指1本で取り回せて軽快 ワザありキャリーケース3選
特集 機能で選ぶ最新キャリーケース 中編
旅行や出張に活躍するキャリーケース。大容量かつ移動がスムーズに行えるため人気が高く、近年、注目度は増すばかり。現在は収納力だけでなく、+α機能を備えたモデルが数多く展開されており、シーンに合わせて使い分けることで快適性が大幅にアップする。そこで今回は、ワザあり機能を持つ海外旅行向けのキャリーケースにフォーカスした。
シチュエーションに合わせた機能をプラス
海外旅行に出かける際は、ハードタイプのキャリーケースを用いるのが定番。そして数年前までは、キャリーケースのトレンドとして軽さに注目が集まっていたが、最近はシチュエーションに合わせた+α機能が重視されるようになっているという。バッグ業界大手のエースの広報・PR担当、山田絢音氏に話を聞いた。
「弊社では2010年に、エスカレーターからの落下事故増加を受けて、ハードタイプでは業界初となるキャスターストッパー搭載モデルを発売しました。以降、キャリーケースの機能面は飛躍的な進化を遂げており、ユーザーのニーズに合わせたさまざまな機能が搭載されるようになりました」
ここ数年のエースの新製品は、ほとんどの商品になんらかの+α機能を搭載し、人気を博しているそうだ。例えば、2015年に発売された縦横4方向に開けられるキャリーケース「プロテカ 360」は、シリーズ累計3万台を突破。ロングランで2万個売れればヒット商品といわれるキャリーケースにおいて、これは記録的な数字だ。
「+αの機能が生まれる背景としては、社会的な問題解決と、旅行スタイルの多様化が一気に進んだことが理由に挙げられます。消費者のなかでもそれぞれキャリーケースに対して求める機能や、重要視する機能が明確化してきたため、より+αの機能に注目が集まってきたと思われます」(山田氏)
現在のキャリーケースのトレンドは、"かゆいところに手が届く"タイプのようだ。そんなワザあり機能を持つキャリーケースのなかでも、特に海外旅行で活躍する注目作を3つ紹介する。いずれもTSAロックを備えているので米国への渡航も安心。あとは自分の"かゆいところ"を振り返り、必要な+α機能を持つモデルを選んでほしい。
プロテカ/360度オープン構造により狭い室内でも開閉可能
エースが手がけるラゲージブランドのひとつ、プロテカから今年2月に発売した注目キャリーケース。先述した、縦横4方向に開く同社の大ヒット商品「360」の後継モデルとなる。
最大の特徴は、なんといって世界初構造となる縦にも横にも開く"360度オープンスタイル"。上下左右どの方向からも開けられるため、狭い室内でもスペースに応じて展開できる。重たいキャリーケースを床に置き、いざ開けようとしたら逆向きだったという経験は誰しもあるはず。そんなとき再度ケースを持ち上げる手間がないのだ。また、海外旅行で思っていたよりホテルが狭かった場合やユースホステル利用時、国内出張のビジネスホテル宿泊時などにおいても、縦開きができるためベッドサイドのスペースで荷物を取り出せる。
この360度オープン構造を可能にしているのが"片面集約内装構造"だ。ケースの片面に荷物をまとめて収納し、もう一方でフタをするという画期的なスタイルを採用。縦横4方向からの開閉を実現すると同時に、デッドスペースを少なくでき、従来の内装構造よりマチ幅のある荷物の収納も可能にした。
さらに本モデルには新型サイレントキャスターを搭載。キャスターの回転を補助する高耐久性クロム鋼ベアリングをキャスターのホイール部に搭載することで、静音性に加えて取り回しの軽さを向上し、移動の快適さをさらに追求している。
「旅行に慣れた方はもちろん、幅広い年代の方に支持されております。特にこちらの360sシリーズは、女性のお客様が比較的多いシリーズです」(山田氏)
サムソナイト/軽さと耐衝撃性を極めた売り上げNo.1商品
100年以上の歴史を持ち、トラベルアイテムをけん引してきたサムソナイト。同ブランドを代表するキャリーケースが「コスモライト」にほかならない。本モデルは多くの人がキャリーケースに求める機能、軽さと耐久性をとことん追求している。
移動のしやすさだけでなく、年々厳しさを増す航空各社の荷物制限をクリアするためにも、軽さは欠かせないファクター。そのため設計や素材の選定段階から極限まで軽さにこだわって開発し、4~7泊程度の旅行に対応する68リットルの大容量ながら、指1本で持ち上げられるわずか2.3kgという超軽量を実現した。
この軽さに加え、耐衝撃性にも注目したい。ボディーに採用しているのは特許技術で作られた革新的な素材"Curv(カーヴ)"。ポリプロピレンシートが幾重にも重ねられた構造を持ち、日常環境下はもちろん極度の低温下においても衝撃やゆがみといった圧力に対して優れた耐性を発揮するという。例えばケースの上をトラックで走行しても、ケースは一度はぺちゃんこに潰れるものの、ほぼもとの状態に復元するそうだ。
また、貝殻(シェル)の強さに発想を得て開発されたという、丸みを帯びた独特のフォルムも魅力。表面の凹凸リブ構造は、剛性をさらに高めるとともに、摩擦を受ける面積を最小限に抑えた独自のデザインとなっている。このほかホイールやモノバーハンドルなど、細部のパーツにも軽量性と使いやすさを追求した設計も特徴だ。
「コスモライトは、数ある弊社製品のなかで常に売り上げNo.1を誇る代表的商品です。本当に優れたスーツケースをお求めの方が、比較検討のうえ選ばれています」(サムソナイト・ジャパン マーケティング部ディレクター 杉山知樹氏)
フライトワン/ホテルや空港で役立つ+α機能を搭載
2013年に日本に上陸した、米ニューヨーク発のトラベルコンセプトストア「フライトワン」。同店が手がけるオリジナルスーツケースは、使いやすい機能性とレトロモダンなデザインが魅力だ。
特に海外旅行で便利なのが、取り外し可能な内装の仕切り。ケース内装は片側がメッシュ、もう一方が取り外しできるオーガナイザーとなっており、この背面にはハンガーフックが付いているため、ポケットに小物を収納したまま取り出してクローゼットに掛けておけるのだ。洗顔や歯ブラシなどのグルーミングアイテムを入れておけば、仕切りをそのままバスルームに掛けるだけでセット完了。海外のホテルはアメニティが用意されていない場合が多いので、この機能はかなり実用性が高い。
また、ケースに荷物を置けるように、外装の上面をフラットに設計してあるのもポイント。ここには丸いくぼみがあり、簡易ドリンクホルダーとして使用することも可能。空港での待ち時間でコーヒーを飲む際に、椅子はあっても机がないという旅行にありがちなシチュエーションを解決してくれる。
まさに"かゆいところに手が届く"機能を持つ本モデルは、旅行好きの男女から支持されているという。
「年齢問わず、購入される方は旅行がお好きな方が多いです。旅行の荷物やパッキングに対して、それぞれこだわりやルールをお持ちのお客様も多く、機能的なアイテムを好まれる方から人気が高い傾向にあります。フライトワンは機能的かつデザイン性も高いという点からご支持をいただいております」(フライトワン 広報・PR担当 山田絢音氏)
前編 出張族2つ目の選択 「前開きPC収納」小型キャリー
中編 指1本で取り回せて軽快 ワザありキャリーケース3選
後編 売れ続けるポーター 防水&タフ車輪のソフトキャリー
(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT)
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