドアには「ストラップ付き」がいい
アウトドアでも使うなら、ストラップ付きの簡易防水ケースが便利だ。今回はセリアの「スケルトンポーチひも付き」「スマートフォン防滴ケース」、キャンドゥの「WATERPROOF CASE」の3つを紹介する。
素材はどれも厚手のポリ塩化ビニル(PVC)製のため、硬い地面に落としたときなどに衝撃を弱めてくれそうだ。残念ながらいずれもiPhone 7のホームボタンを押しても反応しない。またPlusシリーズのiPhoneは入らない。内蔵スピーカーからの音声再生およびマイクでの通話は問題なくできた。
内側のサイズ:85mm×140mm(厚さは未掲載)
チャック:一重で2回折り返し、ベルクロ留め
備考:ストラップの長さは約50cm
セリアの「スケルトンポーチひも付き」は、ケース口の反対側にストラップが取り付けられている。うっかり閉め忘れるとケースの口からiPhoneを落とすことになるので注意しよう。
今回のケースのなかでは、最もスタイリッシュだ。ただし他の製品よりも細身のため、iPhoneに大きめのケースを装着している場合は入らない可能性がある。
内側のサイズ:75mm×140mm×10mm
チャック:二重で2回折り返し、ベルクロ留め
備考:ストラップの長さは約45cm
セリアのもうひとつの「スマートフォン防滴ケース」は、二重のチャックと2回の折り返しで厳重に閉じられる。透明なのは片面だけなので、iPhoneを入れる向きに注意が必要だ。
内側のサイズ:68mm×140mm×15mm
チャック:二重で2回折り返し、スナップ留め
備考:ストラップの長さは約40cm
キャンドゥの「WATERPROOF CASE」は、両面がクリアでストラップの取り付け位置もケースの口側。今回のストラップ付きの簡易防水ケースでは、安心感もあるこの製品がおすすめだ。
浴室にはスタンド付きケース
入浴中に動画を楽しみたいなら、iPhoneを安定して立てておけるスタンド付きの簡易防水ケースが便利だ。ダイソーの「立てて見れる防水ソフトケース」は横向き、キャンドゥの「防滴ケース」は縦向きで立てられる。
内側のサイズ:表示なし(iPhone 7 Plusが入らないことは筆者が確認)
チャック:一重チャック
備考:横向き
内側のサイズ:80mm×135mm×15mm
チャック:一重チャック
備考:縦向き
どちらも厚手のポリ塩化ビニル製で、iPhone 7のホームボタンは反応しない。後述するAssistiveTouch機能で代用しよう。またPlusサイズのiPhoneは入らない。
ただし、素材が厚くても、スピーカーの音は問題なく聴こえた。動画を見るにも音楽を再生するにも実用レベルだ。
チャックはどちらも一重。ストラップ付きのケースのようにアウトドアでの使用を想定していないせいか、折り返しやベルクロでの厳重なチャックにはなっていない。使う前にはしっかり閉じていることを確認しよう。
100均ショップで縦横両方のスタンド型ケースを購入できる点はうれしい。ただし今回は1つで縦横両方で立てられるケースは見つけられなかった。動画を見るときにiPhoneを横向きで立てられる横置き可能なダイソーの「立てて見れる防水ソフトケース」がおすすめだ。
薄手のケースならば操作が簡単
簡易防水ケースに入れたiPhoneで文字を入力したり、細かい操作をしたりするには、厚手の塩化ビニル製ケースでは簡単にできない。
だが、薄手の素材のケースなら楽に操作が可能だ。素材はポリエチレンで薄いものの、ジップロックに代表される食品用ファスナー付きビニール袋よりも丈夫で、iPhone 7のホームボタンも直接操作できる。ちなみに水の中では、液晶画面もホームボタンも反応しない。
入浴中に手に持ってチャットするようなときには、これらの簡易防水ケースが使いやすいだろう。
内側のサイズ:100mm×160mm(厚さの表記なし)
チャック:二重チャック
備考:iPhone 7のホームボタンも操作できる
内側のサイズ:68mm×130mm×8mm
チャック:一重チャック
備考:iPhone 7のホームボタンも操作できる
薄手の簡易防水ケースは、今回、ダイソーでしか見つけられなかった。「簡易防水ソフトケース大きめサイズ」は、PlusサイズのiPhoneも収納できる。チャックも二重で安心感がある。
「簡易防水ソフトケース」は、iPhone 7がギリギリ入ったが、表記サイズでは高さが足りないことになっている。厚手のケースに入れているとチャックが閉まらないだろう。またチャックは一重なので、閉じたとしても内側から開く可能性もあり危険だ。この製品は画面の小さいiPhone SE向きの製品だ。
Plusサイズ以外の、4.7インチiPhoneでも「簡易防水ソフトケース大きめサイズ」をおすすめしたい。
iPhone 7はホームボタンが使えない……どうする?
今回検証したように、100均ショップで売られている簡易防水ケースの多くは、中に入れたiPhone 7のホームボタンが操作できなくなる。ただしそれでケース選択の幅が狭くなるのは惜しい。特にスタンド付きのケースは、浴室で動画を楽しむにはいいため、他の方法を考えてみた。
そこで思いついたのは、AssistiveTouch機能を使う方法だ。画面に表示される仮想的なボタンで、ホームボタンを代用できる。さらにiPhone 7なら画面を強く押す3D Touchと組み合わせられるので、AssistiveTouch機能も少し便利になる。
AssistiveTouchをオンにするには「設定」→「一般」→「アクセシビリティ」→「AssistiveTouch」とタップし、表示された画面で「AssistiveTouch」をオンにする。画面に表示された仮想ボタンをタップし、画面に表示された「ホーム」のアイコンをタップすると、ホームボタンと同じ動作になる。
さらに「最上位のメニューをカスタマイズ」をタップして表示された画面で「3D Touchのアクション」をタップし「ホーム」を選択しておこう。仮想ボタンを強く押すだけで、ホームボタンを押したことになるので一手間減る。iPhone 7は3D Touch対応なのでおすすめだ。
もしケースに入れたままで画面がロックしてしまったら、スリープ/スリープ解除ボタンを押して画面をオンにしよう。仮想ボタンが表示されるので再び操作できるようになる。
iPhone 7シリーズは、iPhone初となる耐水機能が搭載されている。本体だけでも一瞬水に浸るぐらいなら問題ないとされているが、100均ショップの簡易防水ケースに入れておけば、さらに安心だ。
本体を頻繁に操作するなら、ダイソーの「簡易防水ソフトケース大きめサイズ」がおすすめだ。動画を楽しむなら、ダイソーの横置きできる「立てて見れる防水ソフトケース」がよいだろう。
(ライター 伊藤朝輝)
[日経トレンディネット 2017年4月4日付の記事を再構成]
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