コクヨ展示会 文房具の名作や野心作が満載
コクヨといえば、「キャンパスノート」や立てられるペンケース「ネオクリッツ」、テープのり「ドットライナー」、消しゴム「カドケシ」など、たくさんのヒット商品がある文房具・事務用品の大手メーカーだ。周りを見れば、1つや2つはコクヨ製品が見つかるだろう。
そんなコクヨのさまざまな名作や野心作をその場で試せ、購入もできる「コクヨハク」が、2017年3月31日から4月2日までの3日間開催された。
まず今回は、長年、コクヨのスクラップブック「ラ-40N」を愛用している、イラストレーターやライターとして活躍するみうらじゅん氏に、その長年の愛用に対する感謝を込めて、「金のスクラップブック」が贈呈された。その金のスクラップブックと、みうらじゅん氏のスクラップの一部が展示されていたのは今回の目玉のひとつだ。
「コクヨデザインアワード」2015年の入賞作が製品化!
「add SPICE to the day(日々にスパイスを)」をテーマとした今回のコクヨハクでは、使うことで生活にちょっとしたスパイスを感じさせてくれるものがそろった。なかでも注目したいのが、毎年行われる「コクヨデザインアワード」の2015年の入賞作から、製品化が決まった3製品。今回初お目見えし、限定販売されたこれらの製品は、どれも使うこと自体が日々を楽しくするスパイスになるような製品たちだ。
まずは、数字が1本の糸でつづられているカレンダー「儚く、美しく」(税込み4860円)。1日が終わると、糸を引っ張る。すると数字がはらりとほどけてなくなってしまう。そうやって1カ月が終わると、白い紙になる。そのはかなさに過ぎていくときを感じるカレンダーなのだ。
超アナログ版日めくりカレンダーとでもいうのか、数字自体が解体され消えていく姿は、確かに何かを感じさせてくれる。製品としてもよく量産に踏み切ったなと思わせる、冒険的でカッコいい製品だ。
続いて、「エンボスノート」(税込み2160円)。表紙のロゴから中の罫線まで、印刷ではなく全てがエンボスだけで作られているB5スリムサイズのノート。一見、ただの白い紙がとじられただけのノートだが、書こうとすると罫線が見える。丁寧に書く人には、その丁寧さがそのまま伝わるように仕上がり、自由に書きたい人には邪魔するものがない。どんな人にも対応するノートだ。活版印刷の手法で、箔押しを箔なしで刷るような工程で作られている。厚手の紙の質感も気持ちいい。
「泡の定規」(税込み3024円)も商品化。受賞作品名は「bubble Ruler」。文字通り、目盛りが泡で表現された定規だ。透明の樹脂の中の気泡が目盛りになっているのだが、直線で作られた定規の中に、イレギュラーのように泡が並んでいる姿は、道具と自然が一体化したようにも、デジタルとアナログの間で生きる私たちそのもののようにも見える。
これら3つの製品は、全て50個限定、1人2個までの販売。もちろん、イベント終了後の発売も決定していて、パッケージなども実際に発売されるものと同じということだった。今までにない種類の製品だけに、いち早く使ってみたいというユーザーは多そうだ。
もう一つ、2013年の「コクヨデザインアワード」優秀賞受賞作のプラスチック製座布団「Stoop JAXA バージョン」(税込み3500円)も60個限定で発売された(こちらも1人2個まで)。2013年受賞の、どこでも使えるプラスチック製座布団「Stoop」にイプシロントートバッグを付けたJAXA限定版だ。椅子に置くにも床に置くにも適したアドレスフリーの座布団と、それを持ち歩けるイプシロンのロゴ入りトートのセット。魅力的である。
地方工場発の個性派も勢ぞろい
コクヨハクといえば、キャンパスノートなどを作っているコクヨ工業滋賀の「びわこ文具」の販売も人気コーナーの一つ。今年も、琵琶湖が描ける「びわこテンプレート」(400円)や、滋賀の道路の人気キャラクター、飛び出し坊やの「とび太くん」文具各種、甲賀の「忍者ふせん」(350円)などの、滋賀か通販でしか買えないアイテムがそろう。今回は、新作、「ReEDEN わけわけカラーズ &B5」(税込み540円)も100セット限定で販売された。B5サイズのノートと、それを5分割して色分けしたノートのセットだ。
地方の工場からは、もう一つ、今年は鳥取県のファイル工場であるコクヨMVPのブースも登場。本来、1色の台紙をとじたスクラップブックの中紙を7色にした「レインボースクラップブック」をB6とA4各50冊×表紙7色を限定販売した。みうらじゅん氏愛用のスクラップブックもこの鳥取工場の製作だ。
ほかにも、美術館のショーケースのようなパッケージに入った「プレミアムパッケージ透明クレヨン」(税込み1944円)を150個限定で販売(1人2個まで)。また、レギュラーアイテムなのに扱っている店舗が少ないのか、その全貌がつかみにくい、部屋や仕事場の整理分類ツールのシリーズ「TOTONOE」もズラリとそろった。お薦めは、情報カードなどを差してメモするのに便利な「Carry Board 5×3」(702円)だ。
JAXA許諾の巨大キャンパスノート
限定販売では、JAXA商品化許諾品の「2連Campusノート<イプシロン・バージョン>」(税込み500円)、「3連Campusノート<H2A・バージョン>」(税込み1000円)も登場した。キャンパスノートを縦に、2連、3連とつないだ長いノートは、ロケットや筆記具、ギターなどをスケッチするのにも使えるし、ページをめくらずに参照する、例えば楽譜や朗読用にも便利。お土産品に適した製品だが、案外実用的でもあるのだ。2連は300冊、3連は150冊の限定販売(どちらも1人2冊ずつ)。もちろん、このノートの製造もコクヨ工業滋賀だ。
また、テープのり「ドットライナー」の表面に貼ってカスタマイズするためのスキンシールをドットライナー1個購入につき1つプレゼントとか、立てられるペンケース「ネオクリッツ」に付けてカスタマイズするための缶バッジをネオクリッツ1個購入につき1個プレゼントとか、リングノートなのにリングが邪魔にならない「ソフトリングノート」1個購入に付きソフトリングノートを留めるゴムバンドを1個プレゼント、といった具合に、文具のカスタマイズツールのプレゼントが各所に用意されていた。
そのほか、会場には、「コクヨって、こんなものを出していたのか?」と感心し、眺めるだけでも楽しい製品がずらりと並んでいた。
(文・写真 納富廉邦)
[日経トレンディネット 2017年4月6日付の記事を再構成]
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