おしゃれで高性能なアシスト自転車 欧州から本格上陸
2017年3月7日、東京・代官山T-SITEで、ある自転車の発表会が行われた。
その名は「BESV(ベスビー)」。台湾のIT系企業ダーフォン・イノベーションが設計、開発を行う電動アシスト自転車である。近年、ドイツやオランダを中心とするEU諸国では「e-BIKE」と呼ばれる電動アシスト自転車の市場が大きく拡大しており、自転車メーカー以外の企業も続々と参入している。BESVもそのひとつだが、IT企業の強みを生かした緻密なモーター制御技術や、斬新なフレームに高性能小型バッテリーを組み合わせたスタイリッシュなデザインが欧州でも高い評価を得ている。
もともとスポーツサイクルが定着している欧州では、日本で主流となっている実用的なモデルだけではなく、MTBやクロスバイクのような高性能、高価格の電動アシスト自転車が数多く販売されている。BESVは言ってみればそういった欧州的な価値観で作られた電動アシスト自転車だ。17年春から発売される2台のモデル、「PSA1(ピーエスエーワン)」と、「CF1 LENA(シーエフワン・リーナ)」は同ブランドのエントリーモデルという扱いだが、価格は日本の子供乗せ電動アシスト自転車のトップモデルよりも高価である。
日本法人を立ち上げてBESVの販売を強化
発表会では、これまでモトベロ社(東京都渋谷区)が担ってきたBESVの販売を、この2モデルの発売に合わせ2017年4月に日本法人「BESV JAPAN」(ベスビージャパン)を設立して、強化するとアナウンスがあった。またNHKの連続テレビ小説『あまちゃん』や映画『この世界の片隅に』で抜群の存在感を発揮した女優・のんをBESVブランドのアンバサダーに抜擢するなど、日本市場への強い意気込みが見て取れる。
「美しく、スマートでスタイリッシュ、そしてフレンドリーなのんさんはBESVのイメージにぴったりだった。BESVのバイクはアルミやカーボンといった素材を積極的に用い、優れたパフォーマンスとデザイン、オリジナリティーを実現しているのがアドバンテージです。今後もミドルからハイエンドモデルに特化した商品で日本の電動アシスト自転車全体のマーケットを拡大したい」(アンディー・スー会長)
試乗の印象は数字以上?
記者会見後、わずかな時間だったがPSA1、CF1に試乗できたのでその印象も記しておこう。
PSA1、CF1のいずれも装備の割に車体重量が軽いのが印象的だった。これは車体が軽量に作られていることに加え、バッテリーが高性能であることが大きいと思われる。BESVで採用されているリチウムイオンバッテリーは見た目こそコンパクトだが、実はしっかりと容量が確保されており、さらに日本の一般的な電動アシスト自転車のものよりも高電圧である。電圧が高いということは同じ容量でも大きな仕事ができるということだ。例えばPSA1のバッテリーは容量10.5Ahだが、一回の充電で約90kmも走れるという。実際には走行モードや走り方によって変わるので単純に比較することはできないものの、容量から考えてアシストの利用できる距離がかなり長いというのは間違いないだろう。
さらに実際にペダルをこいでみるとその走りは数値以上に軽快だ。もちろんモーターによるアシスト量や、アシストが有効な最高速度などは日本の法律に準じた仕様になっているが、数値には表れない走りの「質」がひと味違う。これはメーカー自らがうたうようにモーターがアシストするアルゴリズムが巧みであることに加え、自転車そのもののフリクションロスも少ないからだろう。ホイールの回転部分(ハブ)やクランクの軸受け(BB)などのパーツはコストに大きく影響する部分。質の悪い電動アシスト自転車というのは、速度を稼いでもさまざまな抵抗ですぐに速度が削られてしまうため、アシストのオン/オフを繰り返すギクシャクとした動きになりやすい。
BESVのスムーズかつ気持ちの良い乗り味は「プレミアム電動アシスト自転車」という日本市場ではまだ確立されていないカテゴリーへの理解を広くアピールすることになると思う。
●フレーム:アルミニウム
●ドライブトレーン:シマノ・アルタス 1×7速
●重量:19.5kg
●アシストモード:3アシストモード、スマートモード
●バッテリー:36V 10.5Ah リチウムイオンバッテリー
●最大走行距離:90km
●フレーム:アルミニウム
●ドライブトレーン:シマノ・ネクサス1×3速
●重量:21.5kg
●アシストモード:3アシストモード
●バッテリー:36V 7.2Ah リチウムイオンバッテリー
●最大走行距離:75km
(文・写真 佐藤旅宇)
[日経トレンディネット 2017年3月27日付の記事を再構成]
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