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使い勝手は? 古いソフトバンクiPhoneにも格安SIM 格安SIM最前線

2017/4/18

ソフトバンクの古いiPhoneが再び使えるようになる格安SIMが登場した

 格安SIMといえばNTTドコモやKDDI(au)のネットワークに相乗りするものばかりだったが、いよいよソフトバンクのネットワークを使う一般向け格安SIMが登場した。SIMロック解除が義務化される前に発売された古いソフトバンク版のiPhoneやiPadでも使えることをアピールする新商品を、実際に試してみた。

■ソフトバンク版iPhone向けの格安SIMが新登場

 2017年3月22日、日本通信の格安SIMサービス「b-mobile」から、新しく「b-mobile S 開幕SIM」(以下「開幕SIM」)が登場した。

 開幕SIMはデータ通信専用の格安SIMで、料金プランは毎月1ギガバイトで月額950円(税込み、以下同)から毎月30ギガバイトで5378円まで、通信容量別に4種類を用意する。音声通話が使えるプランは用意されておらず、電話番号でメッセージを送受信するSMS(ショートメッセージサービス)も対応していない。

 なお、日本通信と提携関係にあるU-NEXTからも、「U-mobile S」の名称で開幕SIMと同様の格安SIMサービスが同じ日にサービスインしている。

 サービス内容を見ると、通話機能が不要な2台目スマホやモバイルWi-Fiルーター向けの平凡な格安SIMに思えるが、開幕SIMやU-mobile Sの最大の特徴は、ソフトバンクのネットワークを利用しているところにある。だが、なぜこれが大きな特徴と言えるのだろうか。

 それには、日本通信もプレスリリースのなかで「ソフトバンクのiPhone・iPadをSIMロック解除することなく使える」とアピールしているように、スマートフォン(スマホ)に掛けられたSIMロックの問題が関わっている。

■格安SIMで使える端末はネットワークに左右される

 格安SIMの通信キャリアは、大手キャリアのネットワークに相乗りして通信サービスを提供している。基地局の設備に投じる費用などが抑えられるため、結果的に通信料金を安くできるのだ。

 しかし、ネットワークへの相乗りにはデメリットもある。その一つがSIMロックの存在だ。大手キャリアが販売する端末には、そのキャリアでしか使えないようにSIMロックが掛けられている。別のキャリアで同じスマホを使うには、SIMロック解除の手続きが必要になるのだ。

 原則として、2015年5月以降に販売されているスマホについては、購入から半年以上経てばSIMロックを解除できる。しかし、これ以前に発売されたスマホは、SIMロックを解除することができない。SIMロックが解除できないiPhone 6やiPhone 6 Plus(いずれも2014年9月発売)以前のモデルでは、購入したキャリアのネットワークでしか使えないのだ。

 一般向けの格安SIMでは、大半がNTTドコモのネットワーク、一部はKDDI(au)のネットワークを使っている。そのため、ドコモやauのスマホを使っている人が格安SIMに乗り換えるとき、同じネットワークを使う格安SIMであれば、SIMロックが解除できなくても利用できる場合が多い。

 だが、ソフトバンクのスマホに関しては、これまでソフトバンクのネットワークを使う格安SIMが一般向けには提供されていなかった。日本通信の担当者が「ドコモから乗り換える場合は格安SIMの恩恵を受けられたが、ソフトバンクの場合は格安SIMに差し替えるという選択肢が存在しなかった」と語るように、2015年4月以前に発売された端末で格安SIMに乗り換えることはできなかった。

■初期設定は他の格安SIMと同じ

 開幕SIM・U-mobile Sは、SIMロックが解除できないソフトバンクの端末で格安SIMが使えるという点で、画期的なサービスだ。対応するモデルはiPhoneが2012年9月に発売されたiPhone 5以降、iPadは2010年発売の初代iPad以降となっている。サービス開始時点では、残念ながらAndroidには対応していない。

 筆者も実際にU-mobile Sを契約し、ソフトバンク版のiPhone 5c(2013年9月発売)にセットしてみた。サービスが始まった3月22日にウェブサイトから新規契約を申し込んだところ、2日後の3月24日にはSIMカードが到着した。

写真はU-mobile Sのパッケージ。データ通信専用であり、SMSにも対応しないことが明記されている
パッケージの中身はリーフレットと台紙に貼り付けられたSIMカードのみ。取り付け方や設定方法は台紙に記されている

 初期設定の方法は、ドコモやauのネットワークを使う格安SIMでiPhoneを使う場合と変わらない。まずはSIMを切り離し、iPhoneのSIMトレイにセットする。

iPhoneの本体から取り外したトレイにSIMを載せて、本体に挿入する

 iPhoneの電源を入れたら、U-mobile Sで通信を行うのに必要な情報が記録されている「構成プロファイル」をWi-Fi経由でインストールする。設定でLTE(4G)通信を有効にすれば、初期設定は完了だ。

台紙に記載されたURLにアクセスしてプロファイルをインストールする(左)。その後、設定アプリで4Gがオンになっていることを確認する(右)

 設定を終えてもしばらくは圏外のままで、iPhoneを再起動しても解消されなかったが、しばらく待つと無事ソフトバンクのネットワークにつながった。

■今後のアップデートに期待

 設定終了後にウェブサイトの表示やアプリの利用などを一通り試してみたが、他の格安SIMとの違いはなく、普通に利用することができた。「『SIMロックが掛かっているソフトバンクのiPhoneで、本当に使えるのか?』という問い合わせが多い」(日本通信担当者)そうだが、SIMを差し替えて簡単な設定を済ませるだけで使える簡便さは、格安SIMそのものだ。

 今回使用したiPhone 5cはソフトバンクと契約していなければデータ通信が使えなかっただけに、開幕SIMやU-mobile Sの登場により、再び通信ができるようになったことは歓迎したい。

 ただし、音声通話とSMSに対応していないのは残念だ。特にSMSは、LINEやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のアカウント作成時、パスコードの受信に使うことがあるため、データ通信SIMでもなるべく追加しておきたいオプションだ。例えば、眠っているiPhoneに機能制限を設定し、LINEが使えるようにして子どもに持たせたい……と思っても、アカウント作成用の携帯電話番号を別途用意しなければならない。

 それに、オンラインサービスのログイン時に2段階認証を設定する際にも、SMSや音声通話を必要とするケースが多い。アプリのインストールなどに必須となるアップルのApple IDでも同様だ。こうした点から、現時点で開幕SIMやU-mobile SをメインのSIMとするのは難しい。

 また、通信容量が少ないプランではコストが割高なのも気になる。毎月1ギガバイトで約900円という月額料金は3年ほど前の水準で、ドコモ系やau系の格安SIMでは同じ価格で3ギガバイト使えるのが一般的だ。

 「仕組み上の制約があり、まずはデータ通信のみで開始した。すでに音声通話に関する要望が多数寄せられており、今後は通話機能の提供やAndroidへの対応についても、可能な限り早期に実現していきたい」(日本通信担当者)

 開幕SIMやU-mobile Sには「SIMロックが解除できないソフトバンク版のiPhoneやiPadで使える」という、他の格安SIMには代えがたい特徴がある。今後のサービス内容拡充にも期待したい。

(ライター 松村武宏)

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