カレーの卵、東西差くっきり ゆでか生か、読者調査
卵(8)
卵といっても鶏卵だけが卵ではない。魚卵もある。魚卵といえばシシャモ。しかも本物の。
札幌の雪あかりさんから貴重な鵡川のシシャモを送っていただいた。一般にシシャモとして出回っている「カペリン」とは魚体の色が違う。身の味わいが違う。卵のうまみが違う。雄がおいしい。
フライパンかホットプレートにクッキングシートを敷き、焦がさないように弱火でじっくり焼くのがコツとか。これで一杯やるぞ。うー、たまらんだろうなあ。
雪あかりさん、ありがとうございました。
デスク乱入 いっしょにいただいた干物もチョーおいしかったです。いけずな京女さんにいただいた京都の銘酒のアテにいただきました。カリカリで噛むとどんどん味が出ておいしい日本酒にぴったりなのです。もうむさぼり食い、飲んでしまいました。ありがとうございました。
例の黄身残し教穏健派が発言を求めている。
神は一つ目目玉焼きで太陽と空を表し、二つ目目玉焼きで人の顔を表したのです。そして、三つ目目玉焼きはぜいたくだからいけないとされたのです。
空なくして太陽はなく、顔なくして目は存在し得ないように、白身のない目玉焼きはありえないのです。
卵のおいしさは黄身にしかないと思われる方には、質の悪い卵では良いメレンゲはできないことのみを指摘しておきます。
オムレツやスクランブルエッグが黄身と白身のハーモニーを楽しむものなら、目玉焼きはそれぞれのソロを楽しむものなのです。白身のカリッとした食感と熱を加えた濃厚な黄身の味を楽しみましょう。
そうすれば、いきなり黄身をすすって、白身を無視するような食べ方がいかに××であるか、神の御心にそわない行為であるか理解できると思います(太ったオオカミさん)
一部編集し、一部を伏せ字にさせていただいた。伏せ字は久しぶりである。
私はお腹が空いているとき、目玉焼きの黄身の真上を通る中心線でまっぷたつに切り、それをウスターソースまみれにして一口で食べる。白身がどうの黄身がどうの考えたことがない。これから目玉焼きを食べるときには少しは考慮したいと思う。
でもこの方が原理主義者でなく穏健派でよかった。
外国での生卵事情についてドイツ在住の「こんどはチョコレートがお題にならないかな」さんから「こちらの人も知らず知らずに卵を生で食べてます。ムースに卵の黄身をあわ立てた『卵の黄身クリーム』を使う場合があり、確実に生です」とのメールをいただいた。
先週紹介したイタリアの桔梗庵さんからのメールにも「ティラミスはマスカルポーネチーズ、砂糖、生卵の黄身などをぐちゃぐちゃに混ぜた物で、最後まで火は通しません。姿は見せなくても生卵を食べていることになります」という文章があった。
なんだかんだと言いながら、彼の地でも生卵は食べられている。勉強になりました。
「卵」VOTEの速報値が出た。
カレーライスにつける卵は生卵かゆで卵か。この設問に対する回答は実に見事な傾向を示した。生卵が優勢だったのは23府県で徳島(87%)、奈良(86%)、大阪(85%)、兵庫(77%)とすべて西日本勢が占めた。
逆にゆで卵が優勢だったのは24都道県。宮城(72%)、茨城(69%)、福島(67%)と、一部九州勢を除けばすべて東日本の地域である。生卵派とゆで卵派で47都道府県がまっぷたつという結果になった。
地図に落とすと東のゆで卵、西の生卵、九州混在という色分けになった。境界線はまたしても糸魚川―静岡構造線辺りらしい。毎回思うことではあるけれど、不思議なものである。
目玉焼きにかけるものについては選択肢が多いので詳細な分析が必要だが、大まかに言うと東日本でしょうゆ派が目立ち、西日本ではソース派が健闘している。各地で塩派が頑張っているのは意外であった。
さて、次回テーマ予告。
新テーマはサバ・アジ・サンマ・イワシなどの「青魚」である。
なぜこのようなものを思いついたかというと「東京ではサバ味噌が主流なのに大阪ではサバの照り煮ばっかだったなあ」「小樽で食べたサンマの寿司は美味かったなあ」「目刺しはどうしてあんなにご飯に合うのかなあ」といういくつかの「なあ」が背景にある。
青魚は昔から日本人が愛してきた魚なので、各地に思いもよらない食べ方が存在するのではないかと思うのである。
私が個人的に偏愛しているのは博多の「ごまサバ」。同じ物が大分では「りゅうきゅう」と呼ばれている。うまいんだよなあ、あれ。缶詰ではイワシのかば焼きにちょくちょくお世話になる。
といった具合に、皆さんにも様々な青魚体験がおありだろう。
デスクふうむ 先日おじゃました京都錦市場で焼きサバの多さに目を見張りました。首都圏では、お総菜屋さんはともかく、サバは焼くとしても自宅で焼くものだと思っておりました。やっぱ違うんだなぁ、と。
ベティー隊員 青魚ではないけれど、岡山ではサワラを生で食べるんですね。こんなふうに地域独特の食べ方がわかれば面白いですね。
(特任編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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