くらし&ハウス

安心・安全

自分でつくる楽しく備える 太陽光発電、炭焼きを体験

2017/3/28

ベランダに付けた2枚のソーラーパネルで食卓の電球分を発電する

 電気や燃料などを自給するための簡単な仕組みを取り入れ、くらしの安心に役立てようという意識が広がってきた。コストをそれほどかけなくても、電気や燃料を最低限備えることができる。大震災など災害への備えのほか、家庭菜園で楽しみながら自前の野菜を作って味わうかのような“遊び心”ものぞく。現場を訪ねた。

 「自前の明かりは、自分の庭で育てたニンジンと同じ。食卓を楽しく、おいしくしてくれる」。相模原市の高浜宏至さん(31)とあゆみさん(32)夫妻は話す。昨年11月、自宅ベランダに「ミニ太陽光発電システム」を取り付け、リビングルームの食卓の照明を自家発電でまかない始めた。

 2階のベランダに、36ワット(W)のソーラーパネルを2枚設置。1枚の大きさは縦36センチ、横150センチだ。ほかにバッテリーなどもある。好天なら1日に約290ワットアワー(Wh)発電でき、消費電力40Wの電球が7時間ほどともせる。場合によっては、スマートフォンなどの充電も可能だろう。

 万が一、災害などで停電しても、最低限の明かりは確保できる。高浜さんは「自分たちが普段、いかに電気を多く使う生活をしているか本当に分かった」という。どのくらいの努力で、どれぐらいの電気が得られるかが体感でき「身の丈の生活、尺度を考えるきっかけになった」と話す。

 高浜さん宅のシステムを施工したのは藤野電力(相模原市)。東京電力福島第1原子力発電所の事故を契機に、「安心安全」のため、自立分散型の自然エネルギー活用を目指し、市民ら約10人で組織した。

 高浜さん宅程度の施工なら「100Wのパネルでも、システム一式と工事費を合わせ15万円程度から可能だ」(藤野電力)という。

 同社は「自分でシステムを組み立てたい」という人向けに、各地でワークショップも開催している。講習料は50Wのパネル使用の場合、部品代込みで4万~5万円。「知識ゼロでもOK」(同電力の小田嶋電哲さん)。完成後は持ち帰って自宅に設置できる。5年間で約200回のワークショップを開き、約1200人が組み立てた。

 小田嶋さんは「私たちは6年前、電気が家に来なくなるということをリアルに体験した。電気を得る仕掛けを理解し、少しであっても自分で作るのもいいのでは」と語る。

 燃料を自前で作る知識を身につけようと試みているのは、一般社団法人の南太平洋協会(大阪市、松村賢治理事長)だ。竹や木の枝などを材料に数時間で炭を作る技術を考案、教えている。3月上旬の週末、埼玉県加須市の農業生産法人誠農社が主催したワークショップ「松村塾」には約15人が参加した。

ドラム缶を使った簡易炭焼き窯に材料の竹を入れる

 方法は簡単だ。穴を開けたドラム缶を横にして土で覆った簡易炭焼き窯を使う。50センチ程度に切った竹や木材を中に詰め、空気が入らないよう蓋部分も土で密閉。バーナーで火口に点火し、1時間ほどしたら、煙突の穴もふさぐ。内部の温度は900度近くになる。「熱が内部全体に回り、揮発成分を蒸発させ、炭ができる」(松村さん)。そのまま2~3時間冷まし、蓋を開けると、内部に黒い炭がたくさんできていた。

 孫の乃愛(のあ)ちゃん(小4)と炭焼きをした吉岡康子さん(58)は「こんなに短時間で炭が作れるとは思わなかった。備蓄しておけば、何かあっても燃料として使えるので心強い」と話す。60キログラムの竹や木から、10キログラム程度の炭が作れるという。特に竹の炭は火付きなどがよく、使いやすいそうだ。

 翌日はミニコンロ作り。台所の流しのゴミ受け金具や塗料類を入れるペール缶などを材料に約3時間かけて完成。作った炭を燃やし、暖をとった。湯を沸かしたり、ご飯を炊いたりできる火力がある。

 南太平洋協会は、国内各地に約30カ所、ドラム缶利用の炭焼き窯を設置。約3年で約100回のワークショップを開いている。「炭の作り方やじか火の扱い方を学んでおけば安心。災害時などに生き抜く力にもなる」と松村さんは話す。

■頼もしい携帯浄水器

 電気や燃料とあわせ、災害時に備えておきたいのが水。備蓄するのが基本で目安は1人1日3リットルとされるが場所を取るのが悩み。いったん災害が起きれば、ペットボトルの水は入手困難となるだろう。

 一つあれば安心なのが携帯浄水器だ。アウトドアや緊急用として米国製「ソーヤーミニSP128」などがある。沢や池の水などをペットボトルや専用袋に入れ、口の部分にフィルターを接続すると、水が浄化できるしくみ。

 輸入販売元のアンプラージュインターナショナル(大阪府箕面市)は「使うたびに洗浄する必要などがあるが、1個で最大38万リットルまで使用可能」と話す。

 水道が復旧しても、水道水のカルキ臭などを気にする人もいるだろう。ドイツの家庭用浄水器メーカーの日本法人、ブリタジャパン(東京・中央)は水道水を浄水する商品を発売している。「フィルアンドゴー」は、600ミリリットルサイズで活性炭のカートリッジ1枚で最大150リットルの浄化能力があり、1リットルあたりのコストは約4.5円という。

(小仲秀幸)

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