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外見で判断していない?世界を変えるキラキラパワー

『キューティ・ブロンド』(2001年・米国)

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NIKKEI STYLE

アラフォー世代がまだ初々しかった若手時代、たくさんの元気をもらった映画「キューティ・ブロンド」を覚えているでしょうか? 日本公開は2002年4月。第1次小泉内閣が発足して間もない頃で、SMAPの『世界に一つだけの花』が大ヒットする約1年前のことでした。

主人公は、恋とファッションとパーティー三昧の金髪(ブロンド)女子大生、エル・ウッズ(リース・ウィザースプーン)。裕福な家に育ち、社交クラブの会長を務め、明るく何事にもポジティブな彼女は、今の日本で言うなら、「イベントサークルのリーダーを務めるキラキラ系のパリピ(パーティーピープル)女子」といったところです。エルは自分を振った彼氏を追って、猛勉強の末に名門ハーバード大学のロースクールに入学。弁護士事務所の実習生にも選ばれて、ある事件の解決に奔走します。

「ブロンド」のせいで彼氏にも振られ……

アメリカにおいて金髪の女子は、大いなる先入観をもって「頭からっぽの尻軽女」に見られる傾向にあります。エルは決しておバカではなく、むしろ地頭の良い努力家ですが、金髪と派手なファッションという外見のせいでハーバードの学生からは「ブロンドとオッパイだけの女」「バービー人形」扱いされ、幾度となく悔しい思いをします。

そもそもエルが彼氏のワーナーに振られたのも、ブロンドのせいでした。上院議員を目指すワーナーの言葉がそれを象徴しています。「議員の妻は『ジャッキー』だ。『モンロー』はマズいよ」

ジャッキーとは、1963年に暗殺されたアメリカの元大統領ジョン・F・ケネディの妻、ジャクリーン・ケネディのこと。上流階級出身の才媛で、焦げ茶色の髪にスレンダーボディーの知的な女性です。一方のモンローとは、1950年代を中心に活躍した女優マリリン・モンローのこと。アメリカが誇る金髪のセックスシンボルで、ケネディの浮気相手としても名を馳せました。

そんな偏見に負けることなく、せっせと法律の勉強にいそしむエルですが、男である筆者の目から見ても彼女が最高にカッコいいと思う部分があります。それは、外野が彼女をどれだけバカにしようとも、自分の流儀やポリシーを曲げなかったことです。

エルは、プールに入ったビキニ姿の自分が映る「ビデオ論文」をハーバードの教授たちに提出して、彼らの度肝を抜きました。キャンパスでは、地味な服装の女子学生たちをよそに、ド派手な服をまとってさっそうと歩きます。授業では、他の生徒たちが全員真っ黒で地味なノートPCを使っているなか、彼女だけがキュートなオレンジ色のアップル製「iBook G3」(懐かしい!)を愛用し、浮きまくっていました。

また、これはとても大事な点ですが、彼女は多様な価値観に対してとても寛容・公平で、性善説を貫く人です。相手がおバカな金持ちギャルだろうが、地味なガリ勉女子だろうが、ダサい男子学生だろうが、男運の悪い中年女性だろうが、自分を攻撃してこない限りは、とてもフレンドリーに接します。バカにしたり、偏見の目で見たりすることは、絶対にありません。

自分の流儀やポリシーを大切にするからこそ、他人のそれも尊重する。異なる趣味や趣向について、とやかく言わない。エルは常に先入観なしで人と接しようとする、極めてオープンマインドな女子なのです。

「パリピ女子」の底力

こうして見ると、やはりエルは現代日本のパリピ女子と、外見だけでなく内面もそっくりです。実は一昨年、筆者はとある仕事で何人かのパリピ女子とじっくり話す機会があったのですが、恥ずかしながら、それまで抱いていた「遊び人のパリピ=おバカ」の偏見を見事に打ち破られました。

好奇心旺盛で、底抜けにポジティブな彼女たちは、先入観や偏見なしでフレンドリーに人とつながろうとする、徹底した性善説の持ち主でした。オープンマインドで寛容、コミュニケーション能力も総じて高い。そんな彼女たちが最も軽蔑するのは、他人の価値観にダメ出しすること。筆者は彼女たちと話していて、真っ先にエルのことを思い浮かべました。

彼女たちは都心のクラブやリゾート地の別荘などに集って騒ぎまくる遊び人ですから、世の大人たちからは眉をひそめられる存在です。他ならぬこの文章を読んでいる貴女も、冒頭の「キラキラ系のパリピ」という言葉から、「頭からっぽ」のイメージを連想しませんでしたか? もし連想したとすれば、それはエルを外見だけで判断したハーバードの学生や以前の筆者と、なんら変わりません。

15年前の我々は、エルの「金髪」や「派手なファッション」を、自分たちの「外見的特徴」や「譲れない個性」に置き換え、周囲から先入観と偏見で品定めされてしまうエルの怒りと悲しみに共感したはずです。ところが15年たった今、我々は知らず知らずのうちに、偏見を持つ側の人間になってしまってはいないでしょうか。かつてエルが感じた理不尽を、パリピとまではいかないまでも、貴女の後輩や部下が職場で感じていないとも限りません。

忘れてはいけないのは、いつの時代もエルのような存在が社会を変えていったということです。日本にハロウィーンを根づかせて一大市場を作った立役者は、数年前のパリピでしたし、今や大学近くやオフィス街のカフェで一番よく見かけるノートPCは、圧倒的にリンゴマークではありませんか。

次の週末、忘れてしまった大切なことを再確認するため、久しぶりにエルの大活躍に胸を躍らせるのも、悪くないと思います。

稲田豊史
 編集者・ライター。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年に独立。著書に『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)、『ドラがたり――のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)。構成担当書籍に『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎/原田曜平・著)など。「サイゾー」「SPA!」ほかで執筆中。

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