MONO TRENDY

私のモノ語り

高橋優とICレコーダー 録音するのは歌ではなく?

2017/4/21

 『ロードムービー』の歌詞にも込めましたが、僕はゴール地点よりもその過程に価値を見出すのが好きなんです。ロードムービーというジャンルの映画は、目的地に向かって旅をする、その途中での出会いや困難に立ち向かう姿に大半を費やすと思うんですよ。僕にとってツアーはまさにそうです。ライブ会場でファンのみんなと会える時間は最高だけど、それはわずか数時間の出来事。それ以外はお客さんと全く繋がってないと考えたらすごく寂しいですよね。会場に向かう新幹線で過ごす時間やわくわくドキドキする思い、会うための準備や頑張りもすべて、僕にはかけがえのない時間なんです。

■iPad Proは肌身離せぬ道具

 自らアナログ人間だという高橋優さんだが、デジタルグッズにも愛用品がある。iPad Proだ。いまや肌身離せぬ道具になったというiPad Proの使い方は?

◇ ◇ ◇

 浮かんでは消えていく日々の様々な思いを、すかさずiPad Proにメモしています。どちらかといえばアナログ人間だと思うんですが、昨年末に発売されたものは、そんな僕さえ便利だなと思う機能が満載。もともとiPadやiPhoneの録音機能を使ってデモ音源を取っていましたが、このiPad Pro(9.7インチ)は専用のペンやキーボードも付けられるようになり、それがすごく便利なんです。

アナログ人間だというが、iPad Proはフル活用している

 『ロードムービー』の歌詞は新幹線で移動中に、このiPad Proを使って書きました。言葉に詰まったら、気晴らしにペンで絵を描くこともあります。歌詞のイメージ図みたいなものを描いたり、急に自分の左手をデッサンしたり。するとそれまで使っていた脳と違う部分が活性化されるみたいで、作詞にいい影響があるなと感じます。

 移動中によくiPad Proで映画を見るんですが、そこから歌詞が不意に浮かんだりもします。その時は映画の画面を縮小し、スワイプしてメモの画面をさっと出す。メモした言葉は極力消しません。後になってスクロールして見返したりすることもありますからね。以前はメモ帳を持ち歩いていたので、後から探すのに一苦労。紙も使わなくなりちょっとエコにも貢献できているかなと。

 iPadを買うときも、周りのスタッフにいろいろ聞きました。「ペンが便利だよ」とか「大きく(12.9インチ)なくても十分使える」とか。あくまで僕個人の考えですが、ネットの情報はあまり当てにしないし、気にもしません。ネットの情報を盲信するんじゃなく、あくまでも一つの指標です。有名グルメサイトで2.8点だとしても、自分が好きな店なら通い続けますし、友達が「あの店のしょうゆラーメンは絶品なんだよ、他はまずいけど」ってうれしそうに話す言葉を信じるし、食べてみたいなと思う。映画は大好きなのでなおさらです。どんなに高評価であろうと、事前に知ってしまうと僕の中である種の偏見が生まれてしまうので見ないようにしています。

 映画って、1800円払って好き放題言えるのが楽しかったりするんですよね。「映画は良かったけどエンディングのテーマ曲がイマイチだったな」とか(笑)。僕自身がそうだから、映画の主題歌を手掛けたときは気が気じゃありません。4回くらいは見に行くんじゃないかな。最初の2回くらいは、お客さんの反応が気になってふわふわして本編をまともに見られない。4回目くらいになってやっと、「ああ、こういう映画だったのか」って地に足つけて見られるんじゃないかと思います。

人なつっこい笑顔も印象的だった

高橋優
 1983年12月26日生まれ、秋田県横手市出身。札幌の大学へ進学すると同時に、路上で弾き語りを始める。2010年にデビュー。2016年には地元の秋田県横手市で初の音楽フェスを主催。2017年は横浜アリーナ2DAYSを含む全国ツアーを開催した。2017年夏には『熱闘甲子園』の番組テーマソングを手がけることも決まった。

(文 橘川有子、写真 藤本和史)

MONO TRENDY新着記事