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post 2020~次世代の挑戦者たち

地域スポーツクラブ 朝原流の原点はドイツ留学で体得 アスリートネットワークの朝原宣治副理事長に聞く(3)

公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司

2017/3/29

アスリートネットワークの朝原宣治副理事長

 2020年の東京五輪・パラリンピックで活躍するトップアスリートたちも、その後の時代「post2020」には第二の人生を歩み始めることになる。ただ、日本ではアスリートのセカンドキャリアを支える基盤となるスポーツの市場が未成熟。アスリートネットワークの朝原宣治副理事長は地域のスポーツクラブを活性化し、引退したアスリートが地域の若者らを指導する仕組みを考える。その発想の原点はドイツ留学時代の経験だった。(聞き手は公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司)

 ――現役時代に自分自身の引退後のセカンドキャリアについて、どう考えていましたか。

 「34歳で現役続行を決めたとき、トレーニングと並行し、同志社大学大学院に通ってスポーツ振興について学んでいました。そういった学びが将来への不安に対する備えにもなり、より競技に集中できるようにもなりました」

 ――現役時代からセカンドキャリアについて具体的に準備していたのですね。

 「競技の成績に対する不安は、そのまま将来のキャリアに対する不安に直結します。競技で好成績を出すことができれば、将来のキャリアも開けていきますが、思うような成績が出せないと、競技に対する不安と将来のキャリアに対する不安の両方が押し寄せてきます。そんな不安に立ち向かうためにも将来のキャリアにつながる学びを進めることは効果がありました」

 ――セカンドキャリアについて心配しなくてもよい仕組みを用意できれば、日本のアスリートはもっと競技に集中できるようになり、好成績につながる可能性がありますね。

 「確かに、アスリートのセカンドキャリアが充実している国はアスリートが競技に専念できて、有利かもしれませんね」

朝原氏はドイツでの経験などを踏まえ、現役引退後、自ら主宰する陸上クラブで地域のスポーツ振興を実践する(写真提供=大阪ガス)

 ――朝原さんは1995年から3年間、ドイツに留学していましたね。アスリートのセカンドキャリアの状況はドイツと日本では違いがあるのですか。

 「ドイツでは地域にクラブハウスがあり、そこにお年寄りも若者も集まって地元に根付いた形でスポーツを楽しむ文化があります。この点がドイツと日本で大きく違うと感じました。ドイツに行って、まずやらされたのはスポーツクラブのクラブ員になること。地元での試合には、そのクラブのユニホームを着て出ていました。クラブを練習拠点にして、ドイツ人コーチの指導を受けながら、ドイツの総合型地域スポーツクラブについて多くのことを学びました。ドイツでは、クラブのコーチという職業がアスリートのセカンドキャリアとして存在しているのです」

 ――ドイツでは日本以上に地域のスポーツクラブの存在感が大きいのですね。

 「かなり歴史があるスポーツクラブもあります。お年寄りはクラブハウスでビールを飲みながら、若者がスポーツをするのを見て、楽しんでいます。礼拝のために教会に地元の人が集まるように、自然にクラブハウスにも地元の人が集まっています。これと同じような機能を果たしているコミュニティーは日本ではあまり思い浮かばないですね。ドイツでは、みんな小さい頃から学校が終わったら地域のスポーツクラブの施設やクラブハウスに集まってきて、そこでスポーツをやっているんです。日本における学校の部活動のようなものは基本的にありませんからね」

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