アトピー性皮膚炎で注目 「予防的治療」とは
この記事では、今知っておきたい健康や医療のネタをQ&A形式で紹介します。ぜひ、今日からのセルフケアにお役立てください。
(1)アクティブ療法
(2)パッシブ療法
(3)プロアクティブ療法
(4)リアクティブ療法
正解は、(3)プロアクティブ療法 です。
ステロイドの塗り薬(ステロイド外用薬)は、アトピー性皮膚炎の治療における基本薬となっています。薬理作用の強さによって5つのランクに分けられ、最も効果が強い1群と最も効果の弱い5群では、400~500倍ぐらい強さが違いますので、症状の強さや症状が出ている場所によって使い分けます。
皮膚の薄い顔面は体よりもステロイドの吸収率が高く、強い外用薬を連続して大量に使用すると、血管が拡張したり、にきびが出やすくなったり、毛が濃くなったり、皮膚が薄くなったりすることもあります。そのため、顔面にはランクの低い、弱いステロイド外用薬が処方されます。
アトピー性皮膚炎が重症の場合は、まず強いステロイド外用薬を短期間使って徐々に薬効ランクを落としたり、ステロイド外用薬の使用量を症状の改善に伴って減らす、漸減法により治療を進めていきます。「まずは最優先でかゆみや症状を抑えますが、症状が安定すると皮膚本来のバリア機能が回復してきますので、その段階でステロイド剤の使用を止めるように指導します。副作用が出るまで、漫然と使い続けるわけではありません」と、アトピー性皮膚炎の治療に詳しい東邦大学医療センター大橋病院皮膚科教授の向井秀樹氏は話します。
最近は、ステロイド外用薬を使って症状が治まった人では、そこでステロイドを完全に止めてしまわずに「予防的治療」を続けることで、症状の再発や急激な悪化を抑えられることが分かってきました。そのため、皮膚症状が改善しても、週2回定期的にステロイド外用薬を塗る治療法が推奨されていて、「プロアクティブ療法」と呼ばれています。プロアクティブとは、症状が出る前から予防的に治療を行うという意味。これに対し、症状が出た時に治療を行う方法は「リアクティブ療法」と呼ばれています。
(日経Gooday編集部)
[日経Gooday 2017年3月27日付記事を再構成]
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