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両陛下と障害者スポーツの深い交わり 草創期から観戦

オリパラ学(12)

2017/4/13 日本経済新聞 朝刊

 天皇陛下の退位に向けた議論が進んでいる。実際の退位は来年末とも噂され、そうなれば東京五輪・パラリンピックは、新天皇となる今の皇太子さまが開会宣言をされるのだろう。それでも障害者(パラ)スポーツに関わる人々の間には、パラリンピックの開会式には現天皇皇后両陛下の臨席も望む声が根強い。それほど両陛下とパラスポーツの交わりは長く、深い。

 始まりは1964年東京パラリンピック。元侍従長の渡辺允さんによると、第1回パラリンピックの60年ローマ大会を視察した福祉研究者が、皇后さま(当時皇太子妃)に報告し、東京でも開けないかと相談したのがきっかけだ。この話が天皇陛下(同皇太子)に伝わり、両陛下はスポーツや福祉の関係者に意見を聞かれ始める。

 東京大会の名誉総裁となった陛下は、連日のように競技を観戦。大会後、陛下が「このような大会を国内でも毎年行ってもらいたい」と述べられた意を体して翌65年から始まったのが、今に続く全国障害者スポーツ大会だ。これも毎年観戦し、車いすバスケットボールの日本選手権にも足を運ばれた。「陛下は障害者スポーツのことを真剣に考えられている」と渡辺さん。

 故・三笠宮寛仁さまが障害者スキーを応援されるなど、関心はほかの皇族方にも広がった。最近でも高円宮妃久子さまが、東京で開かれた競技用スポーツ義足の学術フォーラムにお忍びで参加され、出席者を驚かせた。

 「象徴」のあり方を模索される中、パラスポーツに関わることは、一隅を照らすという大切な務めの1つだったのだろう。退位のニュースにパラスポーツ関係者が一抹の寂しさを感じたのも、うなずける。(摂待卓)

〔日本経済新聞2017年4月13日付朝刊〕

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