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ソロモン王の銅山、証拠発見か 莫大な富と権力の源泉

日経ナショナル ジオグラフィック社

2017/4/17

ナショナルジオグラフィック日本版

イスラエルのティムナ渓谷にある「奴隷の丘」。この上の古代採掘場跡で、3000年前の糞が見つかった。(PHOTOGRAPH BY EREZ BEN-YOSEF AND CTV PROJECT)

 聖書に登場する王のなかでも、栄華を極めたことで知られるソロモン王。その富はどこからやってきたのかという長年の論争に、イスラエルのティムナ渓谷で発見された3000年前の動物の糞(ふん)が新たな火種を加えようとしている。

 乾燥した気候のおかげで現代まで状態良く残っていたその糞は、「奴隷の丘」と呼ばれる台地の上にある古代の鉱山跡で見つかった。ここには銅の採掘場や精錬場の跡が点在している。

 イスラエルにあるテルアビブ大学の考古学者エレズ・ベン・ヨセフ氏は、2013年にこの場所で発掘調査を開始した。そして2016年、要塞門と城壁で囲まれた遺跡を発掘中に、動物の排泄(はいせつ)物らしきものを発見した。

 排泄物にはまだ完全に腐りきっていない植物が混ざっていたため、発掘チームは比較的最近のものだろうと推測した。「どこかの遊牧民が、数十年前にヤギを連れてここで野営を張ったのではないかと思いました」と、ベン・ヨセフ氏はいう。「けれど、放射性炭素で年代を測定してみたところ、排泄物は紀元前10世紀のロバか他の家畜のものであるという結果が出たのです。とても信じられませんでした」

考古学的証拠を基に描かれた採掘場の想像図。(ILLUSTRATION COURTESY RONNIE AVIDOV AND THE CTV PROJECT)

 驚くべきは、糞の古さや状態の良さだけではない。

 「2013年にプロジェクトを始動するまで、この採掘場は紀元前13世紀から12世紀初頭の青銅器時代後期のもので、新王国時代のエジプトと関わりがあったと考えられていました」と、ベン・ヨセフ氏。この時期に、エジプト人がこの場所にいたことを示す明らかな証拠は存在する。また、近隣のティムナ渓谷公園には、古代エジプト人の姿が描かれた絵が今も残されている。

 しかし、精度の高い放射性炭素年代測定による分析に加えて、同じ場所で見つかった織物やその他の動植物由来の遺物から、採掘場が栄えていたのは紀元前10世紀頃だったことが明らかになった。ちょうど、聖書に登場するダビデ王とその息子のソロモン王の時代である。

 旧約聖書によると、ソロモン王は偉大な知恵者で、莫大な富を持っていたという。その時代の数多くの建造物の中には、黄金と青銅の装飾品がぜいたくにあしらわれたエルサレムの神殿もあった。これだけ大規模な建設には、中東のどこかで産業といえる規模の採掘事業を行い、大量の金属を調達する必要があったはずだ。しかし、聖書にはその場所がどこであったかは記されていない。(参考記事:「莫大な富と権力を蓄えた、テンプル騎士団の財宝」)

贅を尽くしたソロモン王の宮殿を訪問するシバの女王。イギリスの画家エドワード・ポインターによる想像図。(ILLUSTRATION BY HERITAGE IMAGES, GETTY IMAGES)

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