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通信販売王国を一代で築き上げたジャパネットたかた前社長の高田明氏。会社のポストにしがみつかず経営からきっぱりと身を引いた父の後を引き継いだ長男の旭人社長は、偉大なカリスマ経営者の引退をどう受け止めたのか。「90秒にかけた男」の番外編として、変わりつつある今のジャパネットの経営や悩みを旭人氏に聞きました。

◇   ◇   ◇

――2015年の明さんの引退は、清々(すがすが)しい印象があります。

「弊社は比較的、バトンの渡し方がスムーズにいった方だと外からは思われていますが、悪い意味ではなく父と私は2、3年はかなりぶつかっていました。2人とも相当頑固なので。最後の2、3年は社員が一番苦しかったかもしれません(笑)。しかし、2人だけでは10年ぐらい意見を戦わせてきました」

「例えば、当社では1日限定特別価格で1商品だけを集中的にご紹介する『チャレンジデー』という企画があります。私が考えた企画ですが当初、父は『在庫が残る』などの理由で反対しました。最終的には会議の中で社員も含め『やりたい』という意志を持ったことで実施することになりました。いざ収録を始めると、一番反対していた父が誰よりも熱意をもって取り組み、結果的に成功した後の打ち上げで誰よりも喜んでいました」

「実は父が社長を辞めるときも、『会長として残ってはどう?』と提案はしました。しかし、父の方から『自分が残ると(経営を)やりにくいだろう』、『社員も迷うし、やりづらいからそんなことはやめた方がいい』ときっぱり言われました。経営のバトンを渡す時は、あっさり自分の身を引くと言っていたので、父は言葉通り、きっぱりとジャパネットから身を引いたのです」

――そんなやりとりが父と子の間ではあったのですね。実際、明さんが経営者兼MC(番組進行役)として、いなくなった影響はどれくらいですか。

「経営の部分はずっと父の下で意識してやってきたので、社長になった時に、父の考え方をベースに自分がさらにブラッシュアップできるという自信はあります。ただ、高田明という看板MCがいなくなった影響は大きいと思います。私はテレビには出ません。他のMCのメンバーも一生懸命やっていますが、父の抜けた穴を自分が担うのだと、大きな山を越えようと、もがいている状況です。その山を越えた時に、父の抜けた穴を完全にカバーできるのだと思います。新しい企画などで全員が一体となってなんとか父のいなくなった空白をカバーしているところですが、まだ8、9割のカバー率でしょうか」

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