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消耗品から「高級実用品」へ ボールペン、進化の秘密

2017/4/22

水性インクやゲルインクを使った高価格帯ボールペンが人気になっている

 新しいシーズンがスタートする4月は、仕事道具を見直す絶好のタイミング。現在、仕事でどんな筆記具を使っているだろうか。書きやすさを重視して、プラスチック軸のボールペンを利用している人も多いのではないか。実は最近、これらの書きやすいインクを使いながら、金属製のボディーを持った高価格帯のボールペンが人気になっている。コンビニエンスストアで100円台で買えるイメージがあるボールペンが、なぜ高級品に進化したのか。長年、文房具をウオッチしてきた納富廉邦氏が解説する。

■実用品ではなかった高級ボールペン

 日本で「高級筆記具」というと、長い間、それは万年筆を指す言葉だった。

 もちろん、ボールペンにしろシャープペンシルにしろ、100円から500円のものばかりではなく、数千円から数万円のものもあったのだが、その多くは贈答用の製品であり、あまり実用品とは捉えられていなかった。

 その理由の一つは、ボールペンやシャープペンシルは消耗品だと考えられていたこと。また、ボールペンやシャープペンシルの高価なモデルは万年筆との組み合わせ用製品だと思われていたこともあげられる。

 もちろん、モンブランやクロス、カランダッシュ、フィッシャーなどの海外筆記具メーカーのボールペンは、数万円のものも実用品として使われていた。だが、かつて万年筆が日本に初めて登場した頃、粗悪な国産コピー製品が出回った時期があり、その記憶が根強く残っていた筆記具市場では、海外製に比べ国産の筆記具は安いが性能は劣るというイメージが長く残っていた。それもあり贈答品としても海外製のボールペンの方が売れていたのだ。

■リーマン・ショックで会社から支給がなくなり……

 ところが、1990年代あたりから、国産のボールペンは大きな進化を遂げる。信じられないかもしれないが、それ以前のボールペンは試し書きしてみないとインクが出ない危険があるほど品質が安定していなかったのだが、この頃から全体の品質が向上していった。さらにゲルインクのボールペンの発売で、カラフルな色のインクが流行。パイロットの「ドクターグリップ」のような、「握りごこち」「疲れにくい」といった部分でのアピールをする製品も登場したのもこの時期だ。

 21世紀に入っても国産ボールペンは進化し続ける。2006年には、油性ボールペンなのにスラスラ書ける低粘度油性インクを搭載した三菱鉛筆の「ジェットストリーム」が登場。翌年、パイロットが消せるボールペン「フリクションボール」を発売した。

 そしてその直後に、リーマン・ショックが起こる。

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