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『沸騰ワード10』 業界深掘り、タケノコ王が人気に

2017/4/19

 「スパイス」や「防犯」「外食」など、あらゆる業界で話題になっていることに着目し、深掘りして紹介する情報バラエティー「沸騰ワード10」(金曜19時/日本テレビ系)。ディレクターは、リサーチや取材だけでなく、白シャツとサスペンダーの新聞記者風の衣装で、リポートも担当している。過去5回の特番を経て、2015年10月からレギュラー化された。

お笑いコンビ「バナナマン」の2人(左と中)が盛り上げる

 情報がメインのバラエティーは数多くあるなかで、この番組が誕生した理由は、起きている現象の裏側まで探る番組がなかったからだとプロデューサーの新井秀和氏は話す。「流行していることに関して、なぜそれが盛り上がり、どんな人がはやらせ、誰が夢中になっているのかまで踏み込もうと。料理を作る職人や、毎日店に通う人にもスポットをあてています」

 この番組を立ち上げた企画演出の水嶋陽氏が強くこだわっているのは、携わるスタッフ全員が「知りたい」と思える情報に出合えるまで取材をすることだそう。リサーチした段階で分かることと、現場に行って掘り出せた情報は違う。「混んでいたり、行列ができている様子なら必ず撮れるんです。でも、思わず『何それ?』と言ってしまうような瞬間がなければ、この番組のVTRとしては成立しません」(新井氏、以下同)

 新鮮な発見があるまで、ディレクターは現場に通い詰める。例えば「女子高生が集まる串揚げ屋」だったら、「安い」「メニューが豊富」ということだけでなく、「カレールーをソース替わりにしている」「ベーコンを素揚げしてチョコレートをかけて食べる子がいる」のような、店のローカルルールを拾うことを大切にしているのだそうだ。

 番組の定着と認知度アップにつながったのは、1つは、観光客を急激に増やしている島を紹介してその理由を探る『ガイドブックに載っていない沸騰島』シリーズ。女性の一人旅が増加している父島や、人情あふれる福江島などを取り上げてきた。もう1つは、高級な白子タケノコの量産に成功した農業家に密着している『静岡のタケノコ王』だ。「タケノコで1億円稼ぐ男がいるということで会いに行ったら、農業に対して研究熱心なだけでなく、まれに見る純な人だったので、しばらく密着してみようと」。勝手にライバル視している武井壮を意識してタンクトップを着ていたり、静岡弁で話すなどキャラクターも面白く、今では番組の人気者に。企業の社長や広報担当、島の住人など人にもスポットをあてるようになってからは、視聴者の共感もより得られるようになったそうだ。

 スタジオはバナナマンの2人が温かい雰囲気で盛り上げる。「設楽さんはお茶の間に合わせて情報を解説してくれますし、日村さんはVTRを真剣に楽しんでくれる。お2人ともリアクションに嘘がないので、食いついたところは膨らませたり、スタジオでの反応をそのままVTRに反映する形で、放送までに本編をブラッシュアップしています」

 昨年11月ぐらいから視聴率が上がり、11~12%程度を維持している。意識している主なターゲットは、子どもや中高生とその母親。金曜19時は日本テレビが比較的苦戦してきた枠だが、親子で楽しめるネタで視聴者を引き付けたいと意気込んでいる。

(「日経エンタテインメント!」4月号の記事を再構成。敬称略、文・内藤悦子)

[日経MJ2017年3月31日付]

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