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4Kテレビ放送 18年開始も難問山積み、本当に必要?

西田宗千佳のデジタル未来図

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NIKKEI STYLE

4Kテレビが売れている。電子情報技術産業協会(JEITA)の調べによれば、2017年2月現在、日本の薄型テレビ出荷金額のうち61.4%を占めるほどになった。テレビ全体は前年比で大きく伸びている状況にないが、大型テレビのうち4Kテレビが占める割合は増え続けており、「リビング向けの大型テレビといえば4Kテレビ」を指すようになるのは、そう遠いことではないだろう。

一方で、現在の4Kテレビには欠けている要素もある。「4K放送」だ。過去のテレビの新技術は放送の変化が主導してきたが、4Kテレビは本格的な放送がスタートしていない段階から普及が始まっている。ネット配信やゲームなど、放送以外の使い道があるので売れているのだろうが、やはり「放送」が気になる人は多いはずだ。

今回は改めて、「4Kの放送」がどうなっているか、まとめてみたい。最初に結論からいえば、「混迷しており、まだちょっと先」だ。

「スカパー!4K」と2018年末開始の「BS・CS4K」

現在、4K放送としては2つの系統がある。どちらも衛星放送を使う。地上波での4K以上の放送は予定されていない。すなわちあくまで「付加価値サービス」であり、既存の放送に置き換えではない。

衛星での配信の他、それをケーブルテレビや光回線で再配信することも想定されている。実際すでにケーブルテレビなどで4K放送を受信できる。従来の衛星放送と同じ考え方だ。詳しくは後述するが、今後は衛星放送を直接受信するより、そういったサービスの活用が広がるだろう。だが、ここからは、話をわかりやすくするため、衛星放送の受信を中心に解説する。

まずは、すでにスカパー!で運用されている「スカパー!4K」がある。同社が使っている東経124度/128度通信衛星(CS)で放送されている。現在はスポーツやバラエティーを含む総合編成の「スカパー! 4K 総合」と映画専門の「スカパー! 4K 映画」の2チャンネル展開。「総合」は124/128度CS放送である「スカパー!プレミアムサービス」で、基本料金(月額421円)+1チャンネル以上の契約者であれば無料で視聴できる。「映画」は、1本単位でのペイ・パー・ビュー方式で、1作品あたり500~700円で視聴する。

視聴には衛星アンテナの他、専用チューナーが必要になる。ソニーシャープが外付けの専用チューナーを販売しているほか、「4K放送対応スカパー!プレミアム対応チューナー」内蔵のテレビであれば、アンテナをつなぐだけで視聴できる。ただし、チューナー内蔵製品は、ソニーや東芝などの一部製品に限られている。

もうひとつが、18年12月1日以降にスタートが予定されている、放送衛星(BS)と110度CSを使った4K/8K放送だ。より大規模なもので、こちらが「本命」といっていい。17年4月1日から試験放送が始まったところだ。ただし、この試験放送は本当に「試験」なので、一般の消費者の手持ちの機器では視聴できない。

BSと110度CSは、これまでも使われており、聞いたことがある人が多いだろう。しかし少々分かりづらいのだが、BS・110度CSでの4K・8K放送については、現在のアンテナは使えない。衛星は同じだが、伝送方式が異なるからだ。

現在のBS・110度CS放送では「右旋円偏波(通称・右旋)」という方式が使われている。この方式での伝送帯域はすでに多くの領域を使っており、4K・8K向けに新たな放送を追加できない。そこで、今とは逆の「左旋円偏波(通称・左旋)」という方式を使うことで、同じ帯域の中に従来の方法と4K・8K放送の両方を集約する。だから、4K・8K放送をすべて受信するには。左旋に対応したアンテナが必要になるのだ。4月1日から始まったのはこの「左旋」での放送のテストである。

BSではNHKと民放系各社、WOWOWに加え、ショッピング系のQVCとショップチャンネルが放送を行う。110度CSは、スカパー!が使う。このうちNHKのみが8Kでの放送を予定している。現在有料で放送しているチャンネルは有料で、無料のチャンネルは無料での放送になる。

