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ホテルや百貨店も参入 イースターは春の街を変えるか

2017/4/13

(PIXTA)

 日本でも徐々に認知度が高まりつつあるイースター(復活祭)。これまで菓子業界を中心に展開されてきた印象が強かったが、2017年は幅広い分野に広がりつつある。

■「ハッピー・イースター!!」と言えば限定メニューが半額になる店も

 日本でイースターは、ホワイトデーに変わる存在として、そして桜の形を模した菓子が多い4月に盛り上がる新しいイベントとして、菓子業界を中心に展開してきた。(参考記事「増えるイースター商品 新年度に合わせ日本独自展開も」

 しかし、2017年はアプローチが多様化してきている。

 大手スーパーのイオンは、「Let's Start EASTER Party!」と銘打ち、キャラクターにきゃりーぱみゅぱみゅを起用。テレビCMをはじめとした大々的なキャンペーンを行っている。新宿ミロードもエッグスタンプを集めると抽選に参加できる「HAPPY EASTER 2017」を4月9日まで開催した。

イオンでは全国のイオンモール、イオン、イオンスタイルなど約1300店舗でイースターを楽しむためのプロモーションを実施中

 特別メニューを用意したレストランやホテルも増えている。ザ・プリンス パークタワー東京では「エッグハント」をテーマにスイーツやパーティープランなど商品のあらゆる箇所に「卵」をちりばめるイベントを企画。4月30日まで実施している。

 「ハッピー・イースター!!」とお店で言うと限定メニューが半額になるなどのキャンペーンを実施しているのが表参道と舞浜に国内店舗があるハワイ発の「カフェ・カイラ」(4月16日まで)。

 アメリカ発祥のバーベキューレストラン「トニーローマ」では、国内8店舗で4月16日までの間、イースタースペシャルデザート「ブラウニー&マシュマロ ロリポップス」を提供している。

「カフェ・カイラ」ではイースター限定メニューに限り「ハッピー・イースター!!」というと半額になるなどのキャンペーンを4月16日まで実施。写真上は表参道店限定「ショコラベリーのパンケーキプディング」(2100円)。写真下はトニーローマの「ブラウニー&マシュマロ ロリポップス」(750円・税別)

■イースターの季節、街のショコラティエには一年で最も大きな菓子が並ぶ

 イースターはキリストが復活する「復活祭」。春分の日の後の満月から数えて最初の日曜日と定められており、毎年日付が変わる「移動祝祭日」だ。今年のイースターは4月16日だが、昨年は3月27日だった(日付は宗派によって異なる場合もある)。

 「イースターの1週間前には街全体がキリストの復活を祝う雰囲気に変わる」と教えてくれたのは、駐日フランス大使館にシェフとして勤務するセバスチャン・マルタンさん。フランスのチョコレートメーカー、ヴァローナ社が開催する「ショコラdeイースター」の事前説明会でのことだ。

 「ショコラdeイースター」は日本でイースター文化を広めようと2016年から開催している体験型のイベント。イベント会場内では46人のショコラティエが思い思いのピエスモンテ(チョコレートやあめなどで作られた大型の作品)の展示や、イースターのギフトメイキングの講習会などが開催される。

 説明会には、マルタンさんのほかに、パリでパティシエとして活躍した経験を持つ、「パティスリーレザネフォール」(東京・恵比寿)の菊地賢一シェフ、「アン ヴデッド」(東京・清澄白河)の森大祐シェフが登場した。

写真左から駐日フランス大使館のマルタンさん、アンヴデッド 森さん、レザネフォール 菊地さん

 「休みの日に街へ出たとき、ショコラティエに卵やウサギのモチーフのチョコレートがたくさん並んでいるのを見て感激した」と菊地さん。一方、森さんはイースターのお菓子の大きさに驚いたという。「イースターは一年のうちで、最も大きな菓子が並ぶ時期。街のパティスリーに卵のピエスモンテが並ぶ様は感動的です」

 その光景を再現すべく、2017年の「ショコラdeイースター」では高さ14cmのイースターエッグ型を使って46人のパティシエたちが各自創意工夫を凝らし作り上げたピエスモンテが展示された。

マルタンさんによるピエスモンテ。卵の高さは14cm。その大きさがイメージできるだろうか

左が菊地さんの作品。かわいらしいキャラクターが印象的。右は森さんのピエスモンテ。卵をベースにつかい、そこから割って成長していく樹を表現

イベントでは、46人のシェフによるさまざまなピエスモンテが展示されたが、どれも写真右下にある高さ14cmのイースターエッグ型を用いて作られた

 3人のシェフたちは「イースターの季節になると、クリスマスとはまた違った、ワクワクとした楽しさが街中にあふれる」と口をそろえる。そう考えると、モノから街中へ展開している日本のイースターの展開も納得できる。

■ハロウィーンに続き街の光景を変えるか

 イースターのイベントというとディズニーランドを思い浮かべる人も多いだろう。ディズニーランドがイースターイベントを始めたのは2010年。「クリスマス、ハロウィーンに続く定番イベント作りを目指した」(オリエンタルランド広報部)。イースターを開始する前年の第1四半期(4~6月)の売り上げは771億円だったが、現在は1000億円を超える。「弊社だけでなく、さまざまな企業がイースターに取り組みはじめ、市場全体が広がっている印象がある」という。

 今年、イースターイベントを手がけたイオンリテールの広報担当者も「新しい春の催事、社会的なイベントになるのでは」と手応えを語る。「春にみんなで集まるなど、新しい楽しみ方を提案できるかもしれない」

 日本ではバレンタインデーやハロウィーンが、独自の解釈を加えながら、広がっていった歴史があるが、イースターはどんな展開を見せるのか。

 マルタンさんによると、フランスでも伝統的な文化が失われたり伝承が正しく伝わらないという問題があるという。ただし「イースターに関しては、エッグハントという形で伝統を体験する機会がまだ残っている」。古城の持ち主がイースターの時期になると地元の人たちに庭を自由に使えるように開放するケースもあるそうだ。「日本でも、なぜウサギなのか、なぜ卵なのか、そういった歴史と一緒に広がっていくといいですね」と期待を込める。菊池さんもイースターの意味を伝えるポスターを店頭に用意した。「本来の歴史やイースターをやる意味をまず伝えていく作業が、すごく大事だと思います」

 ディズニーランドが季節のイベントとしてハロウィーンを取り入れたのは1997年。今から20年前だ。日本記念日協会(長野県佐久市)によると、2016年、ハロウィーンの市場規模はバレンタインデーを追い越したという。仮装した人たちが繁華街を埋め尽くす様子は新しい秋の風物詩になった。イースターはハロウィーンと同じように街の光景を変えるイベントに成長していくのか。

(文 北本祐子)

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