ちなみに、放送というと「全局一斉開始」が多かったが、今回は違う。ほとんどの局が18年12月1日から開局であるのに対し、BS日テレが1年後の19年12月1日に、WOWOWが2年後の20年12月1日に放送を開始する。

集合住宅や録画など懸念事項山積

少々分かりづらいが、要は「すでに始まっているスカパー!・プレミアム系」と、「18年以降にスタートするBS・CS系」がある、と思えばいい。

どちらにしろ、4K放送の受信には「専用チューナー」と「アンテナ」の準備が必要である。18年以降のサービスについてはまだ詳細が決まっていないため、現在販売されている4Kテレビでは受信できない。後日販売になるチューナーが必要になる。当然、18年の放送スタート時期が近づけば対応チューナー内蔵テレビも出てくるとは思うが、まだまだ先の話である。

一番頭が痛いのは「左旋」対応の問題だ。チューナーだけでなくアンテナの置き換えも必要になるからだ。アンテナについては、スカパー!が17年春以降に販売するアンテナをBS・CSともに右旋・左旋両対応に変えていく方針を示しており、比較的安価に手に入るようになりそうだ。マンションなどの集合住宅ではより問題は深刻だ。共用設備の取り替えになるし、中には配線などを見直す必要が出てくる場合もある。そうした部分の対策と周知はまだまだこれからだ。

規格面でいえば、「録画」の扱いもまだ決まっていない。一部の放送局は、4K以上では、番組を選び、特定番組の録画を禁止する技術を導入する意向を持っている。この意見には批判も多く、動向がまだ見えない。現在以上に録画に強い制限がかかると、テレビ視聴そのものにブレーキがかかる可能性が出てくる。

放送一辺倒でなく「価値にあったインフラ選択」を求む

率直にいって、4K放送は難題が多い。ここまでの難題をクリアしてまで「放送」の受信にこだわる人がどのくらいいるのか、と感じる部分もある。20年に向けて、放送業界は4K/8K放送を推すだろうが、行く末はそう明るいものではない。各種課題をできるだけ速やかにクリアし、消費者に分かりやすいものにする必要がある。

特に、アンテナ整備の面については深刻だ。すでに述べたように、衛星放送はケーブルテレビや光回線での再配信も利用できる。インフラの状況によってはこちらへ変更した方が楽な場合もある。そうした選択肢も含め、様々な方法で視聴する手段を検討できるよう、周知と準備を進める必要がある。

4K放送は、本来、単に映像の解像度が上がる以上の価値をもっている。現在赤・青・緑各色8ビットで表現されている色を各色10ビットにすることで色域をあげ、HDRを採用することでダイナミックレンジをあげることで、映像の表現力は劇的に増す。描画コマ数を毎秒30コマから120コマに上げることで、スポーツなどではよりなめらかな動きを再現できる。データ放送などもよりリッチなものにできる。8K解像度であれば、今までよりも精細なだけでなく、立体感も得られるようになる。

とはいえ、こうした「質的な向上」は、すべての人が求めるものではない。特に8Kについては85型以上で見るのが最適、とされており、一般家庭に入れる意味があるのか、はなはだ疑問である。

こうした技術を使い、ネット配信などとも歩調を合わせ、「必要な人に必要な価値を届ける」ことが、今必要とされている技術ではないだろうか。

海外においては、4Kは放送よりもネット配信先行で進んでいる。HDRの導入も同様だ。それは、「高画質を求める人は、高速なネット回線と高品質のテレビをもっている人であり、付加価値を求める人に、速やかに付加価値を提供する」という合理的な判断が存在するからである。

放送には、国民全員が同時に見てもインフラに負担がかからない、という「同時性」の良さがある。一方ネット配信には、付加価値を求める人に付加価値を素早く届けられる、という良さがある。その両者をうまく使い、国民に大きな負担をかけることなく展開してほしいと思う。今のままだと、「あまり使われないサービスに大きなコストを投入する」形になりかねない。

西田宗千佳
 フリージャーナリスト。1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。

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